これからも前向きに 名大社会長ブログ

22世紀の民主主義

つい最近まで著者の存在は知らなかった。
NewsPicksのいくつかの動画で知っただけ。
ガーシーとの対談が初めてじゃないかな・・・。
なかなか刺激的な内容だった。

時代はどんどん流れていく。
というより変化している。
立ち止まっているとあっという間に置いてきぼりをくらう。
世の中の全てを理解しようとしても無理。
しかし、ある一定レベルを把握しておこないと思考も進化しない。
まだまだ放り出すわけにはいかないんだ(笑)。

本作の切り口は面白い。
とても斬新。
それが10年先に受け入れられるかは分からないが、
その感性や分析力にはなるほど!と唸らされる。

経済における「資本主義」、政治における「民主主義」。
その関係性を今まで考えたことはなかった。
資本主義の国が民主主義であるのが当然。
それが正解で疑うこともなかった。

しかし、著者が分析する民主主義の国ほど経済成長は低迷。
その相関関係で物事は語れないが、
中国をはじめ成長力の高い国を見せつけられると説得材料にはなる。
コロナ対策も非民主国の方が対応は早かったという。

今の日本を否定できても、僕らはどこかでバイアスの掛かった生活を送っている。
気をつけなければならない。
著者は若者の投票率が上がり政治に積極的に参加しても何も変わらないと断言する。
そもそもの仕組みやルールを変えることが前提。

極端な言い方をすれば政治家は不要。
選挙も政治家もない民主主義の実現も可能かと。
むしろそれが望ましいこと。
それは「無意識民主主義」といい、データを上手く活用し変換すれば実現可能というのだ。

僕にはそんな想像力はないのでイメージもつかないが、
何らかの意思決定をルール・アルゴリズムでデザインすれば辿り着くという。
理解できたような、できないような・・・。

だが、22世紀ともなれば実現可能な世の中になっているとも限らない。
今のままで問題はないと思うのは責任逃れであり、問題の先送り。
そう捉えた方が健全。

これも変化対応。
最近はめっきり自分よりも若い人に教えを請うことが多くなった。
きっとそれも健全なんだろう。
正解なんてない。
自分の中で作っていくしかない。

そんなことを改めて感じた一冊だった。

映画「夜明けまでバス停で」

僕らはまだまだ無責任なのかもしれない。
映画を観てそんなことを感じた。

本作の舞台は2020年。
ちょうどコロナが全世界を襲い、日本も緊急事態宣言が発動された時期。
まだ2年前の話。
現実問題として今もなおコロナ禍ではあるが、2年前とは様相は大きく変わった。

しかし、その時は僕も含め目の前が真っ暗。
何をすべきかもがいていた時期。
会社も大変。
果たすべき業務が果たせず業績は急降下。
赤字が積みあがっていった期間。

僕は自分の周辺を守るだけ。
会社と社員を守ることが役割だった。
それを果たすことはできたが、そこまでのこと。

映画に登場する人たちは蚊帳の外。
僕も自己責任といっていた一人にあたる。
それが悪いわけでもない。
自分の中の正しさ。
しかし、それは上から目線の正しさなのかもしれない。
政府の施策に文句をつけながら、僕も大した差はない。
と無責任さを感じたり・・・。

本作はひとりのホームレスの女性を描く。
運が悪いとしかいいようがない。
元夫の借金を背負い、自ら自作のアクセサリーを売りながら、居酒屋のバイトで生計を立てる。
すこぶる真っ当。
僕よりも懸命に働いているといっていい。

しかし、生活は苦しい。
挙句の果てにコロナでバイトをクビになり、住まいも失う。
転職先も誤解がありホームレスへ。
ありそうでなさそうな話だが、実際に近いことはあるのだろう。

親元や親しい仲間がいれば何とかなる。
それに頼りたくない気持ちも分からなくはない。
自ら不幸になる選択をしてしまう。
そうせざるを得ない。
僕も可能性はゼロではないな…と辛い思いをしながら映画にどっぷりと浸かる。

