これからも前向きに 名大社会長ブログ

食べ物のはなし 伏見シリーズ その213

少しずつ春の訪れを感じるようになってきました。
ランチも近場ばかりでなく、ちょっと離れたお店にも行きたくなります。
以前から気になっていながら、なかなかお邪魔できないお店がありました。

伏見から柳橋に向かい、奥まった小さな通りに飲食店が点在しています。
その一つに歴史を感じさせるお店が一軒。
「柳橋 一八」さんに入りました。

店構えはまさに昭和。
この雰囲気だけでもタイムスリップした気になります。

店内も期待を裏切りません。
小さなテーブルと小上がりの座敷が並んでいます。
奥のテーブルには早い食事を済ませた常連そうなご老人が談笑しています。

メニューを眺めます。

これまた昭和を感じさせます。
値上げはいつしたのでしょうか?
一番の高価格が天丼。
丼を大盛にしても950円。

嬉しい価格ですね。
寒ければ味噌煮込みを注文するところでしたが、
それは年末のお楽しみにしておきましょう。
お店の入り口に貼られていたこちらも以前から気になっていた品を注文します。

中華そば 450円

伏見界隈も多くのラーメン屋さんが次から次へとオープンします。
激戦区でいつの間にか消えているお店もあります。
差別化が必要な時代。
いろんな工夫をされ特徴を出されています。

しかしこちらはそんな特徴を一切気にすることなく、昔ながらのラーメンを提供。
いや、ここでは中華そばと呼ぶべきでしょう。
乗っている具材はハム、かまぼこ、ネギと実にシンプル。
これで750円といわれると違和感を覚えますが、
ワンコインでお釣りがくる価格。
納得するしかありません。

見た目は濃そうですが、至ってまろやか。
うどんの出汁が上手く使われているのでしょう。

先日の名古屋シティマラソンの惨敗は重くなった体重も影響していると感じます。
シンプルであっさりとした食事を続けることが次のチャレンジに繋がるのかもしれません。
しかし、次回はかつ丼を食べたいと思ってしまう。
まだまだですね・・・。

滞在時間15分。
さくっと頂き、さくっと出る。
やはりこれも大切です。

ごちそうさまでした。

起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男

もし、朝日新聞のスクープがなければ、リクルートはどうなっていただろうか。
全く別の会社になっていたのかもしれない。
本書で書かれているようにGoogleの立ち位置に立っていた可能性もなくはない。
HR領域の情報発信のスピードも変わっていたのかもしれない。

リクルート事件が起きた時期は名大社も変革期。
僕の入社前後だが環境は大きく変わろうとしていた。

極端な言い方をすれば、
もし、江副氏が逮捕されていなければ僕は名大社の社長になっていなかった。
全然違う仕事をしていたかもしれない。
そんなことを本書を読みながら感じてしまった。

何事も自分事として置き換えて考えることが大切だね。
あっ、どうでもいいか(笑)。

この世紀のスクープで感じたのは妙な正義感は必ずしも経済にとってはプラスではない。
むしろ後退させる要素もある。
僕の目線が正しいかはともかく重箱の隅をつつくことが誰のためになるのか。

そんなふうに思ってしまう。
大きな宝をみすみす失くしてしまった。
それは日本のためなのか・・・。
やはり上から目線になってるかな。すいません・・・。

過去、後学のためにリクルート関連の書籍は結構読んできた。
そこから刺激を受けることも多かった。
江副さんの掲げた「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」。
この言葉も素晴らしいと思う。

自社で使ったことは一度もないが、
(そこはやっぱりね・・・)
この言葉の深さは仕事をしていく上で大切。
使う人を選ぶけど。

本書は江副氏の生涯を追いかけ、その背景としてリクルートが描かれているが、
改めて人、企業の格の違いを見せつけられた。
いかに自分がちっぽけな人物かは痛感するし、大胆な打ち手一つとっても向かう姿勢は異なる。
残念ながら真似することはできない。
全てを敵に回す勇気もない。

だからこそ間違えないのかもしれない。
江副氏が晩節を汚したとは思わないが、どこかで何かが狂う。
それはお金か名誉かコンプレックスか。
野心の強さだけかもしれない。

