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カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

個を動かす 新浪剛史、ローソン作り直しの10年

個を動かす  新浪剛史、ローソン作り直しの10年 個を動かす 新浪剛史、ローソン作り直しの10年
(2012/12/13)
池田信太朗

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メディアへの露出が多いので、知らない方はいないだろう。
セブンイレブンの鈴木敏文会長は有名でも、現社長はそうでもなかったり、地元サークルKサンクスの中村社長の顔もパッと浮かばなかったり(すみません)するのではないだろうか・・・。
それだけローソン=新浪社長のイメージは確立されており、元気溌剌な姿が頭に浮かぶ。本書にも書かれている通り、マスコミを上手に「利用」しており、時代を代表する経営者の一人であるのは間違いない。斬新な戦略はメディアを賑わしているが、僕らが知っているのはあくまでも上辺で、詳細までは不明な点が多い。
本書は本人からの聞き取りも含め綿密なリサーチにより、最近までのローソンの10年間が描かれている。
「改革」を言葉にするのは簡単だが、実際にそれを行うのは半端ない力が必要。それも外部から突然現れた社長ともなれば、社員との信頼関係は皆無で、スタートはゼロではなくマイナス。
シラッとした社員の前に立っている姿を想像するだけで、背筋がゾッとする(苦笑)。僕なんかはいきなり会社を任されたと言っても、全てを理解してくれるメンバーと仕事をする訳だから、その苦労は比較にならない。持ち前のパワーだけで解決できる問題でもなく、いかにヤル気にさせるかが重要。
その事については、巻末にスクウェア・エニックスの和田社長が新浪氏の経営手法を代弁している。
新浪さんはヒントを教えてあげた上で「やってみろ」と。それをじっと見守ってやる。そういう感じじゃないですかね。やれると信じてあげる、ということです。だから彼の部下たちは奮い立って動くんじゃないでしょうか。
社長業って人を動かすのが仕事ですから。大きなビジョンを作って「こっちだよ」と言ってあげて、まずそれが社長の一つ目の仕事です。二つ目の仕事は、もうひたすら人を鍛えて、育てて、動議付けをしてそっちに持っていくことですね。

これはうちのような中小企業であれば、まだやり易い面はあるだろうが、ローソンのような大組織となるとそうはいってもかなり困難なはず。とてつもないリーダーシップを発揮されているわけだ。
それは社員だけでなく、バランスよくFCオーナーにも目を向けているから、人間の大きさを痛烈に感じる。ほんの少しだけでもその力を分けて頂きたい(笑)。
本書を読めば、ローソンがマーケティングの会社であることも十分理解できる。セブンイレブンの顧客視点の経営も十分参考になるが、それとは全く切り口の違うローソンの「個客」指向もまた大きな学び。
ビジネスには正解はない。自分たちで創っていくしかない。ほんの少しでも自社に活かせればいいのだけれど・・・(笑)。

映画「東京家族」

東京家族
映画を観た方ならわかるが、上記の写真のようなシーンはあり得ない。
しかし、それを違和感なく受け入れてしまえるのが、この映画の魅力。自分がいかに単純な日本人であることを思い知らされた。何気ないシーンに涙してしまったのだ。
きっと山田洋次監督の作品でなければ、涙することはなかっただろう。
かつて沢木耕太郎氏の著書に山田洋次監督のノンフィクションがあった。かなり若い頃の話だが、「僕の映画には個性がない。個性がないのが個性」と書かれた文章があったと記憶している。
先日、逝去した大島渚監督あたりと比べれば、確かにオーソドックスな手法で映画を撮っている。強烈な個性を感じることはない。
だが、この映画を観ながら、山田作品らしさを十分に感じてしまった。上手く表現できないが、会話の間であったり、差し込まれる風景であったり、エキストラのポジションであったり、らしさが随所に出ていたと思う。僕だけかもしれないが・・・。
この映画はいろんな場で紹介されているように小津安二郎監督の「東京物語」にオマージュを捧げた作品。
僕は残念だが、名作といわれる「東京物語」は観ていない。小津作品は学生時代に「晩春」「麦秋」「秋刀魚の味」は観たくらい。
恥ずかしいが原節子、笠智衆が出演していたことくらいしか覚えていない。まだ共感する面も少なかったのか、正直、面白いとも思えなかった。今、観れば違う感じ方をするとは思うけど・・・。
自分の親や家族について考えさせられる映画の良さはもちろんだが、この作品で一番良かったのはお母さん役の吉行和子。優しい語り口で、いつまでも子供を愛する母親役を見事に演じていた。多分、今年の映画賞助演女優賞を総ナメじゃないだろうか。言い過ぎかな(笑)。そして、中島朋子も夏川結衣も歳を取った(失礼!)。
親を大切にしなければならないと改めて思わせてくれた映画だった。