全ての原因は自分にあるという。
僕も常に自分に言い聞かせてきた。
それはまだ自分がどん底に落ちてないから言えるだけ。

もし、自分が同じ環境ならそこまで強く言えるだろうか・・・。
国や社会のせいにしないだろうか。
正直、分からない。

こんなことを書くとやたら重い作品に思えるかもしれない。
確かにテーマは重い。
しかし、映画は中盤から観方によってはコミカルな方向に進む。
社会への抵抗はさほど暗くはない。

ホームレスの主役三知子を演じる板谷由夏がいい味を出している。
他の出演陣も・・・。
ルビーモレノは久々に観たが、映画の途中まで誰か分からなかった。

監督は高橋伴明氏。
もう終わった人かと思っていたが、
(すいません、失礼ですね・・・)
健在だった。
未だ社会に対して反発する熱い想いは十分に理解できた。
それもユーモアを盛り込んで・・・。

昨年の「茜色に焼かれる」同様、時代を象徴する映画。
今だからこそ観る価値があるだろうね。

食べ物のはなし 伏見シリーズ その231

お昼に外出するのが気持ちいい日が続きます。
朝晩は寒くなってきましたが、日中は穏やか。
一年中、こんな気候ならいいなあ~とあり得ないことを妄想します。

この日のランチは蕎麦と決めていました。
クーポン券があったからです。
カレールーにするか、温泉玉子にするか、かきあげにするか、悩みます。
こんな悩みなら大歓迎。
毎日、悩みたいくらいです。

お店の前まで辿り着き、そこでハッと気づきます。
「いかん、いかん、食べ物ブログネタがないぞ・・・」
目的の蕎麦屋さんは既に紹介済み。
慌ててどこにするか考えます。

最近の伏見シリーズは大々的にラーメンを特集しています。
全国30万人の読者もそれを望んでいます。
期待を裏切るわけにはいきません。

井之頭五郎さんのように北に歩き、南に歩き、目的地を探します。
人気食べ物ブロガーとしては珍しく動揺が隠せません。
「いかん、いかん、このままだと水曜日は休みか・・・」
と諦めかけようとした時に目に飛び込んできました。

プリンセスガーデンホテル1階にある「名古屋コーチンラーメンはなれ」さんです。

2年前のオープンですが、すっかり見落としていました。
調べてみると伍味酉グループ。
名古屋を代表する居酒屋です。
当然のように期待が膨らみます。

勇んで入店しますが、自販機の前でうろたえます。
メニューが多く、どれにしようか迷ってしまうのです。
続々とお客さんは入店。

ここでも動揺が見え隠れしたと思いますが、思い切ってボタンを押しました。
一人席の大きなテーブルは嬉しいですね。

そして、ランチタイムはご飯が食べ放題。
我慢するつもりでしたが失礼にあたると思い、少しだけ頂くことにしました。

これで準備OK。
あとは主役の登場を待つのみです。

名古屋鶏骨 魚介白湯ラーメン 880円

スープは何が主役でしょうか?
鶏骨?
魚介?
白湯?
合わせ技がいいのでしょう。

濃厚そうに思えるスープはくどくなく、さらりと喉を通ります。
その中にパンチがありご飯が欲しくなります。
3枚の大きなチャーシューもご飯のおかずとして十分。
小盛にせず大盛にすればよかったと後悔します。
大盛にしたら、食べた後に後悔するのは間違いないですが・・・。

美味しく頂くことができました。
「今度は正統派の醤油だな」
と呟きながらお店を出ますが、もう何人かが外で待っていました。

人気店のようですね。
ごちそうさまでした。

愛知大学同窓会70周年 全国総会・祝賀会を開催します!

