これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

映画「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」

原題は「The Post」。
この原題の方がいいと映画を観終わった後、素直に感じた。
邦題の方が刺激的だし、観客動員には貢献するとは思うが、
ここに登場する人物を思うと原題の方が似合っている。

これはあくまでも僕の感想。
邦題を考えた人を非難しているのではない。

これも映画を観終わって気づいたのだが、
監督はスティーブン・スピルバーグ、音楽はジョン・ウィリアムズ。
(最初からそれくらい知っとけ・・・笑)
なになに、このコンビ。
そして、主役の二人。
メリル・ストリープとトム・ハンクス。
1980年代の代表選手じゃないか・・・。

もちろん今も現役で第一線を走るスタッフとキャストだが、
このメンバーがこの作品を作ることに大きな意味があると思う。
これもあくまでも自分勝手な見方。

この作品は実話で米国の闇を描いている。
それは自分たちがその闇を表現しなければならないという使命感。
その使命感は当時を物語るだけでなく、今の時代にも繋がる使命感。
ここに彼らのメッセージがあるのではないかという、
あくまでも僕の勝手な想像力。

映画はひたすら硬派。
1970年代の姿を巧みな時代考証(多分・・・)であぶり出していく。
どんどん引き込まれ、まるで自分も当事者になってしまったかのよう。

新聞社の社主であるメリル・ストリープと編集主幹のトム・ハンクスは対照的な人物。
ここで役名にすると混乱するので俳優名(笑)。
どちらの考え方も理解できる。

真のジャーナリズムは何なのかを問うている。
社主を囲む幹部は保身に走る。
一見、会社を守るようにも思えるが保身とも受け取れる。
本作では究極の選択を迫られるシーン。

果たしてこんな時はどんな決断をすべきか。
環境は全く違えども僕も責任者の立場としてはどんな決断をするか、
映画と同時進行で考えた。

判断を誤れば会社を潰し、社員を路頭に迷わせることにもなる。
これは難しい。
経営幹部はケーススタディとして観るといい(笑)。

ここまで書いたところで、映画の中身はさっぱり分からない。
社会派ドラマくらいの認識しかならないだろう。
それでいい。
中身は映画を観て理解すればいい。

では、この作品は観るべきかどうか。
観たほうがいい。

特に何が正義か、
何を信じて自分は判断すればいいのか、
一番大切にするのは何か、
今はそんなことを考えることが難しくなっている時代。
だからこそ必要な気がする。

それにしてもトム・ハンクスは映画出過ぎじゃないか(笑)。

最近、本来観るべき日本映画の数が減り、
洋画ばっかり観ている映画コラムニストのブログでした。

映画「15時17分、パリ行き」

クリント・イーストウッドは常にチャレンジしている。
そして、いつも我々に問うている。
本作もそんな作品。

87歳になられる現在も製作者としての貪欲さは忘れていない。
勝手な見方でしかないが、それはご自身の挑戦であり、
映画界への問題提起でもあるように感じる。

この作品の評論をしようと思うとどうしてもネタバレになってしまう。
どこまで表現していいか、僕の映画コラムニストとしてのスキルが問われるが、
まあ、そんなことはどうでもいい(笑)。

僕の本作に関しての事前知識はほとんどなし。
たまたま時間的な都合が良かったのと
監督がクリント・イーストウッド氏ということだけで観ることにした。
偶然が重なった。

観ながら感じた。
これはドキュメンタリー映画かと・・・。
それはある意味正解。ある意味不正解。
しかし、観客の多くは僕と同じで巧みに騙されていく。

それは決して気分が悪いものではない。
主役の3名の生き方に吸い込まれていくように、時に共感し、時に反発する。
普通というよりもちょっと問題児であった3人が少しずつ大人になり、
自分たちの生きていく世界を求めていく。