しかし、どこかで間違う。
そんな成功者は多いように思う。
そう考えるとちっぽけで大して成功していない人間の方がいいのかも・・・。

そんなことを言いたいわけじゃない。
ただ一人の経営者の生き方として学ぶべきは多かった。

課題本だが、おススメの一冊。

名大社半生を振り返る その14

2000年に入った。
世の中が大きく変化していく時期。
インターネットという言葉が溢れ、あちこちに新たなビジネスが立ち上がっていた。

名大社も遅まきながらそんな時期を迎えていた。
僕はチームの低迷から社長や常務から叱責を受けることはしばしば。
有能だったTが自分でチームを持ち、高井もTの部下となった。

僕は女性ばかりの部下を抱えるチームのデスク。
成績がイマイチで叱責を受けるのは仕方ないとして、
体調不良で休んだ時もデスクとしての指導力のなさを指摘された。
身勝手だとか薄情だとか以前の社長の発言ではないが、そんなことも言われていた。

当時、人事の発表は時期になると内示は一切なく掲示板に張り出された。
誰もが4月1日の発表を戦々恐々としていた。
それも今とは大きく異なる点。

昇進も異動も何も打診はない。
「はい、今日、夕方、席移動!」
そんな感じだった。

僕は3月末の幹部研修会で未熟さを罵倒されながらも、
インターネット委員会の責任者に任命された。

その年の11月に新卒向け就職サイト「名大社DeSu」の公開が決定。
それに伴いシステム会社とのサイト構築や営業方針が決まっていった。
会社にはまだパソコンはほとんどなかった。
インターネットもこれをきっかけにようやく繋げられた。

今のように一人一台の時代ではない。
会社に数台しかなかった。
それでインターネットサービスを立ち上げようというから、今思えば恐ろしい。

当時、僕はネット関連、eビジネス関連の本を読み漁っていた。
世間的には平均レベルだが、社内では相当の知識の持ち主と思われていた。
というよりも思わせていた。

初めてクライアントとメールの送受信をした時は感動的で喜びを日記にも書いていた。
そんなレベルなので、システム会社との連携も社内への浸透も相当苦労した。
あちこちでぶつかったし、
委員会内であまりにも出来の悪い先輩を外すこともあった。

中途市場も徐々に回復し転職フェアの契約も伸びた。
時期によっては枠数に収まらずお断りもした。
同時に相変わらず朝日新聞、毎日新聞の企画紙面も売っていた。

ネット事業の責任者とはいえ、日中は営業が中心。
モーレツに忙しかった。
その年の前半はそれでも仕事を終えると飲みに出掛け、
酔っ払い電車を乗り過ごすことも多かった。
(今も変わりません・・・汗)
嫁さんにはかなりヒンシュクを買っていた。

後半はあまりの忙しさに飲みにも行けなかった。
1か月以上一度も行かない時期もあった。
(コロナでもないのに・・・)

会社の鍵を閉めて帰る日も多かった。
2000年秋に東海豪雨もあり、何かと激しい年。

11月にオープンを迎える「名大社DeSu」。
販売状況は今一つ。
これまで営業を支えてきたベテラン幹部も全く売れない。
年齢も役職も下の僕がクライアントに同行し提案することもあった。
自分自身の契約状況も芳しくなかったが、ここは責任者として意地を見せるしかなかった。

11月のオープンにはトップの契約数を持ってくることができた。
11月1日は午前3時まで会社に残り、オープンに立ち会った。
ちょっとしたトラブルはあったが無事に開設。
担当役員と社内で一杯だけビールで乾杯をした。

そんな立場なので、大学へのサイトPRも僕が担当。
この頃から大学での講演も少しずつ任されるようになった。
大変な年だったが、多くを学んだ一年でもあった。

相変わらず浮き沈みの激しい生活。
アメとムチを最大限に受けていた。

年末の社員総会ではいつも頂く賞は受賞したが、予期せぬ賞も頂いた。
特別功労賞という今までにない賞。
素直に嬉しかった。

ただこれは僕が一人でもらったのではなく、
共にインターネット委員会でハードにこなしてきた仲間がいたから。
特に奥井さん(先日雇用延長を終えた先輩)と制作チーフのY君の貢献度は大きかった。
年明けの3人でお祝いをした。
足が出た気もするが・・・。

年末の日記にはこんなことが綴られている。

入社して約12年、一番真摯に仕事に取り組んだ年だったかもしれない。
特に会社に対する責任、自己の果たすべき役割を真剣に考えた一年だった。

続く・・・。

ちょっと今回、長かったね。

映画「THE BATMAN ザ・バットマン」

いやいや、この3時間は疲れる。
オープニングから独特の緊張感に包まれ、目を離すことができない。
単なるヒーローものなら、そのアクションをお気楽に楽しめばいいが、そうではない。
ハラハラドキドキしていればいいわけじゃないのだ。