早いもので開催まであと2週間になった。
なにかといえば愛知大学同窓会70周年全国総会・祝賀会が11月6日(日)に開催。

関係ない方もぜひ、HPもご覧頂きたい

僕が母校の同窓会に深く関わるようになったのは2年前。
それまで同窓会に関わっていたものの主力ではなかった。
クラブ愛知の副会長や後援会長を務めていたので、
(副会長も今も・・・)
大学にはどっぷり浸かっているが、
同窓会活動はあくまでもOBのひとりとして参加する程度。
そんな存在だった。

それが名古屋支部の役員に引きずり込まれ、いつの間にか副支部長に就任。
今回の70周年全国総会・祝賀会は名古屋支部が中心。
気づいた時には最重要案件に巻き込まれていた。
う~む・・・。

僕は広報委員長を命じられ、広報全般の責任者。
今年に入りチラシ、HP、動画等の制作から、
参加者集客、協賛広告集めまで多くの役割が降りかかってきた。
定期的に開催される支部長会、実行委員会で進捗状況を報告し、
委員会メンバーの意見を頂きそれをまとめる。
そんな流れが続いた。

苦労も多かったが、やはりOBの結束力は強く、いざという時はひとつにまとまった。
途中まで集客も苦戦していたので、ブログでも宣伝しようかと思ったが、
その必要もなく全国総会・祝賀会は定員オーバー。
おかげさまで協賛広告も予算額を上回ることができた。

午前中の企画もあと少しのところで定員。
まだ間に合うので、参加したいOBはこちらから

せっかくなので動画と簡単なスケジュールだけ紹介だけしておこう。

午前の部 会場/名古屋校舎(ささしま)
10:00~11:00 キャンパスツアー
10:30~11:30 ささしま寄席(柳家燕弥、立川小談志、柳家市好)
12:00~13:30 基調講演/国際政治学者 三浦瑠璃氏

午後の部 会場/名古屋マリオットアソシアホテル
14:30~16:30 全国総会・祝賀会
         特別ゲスト:ジャングルポケット
         リーダーの太田博久さんは大学OB

という流れ。

大方の準備は終わったので後は当日を迎えるだけ。
僕の責任枠もあと少し。
先週木曜日は最後の実行委員会も行われ、全体の確認事項も。

当日はお気楽なスタッフとして関わるだけ・・・
と思ったいたら、大役が回ってきた。
これは終了後に報告したいが、かなり緊張感の強いる仕事。
ガンバリマス!

まずは成功を祈りつつ、万全な体制で臨むのみ。
OBの力を結集し、素晴らしい会にしたいですね。

映画「沈黙のパレード」

映画が公開されて1ヶ月後に鑑賞。
前作2作はいまだ未鑑賞。
本来、本作の優先順位も低くタイミングが合えば程度に思っていた。

そんな時に偶然のタイミングが訪れる。
それは福山雅治演じる湯川教授が事件に深く関わる定食屋「なみきや」の常連客だったように・・・。
たまたま空いた空白の3時間を埋めるために選ばれたのが本作。
他の作品の選択の余地はなし。

前後の予定で唯一合致した。
劇場は初めてお邪魔する「TOHOシネマズ日比谷」。
いやあ~、立派な映画館。
ミッドランドスクエアシネマを超えるシートはないと思っていたが、いい勝負。
そして意外に混んでいた。

休日とはいえ公開1ヶ月であれだけの観客とは立派。
みんな、過去の作品を観ているのだろうか?

僕はドラマも一度も観たことがない。
興味がないわけではないが、そこまででもない。
映画もいずれAmazonプライムで観ようとしていた程度。

しかしながら映画一作目「容疑者Xの献身」は14年前の公開。
今、こうしてシリーズが続くことに感動を覚える。
感動ついでにいえば柴咲コウは全然変わらない。
さすがに福山雅治も北村一輝も年齢を感じさせるが、柴咲コウは当時のまま。
そんな気がしているのは僕だけ?