本作は実話を忠実に描いている。
これは映画を観終わった後に分かったことだが、主役の3名はその実在の人物。
すなわち本人。
ここでもクリント・イーストウッドは実験的だ。
映画の新しい可能性にチャレンジしている。

なぜフランスの大統領が映画に出演しているのか不思議に思ったが、
なるほどそういうことか・・・。
このあたりはネタバレになるので、書くのを止めておく。

表現として正しいかはともかく、
主人公の3名はクランボルツの言うところの「プランドハプンスタンスセオリー」。
偶発的な出来事が運命であり、それは本人にとっていい人生になるということ。
それを証明した映画であり、主役3人の人生でもある。

クリントイーストウッドは我々に問う。
偶然を受け入れているか。
諦めない毎日を過ごしているかと・・・。

この先も彼の作品は観ていきたい。

映画「グレイテスト・ショーマン」

映画は人を幸せにする。
音楽は人を楽しくさせる。
ダンスは人を興奮させる。
まさにそんな作品だった。

僕はミュージカル映画はあまり観ない。
昨年話題になった「ラ・ラ・ランド」も観ていない。
「レ・ミゼラブル」以来だ。
観ない理由は特にないのだが、物語が進行している最中にいきなり歌が飛び出したりすると
どうしても感じてしまう違和感。
しいて言えばそれが理由かもしれない。

しかし、本作に関しては、その違和感は全く感じることなく、
むしろワクワク感に変わっていった。

これだけ最初から最後まで気持ちよく観れた映画は久しぶり。
どんな優れた映画や評価の高い映画でも全編通して楽しい映画なんて、まず存在しない。
壮絶なシーンがあり、のちに感動を呼び込む。
息苦しいシーンはついて回る。
それが映画の盛り上がりに繋がるのだが、本作はそうではない。
もちろんハードなシーンはなくはないが、最初から最後まで楽しい。

メインとなるサーカスのシーンだけでももっと観ていたい。
舞台となるのは19世紀だが、サーカスの中で繰り広げられるパフォーマンスはまさに現代的。
最先端のエンターテイメントショーを見せてくれる。

そして、お決まりのハッピーエンドでの終わり方。
なかなか、やるじゃないか(笑)。

主役のヒュー・ジャックマンも「レ・ミゼラブル」以来だが、
なんてステキな俳優なんだと思ってしまう。
歌も上手ければ踊りも上手い。
男としては許せないくらいズルい(笑)。
そして、2人の娘も可愛かった。

ちょっと落ち込んだ時、
気分を盛り上げたい時、
仕事で疲れた時、
何も考えたくない時、
そんな時に観てもいいのかもしれない。
若いカップルも、バリバリ仕事してそうな女性も、
僕のようなオジサンも楽しそうに映画を観ていた。

そう、映画は人を幸せにするのだ。

「いい会社」って、どんな会社ですか?

本書も日経トップリーダーから送られてきた1冊。
塚越会長の著書や講演は以前から伺っているので、
読む前から大体の内容はイメージすることができた。
サイボウズ青野社長やユーグレナ出雲社長の対談は
日経トップリーダーにも掲載されていたので、復習的な要素が強かった。
2社ともユニークな経営者として知名度が高く、社員ファーストの経営を実践されている。

言葉で「いい会社」というのは簡単。
僕自身も「いい会社」を作ろうと常に心掛けている。
しかし、その言葉通りにさせるのは難しい。
仮に僕ができたと思っていても、会社のメンバーがそう思っているかは別問題。
制度を整えつつあるつもりでも他社と比較し足りない面は多いし、
そもそもできていない点は数知れず。

これからの働き方について取り組む姿勢はあっても、
まだまだ昭和的な感覚が僕の中に潜んでいるのも確か。
その価値観を完全に消し去ることは至難の業。

物わかりのいい経営者のつもりでも分かったつもりでしかないのは反省。
自分たちが仕事で育ってきた環境と
これから育てる環境は極端な話、180度違うといっていい。
だが、それは一気に180度変わったのではなく、数度ずつ毎年毎年変わり続け、
気づいた時には180度変わっていたのだろう。
変化は必要だが、いきなりの大変化はリスクを伴う。
塚越会長が年輪経営を語るように地道な変化を繰り返すことで、
気づいた時に大きな変化になっている。