いつからバットマンはこっちの路線に向かったのだろうか。
こっちの路線とは社会の闇を描く社会派路線。
僕の勝手な決め事だが、
スパイダーマンは世代を選ばず楽しめる作品、
バットマンはちょっとひねた大人が楽しめる作品、
そんな位置づけ。

この責任は誰にあるのか。
前シリーズを撮ったクリストファー・ノーラン監督のせいじゃないか。
「ダークナイト」「ダークナイトライジング」も僕の好きな作品。
これに惹かれてバットマンにハマったファンも多いだろう。

そして、その流れを組む本作。
マット・リーブス監督はそこを意識せざるを得ない。
どう対抗する作品を創るか思考をこらさないと・・・。
こうやってリメイクが継続されるのも面白い。
10年ごとなのか・・・。

共通するのは舞台となる架空都市ゴッサムシティとその都市の大富豪ウェイン家。
あと警部補も同じかな・・・。

時代設定は以前のシリーズと異なる。
本作ではスマホやSNSを駆使する。
まさしく現代社会。
デバイスも未来を感じさせるのではなく今どき。

バットマンが時折見せる人間臭さもいい。
ビルの屋上から飛ぶシーンとか・・・。

多くの謎解きがストーリーに盛り込まれているので、
気持ちをすっきりさせるはもう一度観た方がいいかも。
まずはこの3時間を体験することをおススメするけど。

前シリーズ、前々シリーズと姿かたちは同じバットマンだが、ブルース・ウェインはまるで違う。
クリスチャン・ベールは迷っていた。
ロバート・パティンソンは悩んでいる。
マイケル・キートンは忘れた。
それを見比べるだけでも十分価値はある。

そして、どうでもいいことを一つ。
キャットウーマン役のゾーイ・クラビッツって、滝沢カレンに似てない?。
彼女があんなアクションをこなしたら引っ張りだこだろうね。
そんなことも思ったり。

次回作はまたジョーカーか・・・。
数年後にまた観なきゃいけないじゃないか。
かなり楽しみだけど。

これからの2人に乾杯!

それは3年前のこと。
懇意にする同窓のキャリア担当の懇親会で大学の音楽の先生と知り合った。
大学で教えるだけでなく、その分野で活躍されている著名な女性。

飲兵衛が集まった会だったので、大いに盛り上がり楽しい時間を過ごした。
女性に年齢を聞くのも失礼なので、想像するに40代。
あちこち飛んだ話題から彼女が独身であることが分かった。

冗談か本気はよく覚えていないが、
「山田社長、私に誰かいい人いませんか?」
そんな話になった。

こんな立派な方に相応しい知り合いはいるだろうか?
年齢的には僕と変わらない独身はいるだろうか?
酔った頭でグルグルと考えながら浮かんだのが大学の先輩。
独身の一学年上の先輩がいた。

先輩、同期、後輩にも慕われるいい人だったが、なぜか独身。
あまり貪欲に攻めるタイプではない。
気づいた時には50歳を過ぎていたのだろう。
先生に先輩の話をし、少し期待感だけ持ってもらった。

その先輩に状況を説明。
断るかと思いきや、そうでもないので一度機会を設けることにした。
お見合いでもない、合コンでもない。
何といえばいいのだろうか。

円頓寺の雰囲気あるお店で2対2の場をセッティング。
和気あいあいと盛り上がり、その場はLINEを交換して別れた。

あとは大人の男女。
僕が口を挟むことではないので、後追いはしなかった。
攻めるタイプの先輩ではないので、
あの場だけかもな・・・くらいに思っていた。

紹介して半年ほど経った時にまたキャリア担当と先生と飲むことになった。
何も知らないのも失礼なので、先輩にその後のことを聞いてみると
「今、付き合っているよ」
と一言。

だったら早く言ってよ~。
余計な心配するじゃないか・・・。
その飲み会でも先生はとても幸せそうだった。

このまま結婚するのかな?と思いながらも、簡単な問題ではない。
はっきり言ってしまえば、まあまあの格差。
先輩には申し訳ないが、ごく普通のサラリーマンと各界に顔の広い著名な先生。
果たして釣り合うだろうか。