映画の内容に触れることなくブログが終わりそう。
それではさすがに叱られる。
実際は誰にも叱られないが、映画コラムニストとして少しは触れないと・・・。

ドラマの展開、人間模様は面白く描かれていた。
僕は6年前の「64(ロクヨン)」を思い出した。
家族の存在、刑事の想いとやるせなさ。
ドラマを引っ張る要素は似ていた。
「64(ロクヨン」」の方がかなり疲れる。
その分、本作の方が全ての観客が楽しめるのは間違いないだろう。

最近観た「ヘルドックス」
本作で要の役を演じる北村一輝、酒向芳も出演している。
対照的な役なのが印象的で、上手さを感じた。

さて、次回作は10年後?
さすがに柴咲コウも年を取ってくるだろうが、湯川教授は名誉教授になっているかも。
そのあたりも楽しみにしておきたい。

伝統を守りながら変わり続けることの重要性

先週木曜日は第6回名古屋ファミリービジネス研究会Day4。
早いもので4回目の開催。
開始前からセミナールームは賑やかな会話が飛び交う。
グランドルールである安全・安心、活発な場がまさに提供されている雰囲気。
自画自賛じゃないか(笑)。

Day4はゲストの講演がメインだが、第一部はこれまでの振り返り。
いつものように僕が場を温める意味でテキトーな話。

今回は最近起きた事件・事例を基に「ファミリービジネスの脆さ」について。
ここ1、2か月でもいろんな問題が起きている。
問題は起きない方がいいが、起きた時にどう対応するか。
やはりスピード感が大切。
そうすることで最小限のダメージに収まることも・・・。

その後はDay1からDay3までの課題について一人ずつ披露頂く。

これがとても勉強になる。
最終回に向けて大いに参考になったことだろう。

そして、今回のメイン。
特別ゲストとして株式会社エスワイフード 代表取締役山本久美氏を招いた。
「世界の山ちゃん」といえばこの地区で知らない人は誰もいない。
行ったことのない人も誰もいない。
それくらいの知名度と利用度。

今回は山本代表から多くの気づきと学びを頂いた。
タイトルは「伝統を守りながら変わり続けることの重要性~立ち止まらない私流の経営手法~」

細かい内容はすいません。
ヒミツ・・・。
ここでしか話せない内容を提供頂いたので、ブログでも紹介はできない。

ザクッと全体像は、山本代表の生い立ちから前山本会長が急逝され、社長を継ぐ覚悟。
そして、承継後の取り組み、その中での自分の役割。
最高益で迎えた直後のコロナ禍の対応、山本代表の考える事業承継まで。

みっちり90分。
参加者は身を乗り出して話を伺っていた。
休憩を挟んで質疑応答の時間を30分持ったが、終わりそうにないので強制終了。
濃密な時間を過ごすことができた。

それだけで終わるのは勿体ない。
山本代表にもご参加頂き、ワンランク上の世界の山ちゃん「山 伏見店」で懇親会を開催。

この場でも話は尽きることはない。
山本代表の計らいで懇親会も3時間とたっぷり。
ざっと6時間もお付き合い頂いた。

参加者には一人ずつ感想を述べてもらった。
涙を浮かべながら話す方もあり、会場内が感動で包まれていた。
今回は受講者の奥さんにも参加頂き女性比率が高く、
女性ならではの感想は事務局側も大変参考になった。

最後はなぜか名古屋ナモ締めと記念撮影。
主催者冥利に尽きる会となった。

唯一、残念なのは事務局兼講師の櫻山さんが濃厚接触者扱いで欠席だったこと。
このDay4を楽しみにしていただけに悔やまれた。
まあ、こればかりはしゃあないね・・・。

