ここ数日、田中真紀子大臣による大学開設の不認可問題がニュースでクローズアップされていた。
その件に関して論じたいわけではないが、今回のブログは遠からず繋がっているのかもしれない。
名大社の事業の一つに人材紹介があり、現在は新卒学生の紹介もさせて頂いている。いくつかの大学との提携や自社でセミナーを行って、学生をカウンセリングを行った後、企業と学生のマッチングを行う。希望条件に合う企業の選考に臨んでもらい、内定までフォローするサービスだ。
つい先日もこのサービスを利用した学生から名大社に感謝のメールが送られてきた。
名大社のおかげで無事に就職が決まった。これから頑張っていきたいという内容のメールを・・・。こういったメールを頂くとこちらもうれしくなるし、我々が果たすべき役割が大切だと実感できる。仕事の喜びにもなる。
しかし、一方でこんなケースも少ないとはいえない。
選考に臨むはずの学生が当日の約束の時間に現れない。将来が決まるかもしれない企業の選考の場に・・・。
当然のように企業からはクレームの電話が営業にかかってくる。学生担当が本人に連絡を取ると「交通費が無くて行けなかった」と悪びれることもなく答える。本人から連絡があるわけではなく、こちらが理由を確かめた時に初めてその事実を知る。
別のケースでいうと既に選考が始まった段階で会社にメールが入る。
「○○会社の選考には行けません。すみません」と。本人の署名もなければ、理由も一切書かれていない。そのメールアドレスから本人と特定するだけだ。
相変わらずスッポカシも多い。その対応とお詫びとフォローを営業や学生担当が行う。繋ぐ場やキッカケの場を提供するのが我々の仕事であるため、それも業務であることは間違いない。しかし、それを見ているとやるせない気持ちになるのも事実。
僕はブログをスタートさせる時に誹謗中傷は書かないと宣言した。人によってはそう捉えられるかもしれないが、仕方ない。確かに感情的な面はあるが、今は事実を述べている。
今週の日経新聞では「働けない若者の危機」というタイトルで記事が連載されている。今の外部環境や企業の実態を見れば否定する要素はない。これも事実だ。しかし、伝えられていない情報も多い。
約束に重いも軽いもない。約束は約束で全て守るもの。守れないのであれば、しっかりと連絡するのが常識。
それが友達との買物の約束だろうが、企業の選考だろうが関係ない。中学生でも十分行える行為のはず。その事ができないのが非常に残念であり、寂しい。
大学入試に「約束は守るべきか?」という問題は出ない。出たとしても正解率は100%のはず。しかし、実際の行動となると大きく履き違える。それも4年生の後半に及んでも・・・。
就職氷河期を嘆く前に、人として重要なことは何かを理解し正さなければならない。そうすれば、就職氷河期も少しは改善されるはずだと思う。
カテゴリ「人について考える」の記事一覧:
2012年11月9日
約束の重み
2012年10月29日
「オレ流」のいい話
昨日は僕が加盟する団体のイベント。記念講演は前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏。
8年の在任中、4度優勝というドラゴンズ史上最も素晴らしい成績を残した監督。
講演タイトルは「”おれ流”輝ける野球人生」であったが、実際の講演内容はほとんど関係なかった。あまり関係ないだろうとは何となく予想していたからいいけど・・・。ただ予想を遥かに超えた素晴らしい講演であったことはしっかりと言わなければならない。
落合氏は無口で無愛想、サービス精神もない、まさにオレ流一本やりというイメージかもしれないが、それは全く異なる。
時折、笑いを誘い、聴衆の心理状態を把握し、巧みに話を進めるタレントだ。長いと感じるであろう90分を退屈させることなく、何の映像やパワポにも頼らず話を進められた。
ロッテ入団から三冠王を獲得する卑屈な時代からドラゴンズの監督時代、解説や講演を行う現在、そして先日のクライマックスシリーズまで、話の展開はあちこちに広がったが、落合氏の人物像は一貫していた。その生き方がぶれることはない。そこがまさに”オレ流”というべき。
