これからも前向きに 名大社会長ブログ

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雨の第1回ハゲタカ鑑賞会

昨日は以前から案内していたハゲタカ鑑賞会の第1回目を行った。天気は雨。ドラマをご覧になった方は思い出すだろうが、葬式のシーンを思わせるような天気。まさに開催するに相応しい日となったのだ。
(やや強引か・・・)
幹事の櫻山さんと吉原さんとでランチをしながら、打ち合わせ。そして入念なチェック。
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吉原さんが持参した高性能スピーカーで会場内は映画館のようにもなった。
(やや大げさか・・・。途中、音切れしてしまったのは想定外(笑))
当初、ハゲタカを観てみんなで感想を言い合って、その後、楽しく飲もうというお気楽な計画だったが、打ち合わせをするうちにハードルが上がり、ファイナンスや企業経営の観点からグループワークを行う流れへと移行。かなりマジメな路線を走ることになった。
参加者は13名。その顔触れも様々だが豪華。経営者、大学の先生、一流企業の財務担当、MBA取得の経営戦略担当、ターンアラウンダーなど、僕を除き(笑)切れ味鋭い方々に集まって頂いた。
今回は全体の趣旨説明と第1回の「日本を買い叩け!」を上映し、グループワークへ。ドラマの感想を語るまではないが、グループワークはこちらも大いに刺激を受けることに・・・。
いやあ~、びっくり。その視点の高さに驚いた。
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それぞれの立場から物事を捉えられている面もあるだろうが、僕が全く気付かないような観点でドラマ自体を捉えられている。
不動産中心の日本の資産価値の在り方の変換期、投資と融資のはき違え、1998年は日本の金融機関の仕組みが外資の仕組みに負けた年、公正な価値の認識の違い、日本型経営の行き詰まりが露呈したのがバブル崩壊後などなど、60分のドラマからよくここまで深堀出来るなと感服せざるを得ない白熱した議論となった。
この議論だけでも相当な学びだし、有意義な時間。アベノミクスで浮ついた今の時期だからこそ、このドラマを観て話し合う必要もあるのではという何とも嬉しい感想もあった。
鑑賞会終了後は、近くのキャバーンで懇親会。
オーナーに無理を言い、ハゲタカのメインテーマをBGMをバックに乾杯。ここでもハゲタカの話を中心にしながら、各方面の話に花が咲いた。
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ハゲタカ鑑賞会終了後は、007上映会だ、山崎豊子シリーズがいい、いや寅さんだ、その前に日活ロマンポルノじゃないかと勝手に上映会の企画が持ち上がっていった(笑)。上映会は延々と続くな・・・。それも含め楽しい会だった。
解散時はすっかり雨も上がり、足取りも軽く帰宅することができた。
第1回ハゲタカ鑑賞会は盛況のうちに終了。
櫻山さん、吉原さんの両幹事を始め参加頂いたみなさんに感謝!

映画「アルゴ」

アルゴ
この緊迫感はたまらない。特に電話の鳴るシーンの緊張感はどんな巧みな演技よりもアクションよりも張り詰めたものがある。
2012年度キネマ旬報読者選出部門1位の評価はうなずける。社会派ドラマで久々に手に汗握った映画であった。
イランの米大使館占拠事件を題材にした実話だが、これだけを観るとアメリカが正義でイランが悪者という印象が残ってしまう。互いの政治的背景に関して何かを言う立場でもないので、その事件については触れない。この事件に対して僕が無知なだけであるから・・・。
ただ実話が映画のフィクションを越え、こんなにもリアルにスリリングな世界になったのは衝撃。それはドキュメンタリーを思わせる演出やその当時をイメージさせる映像が更に衝撃を強くする。まんまと監督の術中に嵌ってしまったわけだ。
どんなストーリーなのかはここで話すべきではないが、ところどころに表現されるユーモアがうまい具合に緊張感を解いている。そうでなければ2時間でかなりくたびれてしまう。観たのが何もない時間帯で良かった(笑)。
監督で主演でもあるベン・アフレック氏は全く知らなかった。調べてみると「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」をマット・デイモンと一緒に脚本を書いている。10年以上前に観た秀作であるが、マット・デイモンの印象が強いため、この監督が絡んでいたことを知らないは当然かも・・・。今後、注目すべき映画人だろう。
映画のあらすじだけ読むととても重く一歩前に踏む出すのに力は必要だが、見ておくべき映画である。

