林原家 同族経営への警鐘 林原家 同族経営への警鐘
(2014/05/16)
林原健

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ボンクラ経営者の僕がいうには大変失礼でおこがましいとは思うが、著者は経営者として信じ難い。
それも日本経済新聞の「私の履歴書」にも登場した方。そんな方がこんな経営をしていたなんて許されるはずはない。
僕のような若輩者の戯言だと叱られるかもしれないが、それが本書を読んだ素直な感想。名経営者として相応しい時期が長いのももちろん理解はしているが・・・。
しかし、売上高も利益も決算書も見ることも関心もなく、会社経営を行っていたとは社長の役割を完全に放棄しているといえるのではないか。いくら研究畑であっても関係がない話だ。
粉飾決算の事実や取締役会を一切行わないのは、同族経営にはありがちな行為と本書には書かれているが、真面目に事業に取り組む同族経営者に対しては完全な侮辱だし、失礼な話だと思う。
過去の栄光も実績も会社を潰してしまっては何の意味もなさない。
メセナ活動や研究開発において評価されるべき点もあるかもしれないが、公共事業の無駄使いと同じで、会社に損害を与えていては活動自体が自分勝手な行動となる。それが許されるのであれば、誰だってやればいい。
私が会社にいる時間は午前11時半から午後2時半までの3時間と決めていた。技術開発のことを考える上で、一番いいのは夜中。
人によってそれぞれだろうが、みんな寝静まったときに瞑想するように考えると、昼間とは全然違う発想が得られるのだ。
こんなに短時間しか会社にいない社長も珍しいということで、メディアにはこのことが取り上げられたが、私にいわせれば、他の社長が「社長の仕事」をしていないだけだと思う。

著者はこんな一文を書いている。
僕には驕っているとしか読み取れなかったし、何の説得力も持たない文章にしか思えなかった。
会社の目の前の事を考え、四六時中、会社にいて懸命に働き、会社を存続させる。それだって十分立派な「社長の仕事」だ。僕はそう思う。
何だかボロクソな感想になってしまったが、本書を否定するものではない。今、ファミリービジネスを学ぶ者として、同族経営の大きな問題がここに隠されていると感じる。本書のケースは壮大すぎるのかもしれないが、参考になる点は多い。
同族経営で悩まれている方も、是非、読むべきだろう。
いい勉強にはなりました。ありがとうございました。
自分がそんな存在にならないためにも・・・(笑)。