そんな想いも芽生えたり。
しかし、それはどうでもいい話。
2人がよければなんら問題はない。

コロナ禍で飲み会もなく静かな時間が過ぎた。
先輩との連絡もしばらくなかったが、昨年、こんなLINEが送られてきた。

お~、やったね。
(あっさりした内容だけど・・・笑)
いつかお祝いをしましょうという話だったが、お互い都合がつかず、
ようやく先週、その会を設けることができた。

顔合わせでご一緒した女性(この方も音楽の先生)と僕が2人の保証人。
いやあ~、とても嬉しいお祝いの会。
あまりに楽しくて飲み過ぎてしまった。

贈り物と一緒に頂いた手紙。

なんだか自分のことのように嬉しい。
50歳を過ぎて、まさか愛のキューピットになるなんて・・・。

ご結婚、おめでとうございます!
末永くお幸せに!
これからの2人に乾杯!

食べ物のはなし 伏見シリーズ その212

人気食べ物ブロガーのランチタイムはあっという間に終わります。
元々は優秀な営業マン。
早食いを得意としており、すぐに次の行動が起こせるよう昔から鍛えていました。
デキる営業は早飯なのです。

その癖が抜けず、今でもつい早食いになってしまいます。
時間に余裕があったとしても・・・。
毎朝、家人に「もっとゆっくり食べたら?」と叱られています。

ランチタイムが短い理由はそれだけではありません。
伏見界隈の人気店を紹介するのが大切なミッション。
当然、お店は混んでいます。

そんな時、ゆっくり寛いでいるわけにはいきません。
食べ終わったらサッサとお店を出て、次のお客さんに譲る。
それがマナーでありポリシー。
お店に配慮する姿勢も忘れません。

そんな人気食べ物ブロガーですが、
たまにはゆっくりとランチタイムを過ごしたい時もあります。
3月も中旬になり少し落ち着いてきました。
ピークを過ぎた時間にお邪魔すれば、
お店にもお客さんにも迷惑をかけることはありません。

会社から北に向かい錦通を越えた場所にある「英吉利西屋珈琲店」さんに行ってきました。

老舗Barの英吉利西屋さんの系列かどうかは知りませんが、老夫婦が営まれています。
この雰囲気が居心地の良さを感じさせてくれます。

営業時間が8:00~17:00なのも潔くていいですね。
完全禁煙なのもゆっくりしたい立場としてはありがたいです。
ランチは日替わり。
この日はミートソースでオムレツかペンネを選ぶことができました。

本日のランチ(ミートソースペンネ) 900円

大食漢には物足りない量かもしれませんが、最近はこれで十分と思えたりもいます。
普段、ペンネなんて食べることはありませんが、たまにはいいですね。
やっぱりあっという間に平らげてしまいました。

そして、美味しいコーヒー。

冷蔵庫で保管されたフレッシュが出されるのも嬉しいです。
これから時間に余裕がある時はここで読書を楽しむことにしましょう。
ちょっと暗めなので、老眼には厳しいですが・・・。

ごちそうさまでした。

フラフラ、ヘトヘト 3年ぶりの名古屋シティマラソン

一昨日13日は名古屋シティマラソン。
コロナ禍で中止もあり3年ぶりの参加。
マラソン大会自体、3年ぶりとなる。

過去はエントリー後、事前受付を済まし参加するだけだったが今年はそうではない。
1週間前から毎日健康チェック&検温を報告。

そしてPCR検査を受けなきゃいけない。
参加ハードルはグッと上がった。
そのせいか例年多い初心者ランナーは少なかったような気がした。

開催一週間前に雪がパラついていた名古屋はウソのよう。
この日の最高気温は21度。
晴天でなかったのは救いだが、暑さ対策は必要。

会場となるナゴヤドームは色とりどりのランナーで盛り上がっていたが、
いつものような騒がしさはない。

 

正義正しい方が多いのだろう。
きちんとマスクをしてスタートを静かに待っていた。

大会MCは以前一緒にラジオ番組を担当していた山口千景さん。

舞台の前で思い切り手を振ると気づいてくれた。
「あ~、今、私の友達も通っていきました。」
とアナウンス。
それって、オレだよね?
勘違いだったりして・・・。

スタートから4分後にゲートをくぐった。
すでに暑い。
アンダーシャツは脱いでTシャツ1枚になればよかったと後悔したが、すでに遅し。

自分のペースでRUN。
10キロ時点で56分とほぼ予定通りのタイム。
今回の目標は2時間切り。
同じペースで走りきることが大切。

12キロあたりまではよかったが、徐々に遅れ始めた。
給水も欠かさず取っていたが、どうも気分はすぐれない。
そして、18キロあたりでふくらはぎがピリピリし始めた。
「ヤバい・・・」と思いながら走り続けるも、やはり足が攣った。
そこからは歩いたり走ったり、時々、屈伸したり。

