原題はAnatomie d’une chute。
そのまま翻訳したタイトルが「落下の解剖学」。
あまりヒットしそうにない。
玄人好みの映画のように思えてしまう。
しかし、どうだろう。
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したせいか、映画館は結構賑わっていた。
むしろ正々堂々と勝負した方がいいということか。
そして、映画を観終わってから、本タイトルの正しさを理解。
なるほど、解剖したわけですな・・・。
本作も最近、よく観るフランス映画。
やはり今年も注目すべきか。
素晴らしい作品を連発しそうな予感。
国としての施策もあるのだろうか。
正直なところ前半は眠かった。
高評価の作品なのに眠くなるとはどういうことか。
自分の目が節穴なのか、よほど疲れていたのか。
ちょっとまずいなと思ったあたりから、グイグイと引き込まれていった。
眠気は吹っ飛び、繰り広げられる舌戦に巻き込まれていった。
法廷劇をメインとしたヒューマンサスペンスだが、こういった作品は緊張感が全て。
裁判所のピリピリとした空気感がこちらまで伝わってくる。
スキャンダラスな事件を知りたいだけの野次馬的な傍聴者も激しいやり取りに表情が変わる。
そして、追及により明かされる知られざる真実。
夫婦のいざこざをできれば子供には見せたくはない。
仮に見せるなら当事者の口から知らせるのが本来の姿だろう。
それが検察官の追及や調査から丸裸にされたなら、その場に立ち会う子供はどれだけ辛いか。
容赦ない言動に苛立ちながらも、それが正義なら正しい行動として受け入れるしかない。
そのシーンが英語とフランス語で展開される。
もし、僕が両方とも理解できたら、もっと映画を楽しめた。
よりリアルなシーンとして感じることができた。
外国語がまるで分からない自分の無能力さを痛感。
映画を観ながら後悔もしてしまった。
一体、フランスで英語を話せる人はどれだけいるのか?
そんなことも思ってしまった。
間もなくアカデミー賞も発表される。
本作が作品賞を受賞したら、さらに注目もされる。
ただ夫婦で観るのはおススメしない。
夫婦喧嘩はしない方がいいが、仮に喧嘩しても録音はしてはいけない。
その場ですべて終わらせよう。
そんなことも教えてくれた作品。
いい勉強になりました。
違うか(笑)。