別れる力 大人の流儀3

別れる力 大人の流儀3 別れる力 大人の流儀3
(2012/12/11)
伊集院 静

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シリーズ第3弾も買ってしまい、一気に読んでしまった。
今年はアルコールの量を少しは減らそうと思っていたが、その思いはもろくも崩れ去りそうだ。やはり飲むことで多くの出会いがあり、より大人になっていける。馴染みに鮨屋くらいできると嬉しいが、それはきっと無理だろう(笑)。ひとりで飲むのも得意じゃないし・・・。
僕は週刊誌はほとんど読まないので、著者の連載を普段の生活の中での接点はない。よりリアルに近づこうと思えば、毎週読むことが理想であるが、まとめて読んだ方が著者の存在により近づけるような気がしてならない。もちろんそれが読まない理由ではないけど・・・。
本書には、先日、引退を表明した松井秀喜氏のことがいくつか書かれている。
当然、現役時代に書かれた内容であり、本書の発売も引退発表前。伊集院氏と松井氏は懇意な関係にあるため、野球を含めた多くの話をしているだろう。
しかし、そこには野球に関しての相談事やアドバイスはないと思う。あくまでも想像にすぎないが、そう思う。この連載を松井氏が読んでいるかもわからないが、ここに書かれている内容が不思議と繋がっているよう思えてしまう。それも僕の想像にすぎないけど・・・。
著者の作品を読むと日本人が大切にしなければならないことを思い返させてくれる。このシリーズだけでも定期的にその機会を与えてくれるわけだ。ありがたい。
参考までに「大人の流儀」「続・大人の流儀」
結局、僕は銀座に行きたいと言っているだけだけど・・・(苦笑)

ちょっと大げさ、「24時間」革命

時間革命
1年のうちに2~3回購入するだろうか、雑誌プレジデント。今回の特集は『「24時間」革命』とかなり大げさなタイトル。いつも大げさだと感じているが・・・(笑)。
それでも手に取ってしまうのは、上手く消費者心理を掴んでいる証拠だろう。
同じような特集を繰り返していると思うのだが、結局、人は同じような悩みや課題がつきまとっているので、まんまと術中に嵌っていく。僕もその一人なんだろうけど(笑)。
今回の特集では、時間の使い方を年収500万、800万、2000万の3つの層に分類し、アンケート結果を基に分析している。バカバカしい面もあるが、なるほどと納得させられる興味深いデータも多かった。
高年収ほど通勤時間を勉強に充てるとか、低年収ほど休日をダラダラ過ごすとか・・・。質問の中に、日曜夜によく観るTV番組という項目もあった。
低年収の方が「ササエさん」を好んで観ているという。ヤバッ・・・。そして、翌日出社したくないと思うことがよくあるようだ。いわゆる「サザエさん症候群」。これにも年収が反映しているとのこと。
僕は今でも家族と一緒に「サザエさん」を観ているが、会社に行きたくないと思うことはない。しかし、20代前半の頃は「サザエさん」を観ながら、「明日は仕事か・・・」と重くなっていたことも事実。そう思うと年収と比例しているのかも。
ただこんなデータに一喜一憂するのではなく、やはりプロの時間の過ごし方を学ばねばならない。
日本電産の永守社長然り、ノーベル賞受賞の山中教授然り。自分では努力しているつもりだが、達人たちと比較すれば赤ん坊のようなものだ。もっと使いこなさないと・・・。ブログなんて書いてる場合じゃないな・・・(笑)。
特集を読んでいて矛盾を感じたこともあった。
デキない人ほど睡眠時間を削っていて、長時間眠る方が脳のポテンシャルは上がるらしいが、ここに登場するデキるビジネスマンたちはちょっと違う。そのほとんどが睡眠時間が短い。矛盾じゃないか?
結局は本人次第という結論になってしまうかな・・・。