なんともお粗末な終盤で、それでもゴール。
途中から2時間切りは諦め何とか2時間10分切りを目指したが、それも叶わず。
手元の時計では2時間10分36秒。

あ~、過去最低のタイム。
大会は久々といえ、継続的にランニングはしてきたけど。
名古屋シティマラソンで2時間オーバーは初めて。

う~ん、厳しい結果。
鍛え方が悪いのか、歳のせいか。

今回はそれでは終わらず。
終了後、ファミリービジネスアドバイザー仲間の集まりがあったので、顔を出させてもらった。
ビールを1杯飲むが美味しくない。
腹は減っているが食欲はない。

仲間と別れ、帰りの電車で急に気分が悪くなった。
帰宅後、しばらくダウン。
体は痛いし気持ちは悪いし酷い状態。

楽しみのはずの夜のアルコールも飲まず仕舞い。
熱中症か、脱水症状か・・・。
なんとも情けない一日だった。

それでも昨日は復活。
嫁さんの冷ややかな視線はあったが、美味しくビールも日本酒も飲めた。
さて、今月末は豊橋。
それまでには何とか調整したい。

お疲れさんでした。

名大社半生を振り返る その13

「テツ、明日、辞表を持ってこい!」
「お前はエゴイストだ。会社のことを全然考えていない!!」
社長からの強烈な言葉が続いた。

始めのうちは先輩も後輩も庇ってくれていた。
「ヤマちゃんは頑張ってますよ。みんなのためにやってますよ」
「お前は何も分かっていない。こいつは自分のことしか考えていないんだ!」

社長の迫力に押され、誰も反論できなくなった。
次第に
「そうですね。テツは自分勝手ですね・・・」
手のひらを反すような言葉に変わった。

まさにサンドバック状態。
自分なりの抵抗はみせるものの、完全否定されボコボコ。
社長としては1年以上前から僕の言動に不満を抱いていたのだろう。
溜まっていたものが爆発した。

ボロカスにいわれ、ただ酒を飲むしかなかった。
気がついた時に社長宅には社長と僕だけ。
途中からの記憶はない。
他のメンバーはいつの間にか消えていた。

あれだけ激しく罵倒されたのは初めて。
日記を読み返すと最後は握手をして別れたと書かれているが、
僕はずっと追い出されたと思っていた。

深夜1時は回っていただろう。
翌朝は酷い二日酔い。
体調も良くなかったが、気持ちも落ち込んでいた。

それでも普通に出社。辞表は持たずに。
僕が普段通り出社したので、同席した役員や先輩は驚いていた。
さすがに休むと思っていたようだ。

数日後、社長と一緒に罵倒していた役員も気にしていたのだろう。
珍しくフォローがあった。
その後、社長からお咎めはなかったが、鼻をへし折られたことは事実。

確かに調子に乗っていた面もあり、この夜の出来事はいい反省材料にもなった。
それにしても言いすぎだと思うけど・・・。
そして断固として言いたい。
エゴイストではないと・・・。

不況期であってもノルマに追われ仕事は忙しかった。
個人としては良かったが部下の成績がイマイチだったり、
部下がクライアントとトラブルを起こしたりと
上司としてマネジメントの難しさを感じていた。

頻繁に社長や役員から叱責を受けた。
唯一の救いは娘の存在だった。
当時の日記には娘への溺愛ぶりが綴られている。

今は影も形もないが、2歳の頃はよく懐いてくれた。
起きている時間に帰宅すると走って抱きついてきた。
週末のひと時に癒され、幸せを噛みしめていた。
仕事の苦労も吹き飛んだ。

家庭では何もしないダメ夫に嫁さんは不満を持っていたはず。
帰りは仕事で遅いか、飲んで遅いか、週末も仕事を持ち込んでいた。
この頃からそれが常態化していった。

続く・・・。

映画「夕方のおともだち」

映画コラムニストはどんな作品でも観なきゃいけない。
それがたとえR18であったとしても、話題性や芸術性があれば問題はない。
SMシーンがハードだとしてもそこは敢えて挑む。
これも仕事なんだと自分に言い聞かせて観るのだ。