いつの時代かは明らかにされなかったが、子供の学校のPTA会長も務められていたようだ。
その時に一緒に活動していた母親連中を上手くまとめあげたことが、後のドラゴンズ監督としての人材掌握術に繋がったとは驚きである。そこでの学びが監督業として全部生きたわけではないだろうが、落合氏の組織をマネジメントする基礎であり、その後の指導方針には共感する。
以前、ブログにも書いた「采配」に盛り込まれている要素も語られていたが、その手腕はビジネスにおけるリーダーシップに通じる。
どんな言葉を掛け、どんな態度を示せば人が動き、またプレッシャーとするのかを完全に把握している。野球人にありがちな感覚ではなく、理論で動いている。
何より自らの目的は何か、選手の目的は何か、そのために何が最善策なのかが明確なのだ。それは散々非難されたファンサービスについても自らの考えを貫いている。
そんな話を拝聴できただけでも十分価値はあったが、最後に話されたことにも感動を覚えた。
落合氏は退任が決まり、最後にオーナーの下へ挨拶に出向いた時に尋ねたという。「これまで自分がチームを率いて良かったのか?」と。オーナーは「お前で良かった。」と一言、感謝を述べた。
その時、それまで背負っていたものから、初めて解放されたという。気持ちよくユニフォームが脱ぐことができると・・・。
やはりプロだ。
最後の最後まで責任を全うする生き方を感じたラストの言葉だった。
2012年10月21日
またか!ソニーショック
金曜の午後から京都で過ごし、昨日の夕方に帰宅。それまで新聞は読めずにいた。ゆっくりと中日新聞を広げると目に飛び込んできた文字。
「ソニー美濃加茂工場閉鎖へ」
少なからずショックを受けた。
日々のニュースでソニーの不振は当然のように理解していたが、身近な存在であった美濃加茂工場が閉鎖される記事は僕にはかなり大きな衝撃。
僕にとって大切なクライアントであり、大変お世話になった会社だったからだ。
元々はソニー美濃加茂という100%出資の単体の企業であったが、その後、製造子会社が統合されソニーイーエムシーエスとなった。主力製品はその時代により変化を辿っているが、最近は携帯電話やデジタルカメラの製造を行ってきた。
僕の認識では美濃加茂工場は製造子会社の中でも比較的堅調だと捉えていただけに、今回のニュースのショックは大きかったのかもしれない。
この美濃加茂工場に初めて訪問したのは、確か入社3年目の頃だと思う。
飛び込みで訪問したわけだが、全く相手にされず、アポイントを取って訪問するも箸にも棒にもかからない時期が随分と続いた。そんな状況もあって、縁遠くなった期間もあったが、継続的に訪問し担当者と人間関係を築くことで、初めての訪問から10年後くらいにようやく取引を頂けたと記憶している。
美濃加茂工場が好調だったことも手伝い、それからはかなりの仕事を頂けるようになり、僕の大きな売上を占めるクライアントにもなった。自分自身の立場が厳しい時に助けても頂いた。自分を育ててくれたお客様と言っても過言ではない。
そんな想いもあり、昨日の新聞記事は非常に残念だった。
その残念さは僕だけの問題ではなく、岐阜県美濃加茂市にとって大きな損失であり、深刻な問題でもあるだろう。この美濃加茂工場が生み出す雇用は、この街の中では相当なボリューム。周辺には派遣会社も多く存在したし、外国人労働者の割合も高かった。地域経済にとって欠くことのできない存在であったのは間違いない。
リストラの一環でソニーの生き残りを考えれば、正当な判断になるのかもしれない。しかし、ロジカルに考えることは難しく、感傷的になるのも事実。僕がお手伝いをさせてもらったことも、今となっては正しいかどうかも疑問だ。いろんな方の顔も浮かんでくるし・・・。
大きな資本の決断がもたらす影響の大きさをまざまざと感じた昨日の新聞であった。
2012年9月26日
新卒紹介セミナーを開催したのだ!