間抜けの構造

間抜けの構造 (新潮新書) 間抜けの構造 (新潮新書)
(2012/10/17)
ビートたけし

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著者の作品を読むのは20年振りくらいだと思う。
20代前半に「だから私は嫌われる」や「たけしくん、ハイ」を読んだと記憶している。アマゾンで調べてみるとかなり多くの作品を出版していることに気づかされる。やっぱり才能のある方は違うのだ。湯水のごとくアイデアが沸く。
途中の作品を読んでいないので偉そうに語れるわけではないが、本書は著者の人生観を表現した作品のようにも思う。
特に最終章の「人生の”間”」はそう感じざるを得なかった。自らが起こしたフライデー事件やバイク事故に触れながら、なぜそのような行動を取ったのかも少しばかり述べている。自伝を出されれば、もっと深い話になるのだろうけど。安易に結びつけるわけではないが、その事件前後が生きることにおいて、一番意味を問いた時期でもあるのだろう。
そこも”間”なんだな。こんなことも言われている。
どの時代に生まれてくるかというのは本当に大事だね。その人の”間”がいいか悪いかというのは、どの時代に生まれたかに尽きるんじゃないか。
確かにそう思う。時代より半歩進み過ぎてて認められなかったり、時代遅れのため才能が発揮できなかったり・・・。身近でも結構あり得る話だ。時代に敏感になることが最優先ではないだろうが、その時代を読む力を持ち合わせないと、”間”の取り方を誤ってしまう。自分が気を付けなければならない・・・。
本書にも紹介されているが、北野武映画の間は他の映画に比べ異質だ。それを秀逸と捉える方もいれば、理解不能な方も多いだろう。
本人は全く気にされていないようだからいいのだけど、身勝手といえば身勝手だ(笑)。
僕はあの間が独特の緊張感を生み出していると思う。画面の切り替わりも観客の想像力に任せている。だから玄人受けをするのかなと本書を読んで初めてそんな認識を持った。
やっぱりビジネス書ばかり読んでいると人としての視野が狭くなる。たまにはこの手の本を読んで、自分自身をグイッと広げなければならない。

映画「レ・ミゼラブル」

レミゼラブル
この映画を絶賛する友人が多かったのが理由で観た本作品。シンプルに言ってしまえば、評判通りの素晴らしい作品だった。あまりにも期待していたため、ハンカチを濡らすつもりだったが、そこまで辿り着けなかったのは残念だけど(笑)。
2時間40分の大作の場合、途中でだれて眠くなることがままあるが、この作品に関しては全く時間の長さを感じることはなかった。それだけでも評価に値するだろう。
ミュージカルを観る機会はなく、原作も読んでいない完全素人状態で臨んだわけだが、映画を観終わった感想で言えば、これをどうやって舞台にするだろうと不思議に思ってしまった。
ミュージカルからスタートした人は全く反対のことを考えるだろうけど・・・。時代背景やスケール感だけ捉えれば、断然映画の方が合っているように思えるし。
唄いながらの台詞は映画を観るにつれ慣れてくるので、それほどの違和感はない。むしろパリが舞台なのに全編英語という方が違和感を持ってしまった。当たり前な話だけれど。
そんな事を言っていたら、映画「テルマエ・ロマエ」は一体どうなるんだ・・・。メチャクチャじゃないか・・・(笑)。
くだらないことは置いておいて、この映画の監督を確認してみるとトム・フーパー。
どこかで聞いたことがあるような名前と思い調べてみるとつい先日DVDで観た「英国王のスピーチ」の監督。なるほど・・・。年齢もまだ若い。これは今後が楽しみ。要チェックの監督だな。