と、言い訳じみた書き出しになったが、本作はかなり過激な映画。

冒頭シーンから観る者はショックを受ける。
しかし、映画が進めば進むほど純粋なラブストーリーのような気がするし、
屈折した人間関係を表現する社会派ドラマのような気もする。

言っておこう。
エロ映画でも変態映画でもない。
どうにも生きずらい現代社会を違う角度から切り取った作品。
R18が成人映画という解釈はもう古く、大人しか分かりえない世界を描くカテゴリーとすべき。

事実、女性客も多かったし映画館はミリオン座。
世界の佳作を流し続ける映画館だ。
「ドライブ・マイ・カー」だって最初はここしか上映してなかったんだぞ。

と映画館を味方につけて自分を正当化する。
ただし、ここで映画を深くは語らない。
どうしても墓穴を掘りそうだし、危うい表現も溢れてしまいそうだから・・・。

僕は原作も作者の存在も知らない。
その分野では有名な作家だが、僕は本作で初めて知った。
廣木隆一監督作品なら面白いかも・・・と思ったのが理由だろうか。

廣木監督が描く真っ当でない恋愛ドラマに魅力を感じるのだ。
ピンク映画出身なのも下積み感があっていい。
5年前の「彼女の人生は間違いじゃない」はよかった。

この作品で瀧内公美さんの笑顔にやられた。
今やキネマ旬報主演女優賞を獲得する演技派。
昨年の「由宇子の天秤」も素晴らしかった。

横道に逸れたが廣木監督の「ヴァイブレータ」の男女の描き方も苦しくてよかった。
同時期に「ノイズ」が公開されているので、売れっ子監督の一人。
「ノイズ」は観てないけどね。

普通の人ならそっちを選ぶと思うが・・・。
それは僕が少なからずM的要素があるということ。
一般的に会社経営者はM的だと言われるけどね。
ここでも言い訳をしておこう。

本作のヒロイン、いや女王様の菜葉菜さんもキュートだった。
未だに苗字と名前の区別がつかない。
全部苗字かもしれないし、名前だけかもしれない。
どうなんでしょうか?
誰か教えてつかあさい。

今年はなんだかマイナーな日本映画ばかり観ている。
そろそろメジャーな日本映画を押さえたいが、何がいいんだろう。
琴線に触れる作品はないだろうか。

映画「宮本から君へ」

宮本が友達だったら超面倒くさいヤツと思うだろう。
うざいヤツと思いながらも仕方なく付き合うだろう。
頻繁に周りに迷惑を掛けるが憎めない。
金を貸してくれと言われれば、何も言わず貸してしまう。

宮本はそんなヤツ。
暑苦しくて仕方ないが嫌いにはなれない。
巻き込まれるのを拒みながらも巻き込まれてしまうような気がする。
それも自ら望んで・・・。

映画の宮本に僕らはなんやかんやで共感してしまう。
感情的で一方的でナルシストで自分勝手な正義感に僕らは共感する。
それは自分でできなさそうなことを真剣にやってしまうから。

それは難しいことにチャレンジするのではない。
ちょっとしたことにムキになり立ち向かうだけ。
それにはくだらない勇気と呆れる正義感が必要。
それを宮本は持っている。

分かり易くいえば、彼女を寝取られた僕が
ラグビー日本代表の稲垣選手にケンカを売るようなもの。
絶対、勝てるわけがない。
コテンパンにやられるのは分かっている。

予測できる結果はどうでもよく、
とにかく勝つことを信じて稲垣選手にぶつかっていく。
どんな状況でも僕は絶対にやらないが、
とことんやればほんの少しは可能性が生まれるかもしれない。

本作はそんな成り立ち。
宮本を演じるのは池松壮亮。
彼の真正面から向かう演技が素晴らしい。
実際に前歯を失くしてもいいと本作に臨んだようだ。

その相方は蒼井優演じる靖子。
彼女も感情丸出しで宮本にぶつかる。
そして、「宮本ーーー!」と叫び続ける。

男女が出会って結婚し子供を産むまでの単純な話だが、
どうしてこんなに面白くなるのか。
その熱量に圧倒される。

本作はAmazonプライムのウオッチリストにずっと入っていたが、
最近になりようやく観ることができた。

真利子哲也監督、なかなか、やるな。
前作「ディストラクション・ベイビーズ」も横暴な男が殴り合うだけの映画だったが、
メチャ面白かった。
シンプルな物語をすこぶる面白く魅せる演出はこれからも楽しみ。

いやいや、期待以上に楽しめた映画だった。