起業家

起業家 起業家
(2013/04/12)
藤田 晋

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前作「渋谷ではたらく社長の告白」と本書とどちらが面白かったかと言えば、僕の場合、前作になる。
これは本書を否定しているのではなく、自分の置かれる環境の変化に左右されているものと思われる。あくまでも自分の中でそう感じるだけで正確かどうかは定かではない。
サラリーマンだった8年前と現在の自分の立場の差がそうさせているようにしか思えてならないのだ。藤田氏の修羅場のくぐり方と僕とでは雲泥の差があるが、少なくとも修羅場をくぐったという事実を背景にすると、以前より自分に与えるインパクトが薄らいでいる気がする。
もしかしたら世の中の出来事に不感症になったつまらない人間なのかも・・・(笑)。と言っても、大した経験はしてないけど。
本書を読むと経営者の苦悩がよく理解できる。メディアに登場するオモテの顔と社員にも見せないウラの顔。逆の方が正しいかな・・・。
特に著者のように頻繁にメディアに登場し何かと話題となる存在であれば、オモテとウラがよりはっきりする。信用力強化や資金調達での重要性は十分認識しているが、公開企業なんて余計な仕事ばかり増えるような気がしてならない。
上場したいと言ってもできないから問題ないが、上場企業のトップは周囲に振り回されるばかりでロクなことがないと思えてならない(魅力があるのも承知してますが・・・)。しかし、そこも含めて立ち向かうことこそが上場企業のトップの役割であり、藤田氏の存在価値なのだろう。
苦悩と戦いながらも、自分の信じることでやり抜く精神力と行動力には感服するし、結果として周囲に与えている影響力の大きさは人間力の表れだろう。僕よりも随分年下だが学ばなければならない面は多い(当たり前な話だ)。
アメーバピグなんて定着して随分経過していると思いがちだが、それほど歴史があるわけでもない。うちの娘なんてアメーバピグがない生活は考えられないと思うが、まだ最近のことだ。そう考えるだけでもこの分野のスピードは凄まじい。一人の天才が現れただけで、数年後には業界が一変してしまう。変化を知り、素早く対応することを常に心がけなければならない。
それにしてもアナリストの言う事はほんとアテにならない。藤田氏のアメーバ事業を酷評していたかと思えば、黒字化した途端、手のひらを返したような発言に・・・。一番、いい商売かな・・・(笑)。
本書を読んで一番感じたこと。
藤田氏は身を持って示している。諦めなければ、いつか願いは叶うと・・・。

辞めないのも勇気だよ。ドラマ「ハゲタカ」

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先日の丙午同級生社長 櫻山さんのブログにあったようにドラマ「ハゲタカ」の鑑賞会を有志で行うことになった。
5月11日を皮切りに全4回のスケジュールでドラマを観ながら、ファイナンスや企業の存在価値、存続についてディスカッションするかなり真面目な企画。
当初は楽しく観て、飲んで騒いでというお気楽な企画だったが、ビジネススクール仲間の吉原さんとも打合わせをするうちにどんどん難解でハードルの高い内容に移行してしまった。ちょっとヤバいな・・・(笑)。
その打合わせ中に櫻山さんが持参したのが、ハゲタカのDVD。
試写をしながら段取りをしていたわけだが、そのDVDを観ているうちに無性に欲しくなってきた。ドラマをご覧になった方ならご存知の「大木流経営論」もオマケでついてきたり、未公開シーン集もセットされお得感もあるこのDVD。子供が友達が遊んでいるゲームを欲しがるのと全く同じ状態。親にねだったりすることはないが(笑)、愚かにも勢いでそのDVDを購入してしまった。もう何度も観ているというのに・・・。
僕はこのドラマをいろんな状況の中で見てきた。2007年の放送だから6年も前の話だが、その間、いろんな出来事があった。
自分は仕事ができると調子こいてた時期。役員を降格になり、一人で飛び込み営業をしていた時期。前社長から会社を引き継ぎ覚悟を決めた時期。
その時々で多くのことを教えてくれた。励ましであったり、勇気であったり、または反面教師であったりと・・・。
西野屋、サンデートイズ、大空電機の社長の立振る舞いを見るだけでも、トップのあるべき姿を考えさせられる。想いが詰まったドラマなのだ。
買ってしまうのも仕方ないか・・・(笑)
そんな「ハゲタカ」の鑑賞会が間もなく開催される。詳細の案内は櫻山さん、吉原さんと人任せだが(笑)、参加されたい方はご連絡を!
昨日は第1・2話を観たので、今日は第3話を観ようかな・・・。ブログタイトルのセリフもいいな。