絶対に会社をつぶさない 社長の営業

絶対に会社をつぶさない 社長の営業 絶対に会社をつぶさない 社長の営業
(2012/11/29)
小山 昇

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著者の小山氏は、今から8年ほど前に日経ベンチャーが出している講演を収録したCDで知った。当時の社長にCDを借り、営業車での移動中に何度も聞いていた。
その頃は一切経営にタッチしていなかったが、感心して聞いていた覚えがある。2年前には東京のあるイベントで初めて講演を拝聴する機会を頂き、名刺交換もさせてもらった。
カッコつけることなく、本音で経営とは何ぞやを語る方。それも中小企業の社長は何をしなければならないかと歯に衣着せぬ言葉で発せられる。僕としては、キリッと身が引き締まる思いだ。
本書も厳しくも熱い想いで経営者に向けて書かれている。
僕は営業出身でそれも飛び込み営業からスタートしているので、トップが営業することには全く抵抗がない。むしろ最近、その機会がなくなってしまったので寂しく感じるくらいだ。特にうちのような会社は営業が基本だし、営業が強い事が会社の強みでもある。
僕が今更出ていく必要はないのかもしれないが、本書を読み終えるともうちょっと外に出てみようかとも感じてしまう。刺激を受けたこともあり、ぜひ、そうしてみたい。会社のメンバーには嫌がられるかな・・・(笑)。
本書には社長の営業の必要性だけでなく、印象に残る表現も書かれている。
新しいことに挑戦し失敗するのは失敗とは言いません。「一歩前進」です。二回目の失敗も失敗ではありません。これを「確認」といいます。(ただし三回目の失敗は「単なるバカ」になるので気を付けなければなりません。)

これはいい。
トップへの言葉でなく、社員全員にも使えそう。朝礼の場で、話してみてもいいかもしれない。失敗が決して悪いことではないことを的確に表現しているように思う。
中小企業は社長次第とはよくいわれること。そのことは、肝に銘じて、業務にあたらねばならない。改めて痛感した一冊だった。

聞く力

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書) 聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)
(2012/01)
阿川 佐和子

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105万部の発行部数で昨年一番売れた書籍。ベストセラーと呼ばれる書籍はあまり縁がなかったが、たまたまブックオフに並んでいたので手に取った。ちょっと失礼な表現ですね・・・。すいません。
最近、「~力」というタイトルの書籍がやたら目立つと思うし、この売れ行きから更に加速度的に「~力」本が発行されるのではないだろうか。話す力、読む力、書く力、見る力とか。何でも出てくるな(笑)。
本書を読みながら、営業時代を思い出した。
阿川氏のようなインタビュー形式ではないが、営業時代にはよく取材した。印刷物や求人雑誌、ネット媒体の原稿を作成するために、クライアントの社長や担当者に対して、企業理念や仕事内容をヒアリングしたのだ。
ライターと同行して取材するケースもあれば、全て自分で取材し原稿を作成することも多かった。下手なライターよりは自分の方がいい原稿を作るという錯覚もしたりして・・・。
ライターと同行する時は、基本は全てライターに任せ、自分は隣に座って聞いているだけのことが多かった。そうした客観的な状況でライターとクライアントとのやり取りを聞いていると取材の上手い下手がよく分かる。
クライアントの話したいことを上手く引き出し、更に内容を広げるライターと、ただ決められた質問を事務的に聞くだけのライターでは、結果として仕上がる原稿のクオリティに大きな違いが出るのだ。
通り一遍の話だけでは会社の魅力を引き出すことは難しい。いいライターというのは素晴らしい文章を作るだけでなく、素晴らしい取材力があると現場を通して感じていた。
この本書に書かれている一つ一つのヒントを読みながら、その当時をオーバーラップさせていた。なるほどと感心しながら・・・。
キャリアカウンセリングでも同様の事がいえる。
いかにクライエントの悩みを聞き出すかは、その傾聴力にかかっている。クライエントに寄り添うことで、いかに信頼して話が出来る環境を作っていくかがカギとなるのだ。本書にはそうした取材力とカウンセリング力を高めるためのエッセンスが十分に詰まっている。
また、本書を読むことで著者の人間性も垣間見ることができ、ふわーっとした感じが心地いい。
たまにはベストセラーも読んでみるものだ。