山本代表、ありがとうございました。
本当に素晴らしい場が提供できました。

食べ物のはなし 伏見シリーズ その230

急に寒くなったと思ったら、Tシャツ1枚でOKの日もあり、
服装選びも難しい日が続きます。
せっかくなら秋らしい毎日を送りたいと思う方も多い事でしょう。

秋といえば芸術の秋。
人気食べ物ブロガーは映画コラムニストも兼ねているので、ここ数日は映画ブログ。
芸術をの秋を堪能しています。

同時に食欲の秋。
こちらも充実させなければなりません。
豪華な食事もいいですが、秋に相応しいラーメンも頂きたいですね。

秋に相応しいラーメン。
そんなラーメンはあるんでしょうか。
要は気持ち次第ということです。

最近もこんなラーメンに出会いました。
中川区の人気店「中華そば親孝行」の塩の鶏白湯らーめん。

かなり濃厚です。

珍しく車道でも頂きました。
BARが提供する台湾豆乳ラーメン味噌。

こちらも初めての経験でした。

いやはや、先週からラーメンの紹介ばかりしていますね。

伏見シリーズに戻らなければなりません。
広小路通の柳橋付近には名古屋グランパスの幟が掲げられています。

岡山哲也選手、懐かしいですね。
その幟の近くにある「和麺ぐり虎 」さんに行ってきました。

今年3月にオープンした比較的新しいお店。
オープン当初は長い行列ができていました。
どうやらミシュラン獲得店。

最近はようやく落ち着いてきたようです。
こちらのウリを頂かなくてはなりません。

鯛塩らーめん 800円

とても優しい感じが伝わってくるラーメン。
国産の天然真鯛を贅沢に使用しているようです。
コテコテのラーメンもいいですが、芳醇な香り漂うスープが体を優しく包みます。

「なかなか、やるじゃないか・・・」
思わず言葉が出てしまいました。
こちらはご飯を注文し、麺を食べた後に丼に入れると鯛茶漬けに変身するようです。

確かにそれも美味しそう。
それを受け入れる力は十分に残っていましたが、先々を考え我慢することにしました。
最後にはピーチティーが提供されます。

この甘さが食後にはいいんでしょうね。

食欲の秋。
いろんなラーメンが食べられるのは嬉しいですね。
ごちそうさまでした。

映画「千夜、一夜」

本作は社員の結婚式に参列する前に鑑賞。
会場の近くでありタイミングがよかった。
最近、このパターン、多いね(笑)。

正直なところ、結婚式の前に観る映画としては相応しくない。
これから幸せの階段を上がろうとする時にこんな不幸な物語を観るとは・・・。
まあ、現実の世界と映画の世界と分けて捉えないと。

現在、日本には約8万人の「失踪者リスト」が存在するという。
それは一定の手続き後に公開されるリストで理由もなく行方不明になった方を指す。
北朝鮮の拉致問題があった時期ならともかく、
(ともかくでもないか・・・)
今現在でも8万人もいるとは驚く。

何かの事件に巻き込まれた方もいるだろうが、自分の意志で蒸発した方も多い。
自分には想像しがたい世界。
瞬間的に現実から逃げたいと思ったことはあるが、そんな行動をする勇気はない。
どんな気持ちなのかも分からない。

本作はその失踪者ではなく、失踪された側の世界を描く。
今まで1ミリも考えたことはなかったが、残された側に気持ちは想像に絶する。

生きているのか、死んでいるのか、
逃げたのか、連れ去られたのか、
自分のことをどう思っているのか・・・。
何も分からない世界。
考えただけでも、気が動転しそうだ。

そんな女性登美ちゃんを田中裕子が演じる。
30年も愛した人を待ち続ける。
そんなことが本当に可能か。

一方で2年前に旦那が失踪した看護師役を尾野真千子が演じる。
この対比が観る側にグイグイ迫ってくる。

尾野真千子演じる田村奈美が人としては真っ当。
その葛藤ぶりはよく理解できる。
しかし、なぜか共感してしまうのは・・・。

登美ちゃんはほとんど笑顔を見せることはない。
とても不幸そうにみえる。
だが、その中にかすかな可能性を感じさせる。
それがとても可愛らしく映る。
ダメ男ダンカンとの会話は絶妙。

長いワンカットがリアルな世界をイメージさせる。
舞台となる北の離島の港町。
晴れた日もなぜかどんよりと映る。
気持ちの表れだろうか・・・。

人は他人のことは分からない。
自分の身内なら分からなくても信じることはできる。
他人は信じる気持ちが揺らぐ。

ラストシーンはどこに向かっているのか。

実際、日本の片隅で同じようなことが起きている。
映画は現実のツラさも教えてくれるね。

映画「空気殺人 TOXIC」

またまた韓国映画。
今年ですでに6本目。
徐々にハマっていく自分がいる。
それは素直に実力を評価していることに繋がる。

最初、本作のタイトルを見た時、ホラー映画だと思った。
もし、ホラーなら観ることはなかった。
上映しているのはミリオン座。
ホラーじゃないだろ・・・。

なにげに解説を読むと断然興味が沸いてきた。
「韓国で実際に起きた加湿器殺菌剤事件を題材に描いた社会派ドラマ」と書かれている。
HPを確認すると「韓国史上最悪の事件」なんて表現も。
昨年観た「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」に近いのだろうか・・・。
そんな気持ちで映画館に足を運んだ。