昨日は13卒の学生及び卒業後3年未満の若年者向けにセミナーを実施した。
まだ就職活動を継続する学生及び若年者に対し、現状の課題を見つけ出すセミナーを実施した後、個人の意向を伺った上で個別に企業を紹介するという企画。
60名の予約の入ったセミナーであったが、いざ蓋を開けてみると参加者は30名を割る人数。ある程度のキャンセルは予想していたが、半分がドタキャンという悲しい現実が待っていた。
満席になるはずの会場に空席ができた悲しさもあるが、この時期に及んでも何の連絡もなく欠席する姿勢がとても残念である。
社会人として必要不可欠というか常識というのは約束を守ること。
厳しい就職環境があるとはいえ、これは全く別物。キツイ言い方をすれば、このような行為を繰り返す若者を採用したい企業は皆無のはずだ。全ては自分の責任として、一つ一つの事象を捉えてもらいたい。
グチっぽい話はここまで。ここからは頑張る若者を支援する内容。
今回参加してくれた学生や若年者にはそれぞれの事情がある。部活をトコトンやり抜いて就職活動ができなかった体育会系の学生もいれば、就職活動のタイミングが合わず卒業してしまった若者もいる。
彼らの立場になれば、自分は不利と思うだろうが、僕はあまり関係ないものと認識している。確かに全体が一気に動く時期に活動できないのはハンディを負う。公平ではないかもしれない。ただチャンスが全てなくなったわけではないのだ。
昨日は僕もそんな若者と面談をし、カウンセリングをしながら、勇気を与えたつもり。無責任に勇気を与えてもいけないが、若者の表情が明るく変化することは喜ばしい。考え方や行動も変わっていく。先が開ける可能性も高い。
諦めない気持ちを提供し続けるのも我々の大切な仕事。昨日は久々に学生らと面談しながら、それを感じることとなった。
もう9月と思うか、まだ9月と思うかは本人次第。前向きな態度で臨めば、やれることはいくらでもある。そんな若者をこれからも応援していきたい。
2012年9月16日
充実した土曜日
昨日は久々に参加したキャリアカウンセラーの勉強会CDAプラザ。
今回の勉強会では講師を務めることとなり、「就活最前線」と称して、今年の就職環境について話をさせてもらった。
参加者はもちろんCDAの有資格者だが、それだけではない。ほとんどの方が実務においても、キャリアカウンセラーを生業とされている方が多い。大学のキャリアセンター、ハローワーク、企業の人事担当者など、僕よりもはるかに事情に詳しい方が中心。そんな方が30名以上集まるのなかでの講演であったため、少々のプレッシャー(笑)。
現状のデータを提示しながら、持論を交え、2時間程度話をさせてもらった。どこまで参考になったかはわからないが、時折くだらないネタを混ぜることで何とか飽きさせることなく、話を進めることができた。
僕の要所をつかない質問にも真摯に答えて頂き、有意義な時間を過ごさせてもらった。感謝!
講演終了後は、代表ロープレ。
今回は実績のあるCDAの方が、参加者の前でクライエント(相談者)の仕事上の悩みをカウンセリング。お手本となるような素晴らしいカウンセリングでオブザーバーとなる参加者も聞き惚れるような状態。
個人として、キャリアカウンセラーとしての役割なんて全く果たしていないので、その立ち振る舞いは大いに勉強になった。感謝!
勉強会終了後は、CDAの有志と懇親会。いつも行く和風の居酒屋が少し前にイタリアンに模様替え。スタッフも同じで妙な感じだったが、楽しい時間を過ごさせてもらった。感謝!
懇親会終了後は別の懇親会に合流。
この日は、以前参加したアスバシ教育基金のイベントが行われていたのだ。このイベントにもお誘いを頂いたのだが、参加することができず、打ち上げの終盤から参加させてもらった。そこから結局2軒ハシゴし、最後の最後はただの酔っ払い状態。
ここのメンバーは熱い!強い気持ちが若者を支援している。活動の中心である高校生のインターンシップも上手くいったようだ。僕なんかは何の役にもたっていないが、間接的に関われた者としてはうれしい限り。感謝!
