いつも手厳しい冨山さんだが、商売は予想以上に上手いのかもしれない。
もちろん日本を代表する経営者の一人だし・・・。
こんな書籍を瞬く間に書き上げ、印刷、物流工程を省き、
kindleを含め電子書籍で販売してしまう。
粗利益率からすれば相当なもの。
この分野の印税の仕組みは知らないが、いいビジネスになっているのは間違いない。
と、邪な見方をしている僕は間違っているだろうか。
それは非難しているのではなく、そのすばやい動きを素直に尊敬しているのだけど。
これくらいのスピード感を持って臨まないと生き残れないと間接的に言っているのか。
そんなふうに受け止めておこう。
1年後にはもう古い本として取り扱われるのかもしれないし。
中古市場で価格が落ちるのを防ぐのも作戦のうちかな。
多分、どうでもいい読みだな(笑)。
本書で冨山氏が多用するのが「基礎疾患」というワード。
本来は病気のリスクに対して言われる言葉だが、
ここでは「財務と事業と組織の構造疾患」のことをいう。
これを治さないと「勝ち組」にはなれない。
今回のコロナであからさまになったが、これが企業としての肝。
失礼な話、レナウンなど最近倒産した企業は基礎疾患があったということ。
ニュースにも出ていたMJGなんて酷い状態だしね。
コロナショックはたまたま発生した事象に過ぎず、
どんな企業でも遅かれ早かれ見直すべきこと。
財務、事業、組織について常に健康状態を作らねばならない。
健康な体を維持するために不摂生をしないという単純な話ではなく、
新陳代謝力を高める努力をし続けること。
まさにトランスフォーメーション。
僕なんて単細胞な人間なので、
リーマンショックを乗り越えたから大丈夫と思ってしまうが、その考えでは甘い。
繰り返す時代の中で、根本的な精神的な強さは変わらないが、求められるスキルは変わっていく。
そう考えると、この環境下で推進する「名大社モデル」は決して間違っていない。
これを推し進めることがアフターコロナの世界にも繋がる。
しんどい思いや経験をしたいと次のステップには進まない。
松下幸之助さんの「好況よし、不況なおよし」をいい意味で解釈し取り組まねばならない。
冨山氏は『修羅場の「べからず」集』として、8つのすべきでない行為を表現。
ここでは紹介しないが、僕の胸に突き刺さる痛い言葉が並べられている。
もっとドライにならなきゃいかんのだね。
非常事態宣言が解除され、普段の生活に戻りつつあるこれからが企業として勝負の時期。
基礎疾患に陥らないように自分も他人も甘やかすことなく接していきたい。