「何者」を読む

何者 何者
(2012/11/30)
朝井 リョウ

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多分、今より20年以上自分が若ければ、全く違う感じ方をしただろう。置かれる環境の違いがあるとはいえ、誰もが通る道であるような気もするし・・・。
46歳のオッサンの共感度と22歳の共感度は同じ人物であっても、歩んできた人生で変化していく。それがいいのかどうかはわからないけど。
だからかもしれない。
僕は今の仕事上の立場から、就職活動をテーマにした本書を手に取ったのだが、読みながら想うのは現役の学生のことではなく、自分の就職活動のこと。携帯電話もSNSもないバブル期の自分の就職活動時期とオーバーラップさせながら、読み進めていた。
そして、思い出したこともあった。僕は広告会社を目指し、就職活動をしていた。基本は名古屋地区だったが、時々、東京の会社の選考も受けていた。
ある時、宿泊先も決めず泊まりかけで東京に出掛けた。右も左もわからず知り合いもほとんどいなかったが、何とでもなると思いながら。
偶然、同じ広告会社を受けた隣に座った学生と意気投合して、その晩は彼の下宿先にお世話になることになった。一緒に銭湯に行き、ビールを飲みながら、自分たちの将来について真剣に語り合った(今思えば恥ずかしいくらいの甘い考えの話だったように思う)。
お互いその広告会社とは縁がなく、二度と会う機会もなかったが、継続的に手紙でお互いの状況を報告をした(時代を感じるな・・・)。あの時、食べたギョウザが妙に旨かったような気がする。
そんな事を本書を読みながら思い出した。好きとか嫌いとか、この会社がカッコいいとか、青春チックな時間だった。
全然今の立場に相応しい読み方をしていないじゃないか・・・。
今年入社した新人にも、現役の学生にも、本書を薦められた。きっと今の学生の気持ちを理解して欲しいという願いがあったのだろうが、ちょっと違う方向へ行ってしまったようだ。でも、感じてるからね。ご心配なく・・・(笑)。
直木賞も受賞した本書は、今の学生よりもむしろ僕世代もしくはもっと上の世代が読むべきなのかもしれない。twitterもやらず、今の就活環境を知らない方は全く理解できないと思うが、時折溢れ出す感情は今の若者を正直に映しているだろう。
いつまでたっても「今どきの若いのは・・・」なのだが、その状況は知っておくべきかもしれない。

さてさて、今年のゴールデンウィークは・・・。

昨日の夜はドラマ「ハゲタカ」上映会に向けた打ち合わせ&懇親会。かなりハードルの高い上映会になりそうだが、新たな気づきも得られる予感。美味いお酒も飲めたいい時間であった。
そして、明日から名大社はGW休暇。昨年はカレンダーのこともあり9連休だったが、今年は暦通り。
3連休のあと、3日出勤し4連休に入る。中途半端といえばそれまでだが、社員は誰もブツブツ言っているようには思えなかったので、これで問題ないのかもしれない。ブツブツの声が僕まで届かなかっただけかもしれないが・・・。
何かとバタバタするGW期間なので、予定を全く入れずにここまできた。
するとどうだろう。全く予定がない。遊びの予定も仕事の予定もない。こんな時こそ、家族サービスをしようと思うのだが、娘は部活や友達との遊び、息子は少年野球三昧、嫁はそのお供と見事に予定が詰まっている。
気がつけば自分だけ何もない状態なのだ。こんなことなら仲間と一緒にマラソン大会にでも出ればよかったが、当然、エントリー受付は終了しているので、それも無理。どうやら寂しいゴールデンウィークになりそうだ。誰か遊んでくれないかな・・・(笑)。
何もないなら思い切ってストイックな生活を通してみようか。
この4月は通常月に比べかなり暴飲暴食を繰り返した(いつもでしょとツッコミもあるかもしれないけど)。深夜のラーメン、カレーうどん、お好み焼き、果しないアルコールと続いていた。
久々に体重計に乗ったらビックリするほどの体重になっていた。ランニングも今月は50km弱と目標にはほど遠く、昨朝走った時も全然スピードも出なかった。おまけに財布の中味も随分寂しくなった。
だから、いい機会なのかもしれない。まずはこの3日間で50km走り(これは難しい)、規則正しい食生活を全うし、できるだけ酒量を減らす。いや、できるだけ飲まない。今の生活でも体調は絶好調だが、拷問に近いストイックな生活を送れば、さらに健康体になれるのかもしれない。
ストイックついでに読書量も増やし、知識も身に付けたい。どうにもつまらない休暇の過ごし方だが、たまにはそれもいいだろう。急なお誘いがあれば、いとも簡単にこの意志は崩れると思うけど。
天気もよさそうだし、たまにはウッドデッキで日光を浴びながら、まったりと贅沢な時間を過ごすとしよう。