オープニングは韓国のホームドラマを観ているよう。
実際、僕は韓国のホームドラマは見たことがないが、そんな印象。
今まで観てきた韓国映画とは映像の重さが違った。
映画というよりTVドラマ・・・。

そんな感じだったが、知らない間にどんどん作品に吸い込まれていく。
冒頭の解説通り、硬派な社会派ドラマとなる大きな事件。

韓国にせよ、アメリカにせよ、日本も同じかもしれないが、大手企業は闇を葬り去ろうとする。
自分たちが起こした事故を隠蔽しようと画策する。
正義は皆無で保身でしかない。
しかし、反対に正義として跋扈し始める。

観る方がいらだちを覚え、圧倒的に立場の弱い真の正義を応援する。
そこで起きるどんでん返し。

本作はそんな展開。
映画のためのフィクションはあるだろうが、これが事実であれば驚かざるを得ない。
こんな展開が本当にあるのか?
自らが犠牲になることで本当の悪党を追及する。
自身が周りから悪党と思われても、それを貫く。

韓国にこんな事件があったとは知らなかった。
多分、国内にはあまり入ってこないニュース。

政治的にも社会的もこの事実は抑えておきたいはず。
しかし、それをあぶり出す韓国映画界。
きっと日本ではこの類の作品は作れない。

また、ひとつ、韓国映画の強さを知ってしまった。
本作にもやられましたね。

負けるな、日本映画!
最近、こんな締め方多いな(汗)。

映画「マイ・ブロークン・マリコ」

観る映画をちょくちょく監督で決める。
本作はまさにそう。
原作なんて全然知らないし、解説を読んで気持ちが大きく動いたわけではない。

タナダユキ監督に惹かれただけ。
といっても僕が観た作品は「浜の朝日の嘘つきどもと」1本。
昨年の映画だがすこぶる面白く、僕の中でのベストテンにランクイン。
注目すべき女性監督なので、勇んで映画館に足を運んだ。

どうだろうか。
かなり賛否は分かれる映画じゃないかな。
永野芽郁のキャラクターも二分すると思う。
彼女が売れっこのキッカケとなった連ドラ「半分、青い。」は一度も観たことはない。
映画も「ミックス」「キネマの神様」を観ただけで主演ではない。
CMを見て、可愛いなあ~と思っているがその程度。

どんな役柄が合って、どんな役柄が合わないかはよく分からない。
正直にいえば、本作の永野芽郁はちょっとムリしているように思える。
ワザと悪ぶっているように見えてしまう。
ファンにとってはそんな塩梅が嬉しいような気もするが・・・。

個人的にいえば彼女は煙草を吸わない方がいい。
もっとタバコが似合う女優はいるはず。

しかし、タナダ監督はそれも織り込み済みなんだろう。
生き方や言動を少し無理させることで存在感が増し、魅力的に映ることも多い。
あえてそこを狙い、友人役の奈緒との度が過ぎる関係性を当たり前の行動にしてしまう。
冷静にみれば異常な関係も真の友情として美しく魅せることも可能。

凡人で平和に育ってきた僕には理解しがたいが、
彼女らがその世界で人格を作り、2人だけで繋がっていく。
(ここでいう永野芽郁と奈緒ね)

何を言いたいか、理解してもらえるかな?
本作に世の中への批判があるかどうかは不明。
しかし、親の存在は子供の価値観を形成し、その影響で幸せにも不幸せにもなる。
ほとほと悲しくなったり・・・。

人は強くないと生きられない。
しかし、無理をしても破滅する。
それをいい頃合いで見せてくれるのが本作。

ラストシーンは何をいいたかったのか。
解釈はいろいろだが、そこは映画を観て確かめてもらいたい。

タナダ監督はこれからも期待したいね。