悪人 スタンダード・エディション [DVD] (2011/03/18) 妻夫木 聡、深津絵里 他 |
ようやく観ることができた。
かなり暗いテーマでありながら、昨年の映画賞を総なめにした作品。(だからこそなのかもしれない。)
結局のところ、この映画に本当の悪人は登場しない。それぞれが生きる上での陰と孤独を抱え、それを上手く表現できずに生きている。ちょっとしたズレから、全てが崩れていってしまう。
日々の自分の行動を改めて見つめ直す必要を感じると共に、観ていて辛い思いになる映画であった。
それは一人の生きる者として、親として、辛さを覚えるのであった。子を抱える親の心境は被害者であろうと加害者であろうと同じなのであろう。
この手の映画は20年前であれば、評価は高いが誰も見ない部類にあたると思うが、最近は作品の評価と共に多くの方に観られる。とてもいい事だ。
原作を読んだ事がなければ、脚本を手掛けた吉田修一の存在も知らなかった。監督の李相日もフラガールで知るぐらい。何年に一度しか映画を撮らない(撮れない?)生き方は、何れ周防正行のように、こだわりにこだわった作品を手掛けていくのだろうか。もっと多くの作品を創って、メッセージを発してもらえればいいけど。
ただ、こういった若手監督や作家が活躍する事はいいこと。大好きな日本映画を今後も提供してもらいたい。
映画はとても地味。しかし、全く飽きさせない。俳優の表情もいい。寒々しい景色もいい。観た後は重い気分にもなるが、観ておく必要のある映画だ。