キャパの十字架

キャパの十字架 キャパの十字架
(2013/02/17)
沢木 耕太郎

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僕の本書の感想は、なぜそこまでこだわるのだろうという本来求められる内容とは異なる。
著者の沢木耕太郎氏がなぜ、そこまでキャパの1枚の写真にこだわって、最終的に歴史を覆す行為までしてしまうのだろうかと。僕の純粋な問いはそこにあった。
しかし、沢木氏の一番の魅力はそこにあるのかもしれない。「深夜特急」しかり「一瞬の夏」しかり「檀」や「凍」でも。そのこだわりは半端ない。
時に対象となる人物の人生までも変えてしまう。それを自然体に近い行動の中で成し遂げてしまう。恐ろしい作家であり、最も生き方として羨む作家である。
既に多くの書評で傑作との高い評価がされているので、ベタ褒めしたりケチをつけたりすることはない。どんな作品であろうと僕は一ファンとして読むし、その背後にある沢木氏の物事に対する純粋な捉え方に憧れ続けるのだろうから・・・。
最近はエッセイの出版が多かった。このようなノンフィクションって久々じゃないだろうか。年齢が60代半ばだというのにまだまだ精力的な活動をされているのであれば、かなり嬉しい話だ。一体、次はどんな対象を取材し、どんなテーマで書かれるのだろう。どこまでルポライターとして存在感を際立たせられるのかな・・・。
沢木氏の著書はほとんど読んでいるはず。なぜか「危機の宰相」は読んでないが、これは遅かれ早かれ読むこととなる。
そして、決定的に読んでいないのは(こんな表現方法はないな)「キャパ その青春」「キャパ その死」の翻訳物。
キャパ
でも、後篇は10年以上前に古本屋で見つけて手元にはある。前篇を探していたのだが、いつの間にかそんなことは忘れていた。こだわりが弱いとしかいいようがない。
この翻訳を読んだ後に今回の著書を読むとまた違った感想を持つのかもしれない。どっかのブックオフにあるのかな・・・。

映画「かぞくのくに」

かぞくのくに [DVD] かぞくのくに [DVD]
(2013/03/22)
安藤サクラ、井浦新 他

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あり得ないようであり得て、遠い世界のようで身近なことなのかもしれない。
我々の住んでいる環境がいかに幸せで自由かを理解しようと思うと、そうでない世界と比較するのが一番。ものを考える自由を奪われるのはどれくらい辛いか想像はできないが、実際に思考停止の状態が幸せというのも恐ろしい。考える苦しさを頻繁に経験するが、それがいかに贅沢な悩みかはこの映画を通して知ることは可能。
この映画はそんなことを訴えたいわけではなく、もっと別の深さがあるのだが、そんな風な見方も一つだろう。これがただのフィクションではなく、監督自身の実体験を基に製作されているというから説得力も高い。
ほとばしる緊張感が淡々としたストーリーを引っ張り、冷静そうに装っている井浦新演じるソンホの瞬間的な感情や笑顔が存在としてのもの悲しさを強くさせる。一人静かに観るべき映画だろう。
kazokukuni
ハリーポッターを観ながら喜んでいる子供たちに見せたいが、まだ時期尚早で理解は遠い先になるだろう。そのあたりも興味を示してくれると嬉しいのだけれど・・・。
映画を観ながら気づいたこと。
晴れた日のシーンがほとんどない。ワンカットが長く出演者を追い続ける。これはドキュメンタリータッチに描くための意図的な演出なのかもしれないが、効果的に働いているように思う。出演者の配役もマッチしている。
宮崎美子はすっかりお母さん役がはまり役だ。それも不幸な環境にありながら気丈に明るく振る舞う役が多いように思う。映画「悪人」も同様。いい年の重ね方をされているのかな・・・。
このような社会派ドラマは感想も結構気を遣うが(笑)、いろいろ騒がしい今の状況だからこそ観ておくべき作品であるのは間違いない。

社長は少しバカがいい。

社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則 社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則
(2013/01/25)
鈴木喬