そんなこんなで昨日は充実した一日を過ごすことができた。
ありがとうございました!
2012年8月19日
「私の履歴書」にて思う
今、日本経済新聞新聞で連載されている君原健二氏の「私の履歴書」を興味深く読んでいる。
君原氏は1968年メキシコオリンピックの男子マラソンの銀メダリスト。
東京オリンピックの時から日本を代表するランナーだったが、高校時代までは全く無名の選手。拾われるように入社した実業団で努力を積み重ねメキメキと実力を養ってきた方だ。
その君原氏が、昨日は同志であり、東京オリンピックの男子マラソン銅メダリストである円谷幸吉氏について語っていた。
円谷氏のことは「敗れざる者たち」(沢木耕太郎著)の一編「長距離ランナーの遺言」を読み、自殺するまでの半生は知っていた。
練習熱心で責任感が強く、その責任感の強さから自分を追い込み最後は自殺という形で命を絶ってしまった。
読後は、期待を裏切れない半端ないプレッシャーはそんなに強いものかと痛烈に感じた。と同時に高度成長期に向かう時代感でもあるのかとも・・・。
当時の日本を代表する選手は先日のロンドンオリンピックの代表選手よりも課せられた責任や周囲の期待は大きかったのかもしれない。今の選手のように「楽しみたい」「笑顔で試合に臨みたい」なんていう表現はタブーだったのかもしれない。それが自らを苦しめることになろうとも・・・。
君原氏も尋常でない重圧はあったにせよ、冷静に見切る力があったのだろう。
円谷氏の訃報を聞いた君原氏は、悲しいでも残念でもなく、「悔しい」思いだったという。自分が救えなかった「悔しさ」が胸からこみ上げてきたようだ。
昨日の連載では、それがとても印象的だった。
誰でも責任の重さに押しつぶされそうな瞬間はあるだろう。こんな僕でもそうだ。
そんな時は君原氏本人が円谷氏に言ってあげるべきだった言葉がいい。
「そこまで自分を追い詰める必要はない」と・・・。
2012年8月9日
女子の時代か・・・
日本男子サッカーは残念ながら、メキシコに完敗。その悔しさを今夜(明朝?)のなでしこジャパンがきっと晴らしてくれるだろう。
なでしこの活躍といい、卓球女子、バレー女子といい、女性選手の活躍が目立つ。
9日朝現在の日本のメダル獲得数は合計31個。男子が17個、女子が14個と獲得数だけ見れば、男子が上回っているが、その活躍ぶりを見ると女子の方が圧倒的な存在感があり健闘しているように思えてならない。
これからの種目も先述のサッカーやバレー、レスリングと女子選手が臨む競技が多く、期待度も高い。追い込まれた状況で力を発揮するのは、女子なのだろうか・・・。
就職戦線の現場では、女子学生が男子学生より優秀とここ数年言われている。
前向きな姿勢にしても、積極的な発言内容にしても、女子学生の方が評価される場合が多い。実際、僕が学生と面接してもそれを痛感するのも事実だ。「男子よ!もっと元気を出せ」と・・・・。一部では肉食系男子は消滅したと言われているし・・・。
肉食系の最高峰でもあるオリンピック選手(表現が妥当でないかな)の中でも、女子が優勢を誇っているのは、そんな時代の証なのかもしれない。
しかし、一方で女性の管理職や経営者はまだ少ない。女性起業家やフリーで活躍されている方は増えているが、組織を束ねる人はまだ少ないように思える。経営者向けの勉強会に参加しても圧倒的に男性の割合が高い。企業文化や社会の仕組みの問題でもあるだろうが・・・。ただこれも時間の問題なのかもしれない。
うちの会社で捉えてみても、今や名大社女子が支えている場面は多い。名大社男子にはない能力を発揮し、会社に貢献している。それは明らかにいい傾向でもあり、何ら否定するものでもない。もっともっと頑張ってくれてもいいのだ。
オリンピックのことを書くつもりが、変な方向に進んでしまったが、この1週間くらいで、改めて感じてしまった。
そして、その象徴となる試合が間もなく行われる。
うれしい事に僕は今日一日夏休み。しっかり休養を取って臨むとしよう。
頼むぞ!なでしこジャパン!
