前回の映評ブログに続き、白石監督作品。
本作も「うつ映画」かと思ったが、
「凶悪」「日本一悪い奴ら」に比べれば救いようがあった(笑)。
それでも終始、ブルーな気持ちになる映画であるのは間違いない。
きっとこの監督の魅力はそこにあり、
そこを徹底的につぶしていくのが彼の得意技なんだろう。
本作はフィクションだが、警察の暗部を描いている。
白石監督は警察に敵対心でも抱いているのだろうかと心配になる。
なにかイヤな過去でもあるのかな?(笑)。
本作は東映の配給。
スタートは当然のように荒波に東映のロゴマークが登場する。
それは見慣れたシーン。
しかし、今回はそれがやたら古臭く感じた。
後から思ったのだが、それは東映の仁侠映画へのオマージュではないだろうか。
映画の舞台は広島の架空都市。
「仁義なき戦い」の延長線上とも捉えることは可能。
登場人物の広島弁を聞くうちにそんな心境になってきた。
僕は単純なバイオレンスには興味はない。
無意味に殺し合う映画も好きではない。
だけど、なぜかこの類の映画は観てしまう。
大きく捉えれば同じジャンルであるから、
暴力映画が嫌いは人には理解されないはず。
本作でもグロテスクなシーンはいくつもアップされるので目を覆いたくなる。
それでもつい惹き込まれてしまう。
それは変態的な趣味があるわけではなく、
その裏側にある人間関係に引っ張られるから。
北野武映画に近いといえば少しは理解してもらえるかな?(笑)
この映画もやくざ映画に相応しい役者がオンパレードに出演している。
石橋蓮司さんや伊吹吾郎さんの親分は欠かせない。
最近、ピエール瀧はすっかりはまり役。
白石作品には欠かせない役者ではなかろうか。
そんな点でいえば、九十九一もそう。
(ツクモハジメ、覚えている人いるかな?)
端役ではあるが、本作でも「凶悪」でも印象を残していた。
九十九一といえば僕が中学生の時に「お笑いスター誕生」でグランプリを獲得した。
その当時、彼は岐阜放送の深夜のラジオ番組で喋っていた。
僕は受験生で勉強しながら聞いていたが、メチャクチャ面白かった。
多分、勉強は頭に入っていなかったと思う。
彼がグランプリを獲得し岐阜放送の番組を辞めることとなり、
最終回で泣きながら話しているのをオンエアで聞いていた。
嬉しいようで悲しかったことを今でも覚えている。
いかん、全然違う方向に向かってしまった・・・。
この作品は役所広司と松坂桃李のためにあるといっていい。
この2人の関係性で映画が構成される。
それに周りの連中が上手く絡んでいく。
どんどん壊れていく姿もたまらない。
それは誰かは映画を観てもらえればと思う。
しばらく白石作品からは目が離せない。
そんなことを感じさせた映画だった。