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タイトルに騙されて買った一冊(笑)。
少しでも気休めや自分の自信にもなるかと思ったら、全くそんなことはない。少しもバカじゃない。そんな欠片も感じない。
副題にある「乱世を生き抜くリーダーの鉄則」はごもっともだと思うが、上手く販売戦略に乗せられてしまったようだ。
この一文だけ読むとと、本書を非難しているように思われるが、決してそんなことはない。経営者としてあるべき姿を豪快に映し出していることは間違いなく、激動の時代を乗り越えるためのヒントがいくつも書かれている。
著者の鈴木会長は現在77歳。僕よりも30歳ちょっと先輩になる。本書からそんな年齢は微塵も感じさせない。すこぶる元気でアグレッシブに行動するイメージしか残らない。
表紙の笑顔とは裏腹に厳しい表情も頭に浮かぶ。社長の覚悟とはなんぞやと説き、僕を含めた軟弱経営者に”喝”を入れられている気がした。
エステーは生活日用品のメーカーで成熟したマーケットを戦う企業。一般的な男性は企業名は知っていても、商品の具体的な特徴まではあまり関心がないのではないか。差異が見出しにくい業界ともいえるだろう。
しかし、我々には多くのインパクトも与えている。商品名を歌うだけの「消臭力」のCMでも話題をさらったし・・・(このCMの背景には東日本大震災が関連しているとは知らなかったけど。)これが経営の神髄でもあるようだ。
鈴木会長はあっさりと勉強することを否定している。社長に必要なのは「運」と「勘」と「度胸」で、勉強は身体に悪いと・・・。どこかで聞いたことがるようなフレーズだが、結局はそんな人ほど、多くの勉強をしている。
座学ではないかもしれないが、実践では人の何倍も勉強しているはずだし、それが説得力を生み出しているのだ。
僕はその両面とももっと勉強しなければならない。最近、ちょっとサボってないか?(笑)
あとがきにはこんな強気な発言もされている。チーフ・イノベーターの存在として、「ジョブズが亡くなってしまった。もうこの世には俺しかいない」と。
ちょっと言い過ぎじゃないか。そんな発言であきれ顔されるのも、お見通しのようだけど。
あり得ない話だけど、僕が本を出したらどんなタイトルをつけるだろうか。
「社長はかなりバカでもいい。」
ただのパクリだな・・・。

パナソニック・ショック

パナソニック・ショック パナソニック・ショック
(2013/02/23)
立石 泰則

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書籍のタイトルから、てっきりここ数年の事業の変遷が書かれているものと勝手に想像していた。それは単に僕の想像に過ぎず、内容としては松下電器の創業から現在の苦戦の実態までを歴代の経営者に照らし合わせながら描いている。
これが主観的な見解ではなく客観的事実とするならば、歴史は現在を写す鏡となるのだろう。
僕らはパナソニックの現状をリーマンショック以降の景気低迷や円高、サムソン等韓国メーカーの台頭が原因だと思い込んでいる面が多い。
しかし、それは上辺の情報をなぞっているだけで、物事の本質を見抜く力が欠けていただけのようだ。著者が語るには、パナソニックの現状はその歩んできた経営の在り方にこそ大きな問題があると指摘している。
「中村・大坪時代とは、簡単に言えば、目的地(ビジョン)を定めず、海図(事業戦略)もコンパス(ロードマップ)も持たずに、荒海(世界市場)へ繰り出した船長(中村・大坪)が大型船(松下電器)を迷路に連れ出し放置した時代に他ならない。」と痛烈に批判している。
以前読んだ「さよなら!僕らのソニー」でも当時の経営者ストリンガー氏を完全否定していたのと同様に、何の遠慮もなくバッサリと切り捨てている。
僕の記憶では、中村邦夫氏は「聖域なき構造改革」の先駆者として注目を集めた経営者であったように思う。しかし、実態は自分の意に沿わない社員は排除して、周りはイエスマンばかりとなり、その事業戦略にブレーキをかけるものが者がいなかったため、今日の凋落を招いたようだ。恐ろしい話だ。
僕は大して実力もなくワンマンになるほどのカリスマ性を持たないので、そんな心配はする必要はないのかもしれないが、とんだ勘違いをしないとも限らない(笑)。人間なんて愚かな動物だろうから、見誤ることもあるだろうし・・・。常に自分を客観視することは重要。
企業の規模に限らず経営者というのは自分の功績を残したいと思うのものだ。それは過去から培ってきた理念や文化、教えを時には否定してでも、その足跡に自らを落とし込んでしまう。短期的なビジョンの中でベストな判断だと思い込みながら・・・。
注意しなければならない。本書を読み終え、反面教師として捉える重要性を感じた。
本書のカバーを外すと創業者 松下幸之助が睨みを利かす。
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常に見られていることを意識せねばならない。
パナソニックの経営者であっても、僕であっても・・・。