2012年8月5日
ロンドンオリンピックで感じたこと
昨日の障がい者向けイベントは無事終了。
猛暑の中、100名近い方に参加頂いた。
熱心に企業の方の話に耳を傾けられる姿は、人事担当者にも伝わっているかと思う。概ね参加頂いた企業の方のも満足頂けたようだ。
そして、日々盛り上がっていくオリンピック。
サッカーは男子も女子もベスト4進出でメダルの期待が高まる。昨日の男子の試合も素晴らしかった。
グランパスの永井は、今回の活躍で海外のチームからオファーを受け移籍するんじゃないかと心配になるくらい。闘莉王がFWで活躍しても、今のグランパスに必要だ。もうちょっと頑張ってくれ!
そんな話はさておき、今朝、放映された日本の競泳陣の活躍にも感動した。
女子リレー銅メダル。男子リレー銀メダル。チーム力の高さを証明したメダル。もし、TBSの朝の時間帯に張本氏が出演していたら、「あっぱれ」のオンパレードだったことだろう。
ビジュアル系スイマー寺川綾や体育会系健康女子鈴木聡美の、泳ぎもコメントも本当に良かった。
入江陵介の「27人が一つのリレーをしている」と言う言葉は日本競泳陣のチームワークの良さを証明していた。そして、「康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない」と言う松田丈志の言葉は選手同志の一体感の象徴だった。
ハードなトレーニングを重ねて多くの選手がメダルを獲得したのは事実だが、それを後押ししているのが競泳陣全体のチーム力であると痛感させられた。
これも他者を思う、仲間を尊重する日本人らしさではないだろうか。
もう一方で日本らしいと感じたのが柔道。
素人の僕が映像だけを見て言うのは間違っているかもしれないが、今回の柔道を見て感じたのだ。
選手は必要以上にコーチ・監督、そして柔道界そのものに縛られすぎているのではないかと。意識がそこばかりに向かい、大きなプレッシャーとなって選手にのしかかる。コーチ陣も錚々たる成績を残してきた方ばかりなので、絶対的な存在。そんなタテ社会を重視するのも日本人らしい。
水泳も柔道もあくまでも個人競技だが、その日本人らしさの向かい方の違いによって、今回の成績に表れているのではと思ってしまった。
(あくまでも素人感覚。そんな単純ではないと思うので、関係者の方はお許しを・・・)
喜ぶ選手、悔しがる選手、一人一人の背景にはすさまじい努力がある。たかだか10キロ走って、ヒーヒー言ってる自分が情けなくなる。それを感じさせてくれるのもオリンピック。
ベスト4に進んだサッカーも含め、楽しみはしばらく続きそうだ。これからも選手の一挙手一投足から、いろんなことを感じたいと思う。
2012年7月14日
内定学生と酒を酌み交わす
名大社の2013年卒の新卒採用は6月に終了。1名に内定を出し承諾を得て今に至る。
1名という採用は人数の幅を持たせる事ができないので意外に難しい。厳選採用である。今年も多くの学生さんに選考を受けてもらい大変ありがたかったが、優秀な学生も不採用にせざるを得なく申し訳ない気持ちもも強かった。
唯一の内定者には既にアルバイトで顔は出してもらっているが、今週はその学生と初めて飲み会。
差し飲みでは緊張するだろうと若手と一緒に出掛けたのだ。大学の授業もほとんどないので、バイトに明け暮れている毎日という。今のうちにお金を貯めて、学生生活の残り少ない期間に海外旅行も含め、めい一杯最後の学生生活を楽しむようだ。思い切り遊んでもらいたい。
勉強熱心でもあり、僕の読んできた本をドンドン借りて読みたいという。それもオベンチャラでもなく・・・。若手社員に聞かせてやりたいな・・・。
アルコールが進むうちに(といっても僕と若手だけだが)、話の中味もヒートアップしていった。どうしても仕事や会社の話になってしまうが、早い段階で僕らが持っている価値観や考え方を理解してもらう必要はある。