僕も常にそんな意識だが、少しずつの変化も簡単ではない。
サイボウズの青野社長のようにスピード感を持って進めた方が、
ギクシャクしながらも改革は早いのだろう。
レベルの問題もあるし、難しいところ。

特に最近は「働き方改革」が叫ばれる中、やらねばならないことは多い。
昨日の中日新聞に偉そうにコメントしていたことが、
自分でできているかと言えば疑問。

あの言葉だけ受け止められるとそれはそれで誤解を招くな。
もっとたくさんのこと喋ってるんだけど…(笑)。

いつも理想と現実の狭間でもがいている気がするが、
それが健全と言えるのかもしれない。
「働き方改革」が「働かない改革」や「働かせ改革」になるともいえるのだから。

塚越会長は本書の最後にこんなことを書かれている。
いい会社とは、数値だけでなく、情緒的な要素を含む全体のイメージがプラスである会社。

この情緒的という曖昧さはかなり難しいが、
言わんとされていることはよく理解している。
確かにそれが大切だと思うし・・・。

常に取り組んでいかねばならない。
会社経営には終わりがないのだから・・・。

高卒採用は宝の山

先日、日経トップリーダーのプラチナ会員に送られた書籍。
CDと他の書籍と一緒に届けられたのだが、どんな意味があるのだろうか?
といってもタイミングとしては絶妙。

高卒採用のことをもっと学ばねばと思っていた時期なので、そのプレゼントに感謝。
従来、僕への講演依頼は大卒の新卒採用戦略がほとんどだったが、
最近は環境の影響もあるとは思うがその幅が広がってきた。
中途採用だけであればいいが、高卒の採用手法についても求められるようになってきた。

先日もある自治体から高校生の保護者に対して話をして欲しいという依頼を頂いた。
「専門分野ではないので責任取れませんよ。どうなっても知りませんよ。」
と話すのだが、謙虚な姿勢ぐらいで受け取られしまう。
正直に話してるんですよ・・・。
いい機会でもあるので、お引き受けはするんだけど・・・。

来週には板金加工を中心とする製造業の団体で講演も行う。
事前の打ち合わせでは、やはり採用の中心は現場の高卒がほとんど。
そうなってくるとこれまでの内容だけでは片手落ち。
採用に対する基本的な心構えや考え方は同じだが、その採用手法や求める人物像は異なる。

それを学ぶに本書は参考になった。
本書には高卒を積極的に採用する企業21社とそこに働く人が取り上げられている。
成功事例が並べられているので、何かのガイドブックみたい(笑)。
それはそれとして、各社は取り組みは真剣で、
大卒の補完やブルーカラー職の採用ではなく、コアな業務を任せるために採用しているケースが多い。

また、取材対象の若手も働く意欲は旺盛。
お手本になる社員さんを登場させているのだから、まあまあ当たり前。
それでも好感が持てる。
高卒で活躍する方の話をまとめると総じて目的意識が高い。
経済的な自立をしたいとか、手に職をつけたいとか、
社会に早く出たいという理由がほとんど。
経済的な理由で就職しなければならない場合もあるが、明確な目標を持って就職している。
そこが大きな違い。

なんとなくとか、進学に失敗したので・・・という理由だともっと離職に繋がっているだろう。
進学率が高くなり、高校卒業者105万人のうち、専門校・職業能力開発施設含め進学するのは81万人
(2016年3月文部科学省学校基本調査)
就職するのは19万名弱。
高卒採用数の方が圧倒的に少ない。