映画「宇宙兄弟」

宇宙兄弟
この年末年始休暇に、家族で観た映画(受験生の娘は除いて・・・)。家族で楽しむにはぴったりの映画だろう。息子は毎週日曜日の少年野球に行く前に必ずアニメを見ているので、大筋のストーリーは理解しているため、余計に入り込みやすいようだった。
なぜ家族で観るにはぴったりの映画かというと、ストーリーは単純明快でわかりやすい。「夢の続きを、始めよう。」というメッセージもとても健康的で、映画も前向き。
完全無敵のヒーローものでもなければ、どろどろとした人間関係が描かれているわけでもない。気軽な気分で大人も子供も楽しめ、何より安心して観ることができる。ピクサーのアニメを観るのと同じ感覚だ。
僕は宇宙には全く詳しくないし、それほど興味を持っているわけでもないが、宇宙飛行士になるためには映画なるような試験をクリアしないと達成できないことも理解できた。ディテールはどうかわからないが、原作の宇宙に対する憧れとその想いが十分に伝わってくる。
映画の感想はそれくらい。
この映画を観ながら、弟役の岡田将生について感じたことがあった。
アイドル顔の二枚目俳優だが、僕は役者としての魅力も感じていた。意外という言い方は失礼かもしれないが、かなり幅広い役柄をこなすことができるのではないか。
「告白」の調子のいい教師役も良かったし、「悪人」のマザコン放蕩息子役も良かった。特に「悪人」は彼の役柄が映画を際立たせる一つの要素になっていたのではないかと思ってしまう。
これからの活躍が楽しみである。

映画「椿三十郎」

椿
僕は黒澤映画が好きだ。一番好きな作品は「用心棒」。そして「椿三十郎」である。映画の演出で、あれだけ風を上手く取り込んでいるのはこれらの作品くらいだろう。本当に凄い!
今回は黒澤作品ではなく、2007年に上映されたリメイク。ようやくDVDで観る機会を得た。監督は今年逝去された森田芳光氏。80年代に自主映画を撮っていた僕らの世代にはかなり影響力のある監督である。
しかし、この作品。
公開された当時は何故リメイク?何故森田芳光?と思ったものだ。映画を観終わった今でも、その疑問はほとんど解消されていないが、それなりに楽しめる作品にはなっていた。
脚本は一切手を加えられていないので、前作を忠実に反映。それも凄い冒険。従って、黒澤作品とオーバーラップさせながら、映画は進行していく。
でも何かが違う・・・。カラーとモノクロの大きな違いがあるが、同じような殺陣でも迫力の違いは歴然。主役の三船敏郎の圧倒的な存在感はどんな役者を当てても代え難いのだろう。
良かったと言えば、松山ケンイチ。前作は長嶋一茂をどうしてもイメージしてしまう加山雄三がその役をそつなくこなしていたが、本作の松山ケンイチはその頼りなさげな武士を上手く演じていた。低視聴率だった大河ドラマ「平清盛」は全く見ていないのでわからないが、ちょっと頼りない役柄の方が適しているのではないだろうか。
そして、映画として一番の違いは「血」である。前作とは異なり、本作品は一切血が出てこない。バッサバッサと人を斬ろうと血は流さない。あとは椿の色かな・・・。
名作と言われる作品のリメイクほど難しい製作はないだろう。一定レベルであったとしても、必ず酷評される。
公開から5年経った今、映画を観て感想を書く僕自身もいかがなものかとは思うが、何故か急に森田作品を観たくなってしまった。理由はよく分からないけど・・・。