辛い映画である。最初から最後まで辛い。
しかし、ハッピーエンドで終わったともいえる。
最後の最後の表情に全てが救われたのだから・・・。
最後という言葉ばかりが並び、何の事だかさっぱりわからないが、
この映画の魅力は途中では理解できない。
ひたすら重く、観ていても辛い。
時折、ドアップで映し出されるシーンにどんな意味が込められているかは定かではないが、
人間の儚さが伝わってくる。
男女の描き方も含め、これが男性では撮ることのできない女性監督の感性なんだろうか。
本作は2014年キネマ旬報ベストテンの1位の映画。
僕は評論家の視点は持ち合わせていないので、
1位といえども欲望は掻き立てられないが、本作は読者選出でも1位。
すなわち2014年に公開された日本映画のトップの作品。
それに感化される僕はただのミーハーなのだが、映画を観たい欲望が抑えられくなった。
今回はこのキネマ旬報に拍手を送りたい。
ベストテンが掲載されている2月下旬号にはなんと映画鑑賞無料券が付いていたのだ。
僕はこの映画を伏見のミリオン座でタダで鑑賞。
何ともお得な思いをさせてもらった。
そんなせこいヤツが映画を語るのはちょっと失礼。
だから、あまり感想は言わないでおきたい。
観終わった後、感じたのがこの手の作品は昔、よく観たという記憶。
そうだ。今は無きATG映画だ。
ATG映画の代表作でもある「青春の殺人者」「サード」「遠雷」あたりにとても近い気がした。
どれも重かった。
だが、それが上手く時代を描いていた。本作と同じである。
主演の綾野剛さんは岐阜県関市の出身。僕の実家の隣町。
それだけで親しみが沸くが(迷惑な話・・・)、
彼の存在を知ったのは一昨年の大河ドラマ「八重の桜」の松平容保役。
ドラマの中での存在感が際立っていた。
この映画で主演男優賞も獲得している。
近い存在ではないが(笑)、少しだけ嬉しい。
いい演技をしているのは彼だけではない。
姉も弟も素晴らしい。元男闘呼組の社長もいい。
リアルさが滲み出ていた。
もう公開は終了したので映画館で観るのは難しいが、
一人深夜にDVDで鑑賞し、暗い気持ちになってもらいたい(笑)。