それが今の現状。
企業選びも学校から勧められたとか先輩がいるからと理由が多く、大卒とは大きく異なる。
その中で企業を差別化していかねばならない。
キャリアパスやキャリアアップのプランをどう提示できるかで成否も変わる。
だとしたら、高卒採用よりも大卒採用の方が容易な気もするが・・・。

どちらにせよ大卒だから企業の中心とは言い切れなくなったのは事実。
相当な二極化、いやもっとえげつない2:6:2の法則が成り立っているのかもしれない。
そんな大卒よりも伸びしろが大きい高卒の方が期待できるというのは否定できない。
大卒も高卒も大差ないといえるだろう。

大切なのはきちんとした目的を見つけること。
それさえあれば可能性は限りなく広がる。
本書で参考にできる情報は引っ張り抜いて、今後の登壇の場にも役立てていきたい(笑)。

映画「ダンケルク」

昨年話題になったが見逃した作品。
最近、Amazonプライムにアップされたので299円を支払って観た。
最新作はタダではない。
しかし、この価格ならメチャ魅力的ではないだろうか。
Amazon恐るべし・・・。

戦争映画だと知ってはいるが、それ以外の知識はない。
監督は「ダークナイト」のクリストファー・ノーランとは知っていたが、
何を得意とする監督なのかは何も知らない。

映画によっては予備知識。すなわち予習が必要。
特に歴史ものはそう。
少なくとも本作はある程度予習をしていた方が、楽しめる作品だと思う。

ダンケルクとはフランスの海岸のこと。
そんなことも全然知らなかった。
世界史ももっと勉強しないと・・・。

ドンパチと激しい戦闘シーンがメインの映画だと思っていたが、その欠片もない。
確かに闘うシーンはあるが、燃え上がる炎や自らを省みず闘う姿は少ない。
一人ひとりの葛藤や逃げ惑う姿がこの映画の象徴。
国目線でもなく、勝利を導く強烈なリーダーシップが存在するわけではない。
一人ひとりは弱くてネガティブで、それでも立ち向かう姿を描く。
前線に立つ連中も使命感は強い。
そのためか一人ひとりは黙々と自分の任務をこなす。
必要以外な会話はない。
主役であるフィオン・ホワイトヘッドも台詞はあまりなかった。

戦争映画ではあるが静かに流れるシーンも多いので、
デスクトップパソコンで観るには少し厳しい。
いい緊張感を持たせるにもでかいスクリーンで観るのが最適。
時々、寝落ちしそうになったのは作品の出来の良し悪しではなく、
僕の置かれた環境であろう。
いい映画は体調も万全に臨まねばならない(笑)。

映画を通して歴史を学ぶことは可能。
僕は知らない世界が多すぎる。
無知を露呈するつもりはないが、書籍だけでなく映画を通して歴史、
文化を知ることはもっと行うべき。
そんな点も含め、もっと歴史や文化を学ぶために映画を観ていこう。

映画「祈りの幕が下りる時」

「新参者」シリーズはドラマ、映画を含め一度も観たことがなかった。
本作も予告編には惹かれたものの、
本シリーズを観ていない理由で観るつもりはなかった。

しかし、映画評論仲間のBush解説員がベタ褒めをしていた。
そして、彼もこれまでの作品は観ていないという。
以前の作品を知らなくても影響がないと言われるので、
その言葉を素直に受け止め観ることにした。

結論から言おう。
その言葉は本当だった。
犯罪ミステリーというよりは上質な人間ドラマ。
号泣した観客も多いだろう。

予告編で流れるシーンに名作「砂の器」をダブらせていたが、
あながち間違いではないようだ。
僕の感性もまだまだいけるということ(笑)。

80年代半ばにあの田んぼ道を歩くのは正直違和感を感じたが、
演出的には気持ちを盛り上げてくれる。
ちょうど僕が大学に進学する頃なので、
もう少し時代は進んでいたはずだと・・・。
まあ、そんな話はどうでもいい。
感情が重なり合う時に生まれる行動は誰もが共通するのかもしれない。