時に内定者を認めながら、時に大きく否定しながら、どう社会に向かって存在していくべきかをお互いに語り合った。自分の考えをしっかり持っているので、話をしていても気持ちがいい。
飲みながら最終面接を思い出していた。
僕は彼にこれまでの挫折経験を聞き、そこからどう立ち直ったかを質問していた。よくあるケースである。大きな挫折を乗り越えた経験を教えてもらったわけだが、その立ち直り方は僕が予想する答えとは違っていた。
彼ははっきりと言った。
「挫折を乗り越えるにはかなり長い時間がかかりました。落ち込んだ時間は長く辛かったです。簡単に乗り越えられる人も多いと思いますが、私はそれができなかった。しかし、それは自分の全てをそこに懸けていたから。私はすぐに立ち直れるようであれば、本当に一生懸命やったとは言えないと思います。」と・・・。
野球に全てを懸けてきた彼の心からの言葉だと感じた。
その言葉で採用したわけではないが、彼のストレートで正直な人間性が伝わる場面であった。饒舌に話すことは回を重ねればできること。しかし、心に響く言葉は巧みさとはイコールではない。僕がそれを教えられたような時間であった。
卒業まであと半年ちょっと。残り少ない学生生活を楽しんでもらえばいいが、会社としてもこき使わせてもらう。その中で僕や他の社員と交流し、名大社という会社を体感してもらいたい。
まずは来週のイベントだな。よろしく頼むな!
写真を撮ろうかと思っていたが、熱く語り過ぎてすっかり忘れてしまった・・・。
2012年7月10日
日本人は誇りを持て
昨晩は若鯱会30周年記念講演会に参加。
若鯱会とは名古屋商工会議所加盟の若手経営者を中心とした異業種交流団体。僕はこの会には所属はしていないが、仲のいい経営者も所属していることもあり、どんな講演があるのかと興味本位で参加したのだ。
基調講演の講師は金美齢氏。
TVの討論番組にもよく出演されるコメンテーターだが、僕はその手の番組もほとんど見ないし、著書も読んだことがなかったため、名前だけを存じ上げる程度。実際、どの分野が専門なのかも知らない勉強不足状態であった。
初めてお目にかかったのだが、とても78歳とは思えない凛とした佇まいは、それだけでオーラがあり圧倒された。
金美齢氏の講演タイトルは「温故知新~歴史から学ぶ日本人の誇りと道徳」。
台湾人である金氏が日本人論について語るのだ。一見、違和感があるのかもしれないが、どんな分野であれ客観的な視点が持てる方の方が説得力を持つのはよくあること。
今回の講演でも台湾と日本との関係性を軸に日本人のメンタリティー、倫理観、美徳などについて、これまでの歴史を振り返りながら熱く語られた。
伺った内容は今まで僕が全く知識として持ち合わせていないもの。
自分の知識不足と歴史に対する理解のなさを痛感する情けない現状を晒したわけだが、反対に新鮮に伝えられる話の重さは喜ぶべき方向にありがたく導かれた。
台湾は日本を最も友好的な国と思っており、それは第二次大戦後から変わることではない。
東日本大震災の義援金も230億円という他の国々が全て足しても追いつかない世界一の金額を提供。大きな証となっている。
そんな日本を尊敬する立場から言われるのが、日本人は日本人としての幸せを大切にし、誇りに持てということ。それをもっと歴史から学ぶ必要があるというのだ。タイトルの温故知新はそこに結びついていく。
決して自分が褒められているわけではないが、うれしい内容であった。そして、日本は努力が報われる国だと強調されていた。失いつつある日本人の自信がこの言葉により、救われるのではないだろうか。
10年、20年、30年後は歴史を見れば分かることであり、先人の知識で正しい判断ができるようになる。知的遺産が多いのが日本という国。
1時間程度の講演は僕にとって貴重で有意義な時間であった。
講演を伺いながらこんな言葉を思い出した。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」。
もっともっと歴史を学ばなければならない。
ありがとうございました。