ついこの類の本を手に取ってしまう。
『さらばカリスマ セブン&アイ「鈴木」王国の終焉』
どうしてマスコミは大袈裟に表現したがるのだろうか。
それが売上に直結する意図は否定しないが、
中立的立場にある存在が必要以上に相手を貶めているような気がしないわけでもない。
これも否定するわけではないが、本書を執筆した記者は会社を経営した経験はないはず。
どの選択正しく、どの選択が間違っていたかなんて、結果から判断するに過ぎない。
当事者として、その状況の中でどうジャッジするかはその本人しか分からない。
心の葛藤を表現するのは不可能だ。
それを見事に表現してしまう記者はやはり優秀なのだろう(笑)。
僕が言うのもおこがましいし、そんな立場にないのは承知しているが、
やはり鈴木会長の退任は遅すぎたのではないか。
先端の経営をしていたとはいえ、80歳を超えて経営トップに立つのはいかがかと思う。
それはどんな優秀な経営者でもそう。
孫さんにしても柳井さんにしても80歳を超えて経営をしてはいけない。
これは僕の勝手な持論なので正しいとは思わないが、そう考える。
後を継ぐ者は時間が掛かれば掛かるほどカリスマを抜くことはできない。
その存在の大きさに委縮するのが当たり前なこと。
次の者がメチャ優秀であっても・・・。
と本書に関係ないことツラツラと書いてしまった(苦笑)。
本書には話題になった記者会見から、その前後の一連の騒動、
コンビニの歴史、もっとも大切な今後の予測まで書かれている。
どんなに順調に成長している会社でも必ず闇は抱えているということ。
一定の対立は生まれるということ。
全てが上手くいくわけではない。
組織や会社が大きくなることで、マイナスを抱えることも多い。
イトーヨーカ堂に限らず、西部・そごう、ニッセンをどう展開していくのか。
簡単にリストラすればいいわけでもないだろう。
僕にはさっぱり分からない。
そう考えるとセブン&アイの社長に就任した井坂氏の難題にぶつかっていく。
辞める辞めないというゴタゴタのほうが余程楽ではないだろうか。
メディアに対しては前向きな言葉が並ぶ。
それはトップとして当然というべき行為。
しかし、本音をつい漏らしたくなる場面もあるのではないか。
名作ドラマ「ハゲタカ」のワンシーンを思い出した。
カリスマ経営者大木昇三郎から引き継いだ塚本社長がタクシーの中でつぶやく。
「大空電機には工場の隅に転がるネジ1個にも大木昇三郎が宿っている。後を継ぐ者は地獄だよ。」
そうならないことを願いたい。