僕は阿部寛氏扮する加賀恭一郎という人物を知らない。
どんな事件を解決し、どんな性格かも分からない。
だが、これを観ただけで人間的な魅力とその明晰さは理解できる。

高揚した今の気分でいけば、全シリーズを観てしまうかもしれない。
それだけ引き込まれた。

それと同時に思うのは、「最近、作品多過ぎじゃね?」ということ。
本作を観ていた時に流れた予告編「空海」にも「北の桜守」にも出演している。
毎年のように主演作が上映されている。
日本映画界はこの人に頼りすぎじゃないかと思ってしまう。
もちろん映画映えするタイプではあるんだろうけど、
もっと他の男優さんにも活躍して欲しいものだ(笑)。

本作は東京・日本橋がカギ。その周辺の橋がたくさん登場する。
きっと僕もいくつかの橋は渡っているはず。
茅場町のあの橋もそうなのかな?とふと考えてみたり・・・。

日本映画のいい点はいろんなロケ地が自分とオーバーラップさせられるところ。
そんな意識をしながら映画を観るのもいい。

親子の大切さを感じる感動する作品だった。

もっと映画を観ないと・・・。

自称「映画コラムニスト」であるワタクシ。
自称は自傷という話も・・・(笑)。
映画コラムニストを名乗っていながら、
それに相応しい本数を観ているかというとそうでもない。

2017年、映画館で観たのは26本。
そのうち日本映画は17本。
圧倒的に日本映画の割合が高いわけだが、優秀作品は見逃しているケースが多い。

先日、発売されたキネマ旬報の日本映画ベストテンは、
1位 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
2位 花筐/HANAGATAMI
3位 あゝ、荒野(前篇)(後篇)
4位 幼な子われらに生まれ
5位 散歩する侵略者
6位 バンコクナイツ
7位 彼女の人生は間違いじゃない
8位 三度目の殺人
9位 彼女がその名を知らない鳥たち
10位 彼らが本気で編むときは、

結構、小粒で男女関係を描いた映画が多い。
そのうち僕が観たのは「幼な子われらに生まれ」「彼女の人生は間違いじゃない」
「三度目の殺人」の3作品のみ。
これでは映画コラムニストとして失格。
読者選出ベストテンにおいてはたった2作品のみ。
中には名古屋で上映されていない作品もあるが、これでは何も語ることができない。

外国映画もベストテンに入った作品は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と
「ムーンライト」を観ただけ。

それにしても知らない作品が多い。
予告編が気になったとか、話題性が高いとかだけで観ているので、
肝心な作品を見落としてしまう。
もっと情報を仕入れて映画館に向かわないといけない。

将来を考えるとこれではダメだ。
映画コラムニストととしてのポジションを確保するためにも気合を入れ直す。
1月は2本しか観れなかったが、気持ちも新たにこのブログでも紹介していきたい。
最低でも月に3本は観ておくべきか。
こちらの仕事をメインにする覚悟が必要。
よしっ、映画を観てから出勤するぞ(笑)。

あっ、そうそう、昨年の作品では「あゝ、荒野」を今すぐにでも観たい。
早くAmazonプライムに追加されないかな・・・。

アマゾンが描く2022年の世界

初めて電子書籍で読んだ。
これまでも何度かkindleに落としたものの、その行為に満足し未読のままで終わっていた。
マンガは何冊か読んだが、書籍としては今回が初めて。

まだまだ印刷された書籍の方が頭に残る感じはするのはアナログ人間だからだろうか。
もっと積み重ねることが必要か。
線の引き方とかそれの出し方とかイマイチ要領を得ないし・・・。

本書を読み、自分自身がアマゾンに取り込まれているのが再確認できた。
はっきりいってこれは危険な兆候。
簡単に巻き込まれてはいけないと思いつつ、思うツボ状態。
アマゾンは利益を薄くすることで参入障壁を高くする戦略。
ある意味、徹底的な安売り戦略。
ポーター的に言えば圧倒的なコストリーダーシップ戦略。

Amazonプライムなんてみれば一目瞭然。
一年間で3900円の料金で映画が見放題。
一年前の公開作品が続々と追加される。
これではレンタルビデオのビジネスモデルが成り立つわけはない。
電子書籍も同様。
宅配の必要がない分、コンテンツを揃えれば圧倒的な競争優位に立つ。
そして、アマゾンエコーやアマゾンゴーの存在。
ビックデータを基に世界を牛耳ってしまう。

ソフトバンクとヤフー、イオンの3社が共同でインターネット通販事業を始めると
昨日のニュースで流れていたが、本当に対抗できるのだろうか。
もう少し早ければ市場を取ることはできたと思うが、
今の状況の中で強敵な存在としてなり得るのだろうか。
日本企業として応援したいと思いつつも、
自らの行動を変えることができるかは何とも言えない。
Amazonはその先を行っているようにも思えてくる。

ベゾス氏が常に口にしているのは
「顧客第一主義」「超長期思考」「イノベーションへの情熱」という3つのバリュー。
生半可なこだわりではなく、その徹底ぶりをみるとちょっと恐ろしくもなったり。
カスタマーエクスペリエンスという耳障りのいい言葉に振り回されないようにしないと・・・。
すでに手遅れかもしれないけど(笑)。

本書でアリババの脅威を初めて知った。
Amazonとは全く違う戦略で中国全土を制覇している。
こんなに力がある企業とは知らなかった。
無知は罪ですね・・・。

マーケティングの知識はある程度持っていたつもりだが、
4CとかP2Pとか新しい概念に追いついていなかったり・・・。
こういった書籍を読むと自分の頭の古さを痛感してしまう。
気をつけないと・・・。

それでも電子書籍ばかりに頼ることなく、
紙の質感や匂いを忘れない感性も持っていたい。

映画「息もできない」

公開されたのは今から10年前。
ずっと気になる作品だったが観る機会がなかった。
TSUTAYAに行っても本数が少なく貸出中ばっかりだったし・・・。
今回、Amazonプライムに加わりようやく観ることができた。
やっぱりAmazonの回し者?(笑)。

これは当時の韓国の社会を描いているのか、
万国共通の家庭間の闇なのか、それは分からない。
平凡な生活を送る者としては避けて通りたい世界の話である。

本作は冒頭からグイグイ引き込まれ、
体も心もグダグタになったところで映画は終わる。
本作の紹介によっては純愛ストーリーとあるが、そう捉えるのは結構酷だ。
確かにその要素は多い。
2人だけのシーンはその要素はあるし、言葉にならない言葉に愛を感じるのは事実。
当然、キスシーンもなければ、手をつなぐシーンもない。
あくまでも暴言を吐き、その乱暴な言葉から愛情を推測するしかない。

この作品もそうだが、昨年観た「愚行録」でも「ムーンライト」でも
いかに子供の頃の生活環境がその将来に影響を及ぼすか、
生き方を大きく変えてしまうか、共通するところ。
健全な環境でないと健全な育て方はできない。

この暴力的な主人公も被害者であり、実際、それは自分自身も理解しているが、
自分ではどうすこともできず、暴力に頼るしかない。
それがとてもせつなく、観る者を動揺させる。
それが映画の最大の魅力だ。

僕は韓国映画に詳しくない。
今まで観た映画は暗い作品ばかり。
それが特徴なのか?。

本作は主役のヤン・イクチュンが監督も手掛ける。
こんな野蛮な顔をした役者が、こんな繊細な映画を作ることができるのか。
それだけでも観る価値はある。
それ以外にも観る価値もあると思うが、それは一体なんだろうか・・・。
観ていない方は、ぜひ、確かめてもらいたい。