当初は「奥様は、取り扱い注意」を観ようかと思っていた。
TVドラマには興味はないが、予告編の綾瀬はるかの立ち振る舞いに惹かれた。
彼女の魅力はアクションでの姿勢。
メチャ決まっている。
そんな女優はそうそういないと思うがどうだろうか。
カッコいいと思うんだけど。
といいつつ、同じ時間に上映していた本作を選んだ。
まだまだ身近にはびこる格差が気になった。
実際、僕が格差を感じることはしばしば。
周りには優秀な経営者仲間が多いが、その中には由緒正しすぎる人も多い。
出自もそうだが育ちが違い過ぎるというか・・・。
田舎者のコンプレックスをたまに感じるが、むしろ有り難い経験だったり。
それはともかく本作は格差を描く作品。
言い方は悪いが底辺を描くのではない。
実際存在するであろう特別な上流階級。
僕がコンプレックスを感じるさらに上の世界。
それが映画で描かれる。
そんな表現をすると嫌らしい世界と思われるがそうではない。
その世界で生活する者同士とある種、冷めた視線を送る外部者の喜怒哀楽がたまらない。
どの世界に生きようとも苦悩はついて回る。
金持ちが幸せで貧乏が不幸というのは短絡的。
格差社会では否応なく感じる面はあるだろうが、当事者が感じるかは別。
生きる世界が半径5キロであれば、自分の周りはすべて「普通」。
自分にとっての「普通」が基準となる。
「普通」の世界で留まっているだけなら、それなりの幸せな人生を送れるが、
そんな純粋培養的な閉ざされた社会は過去の話。
スマホで全世界を知れる社会で価値観が広がることが常識といえよう。
あのビンタが正しい行為なのか、
異常な行為なのかで、その人の価値観が理解できるのかも。
ここまで書いたところで映画の内容はさっぱり分からないはず。
それでいい。
映画を通して自分の立ち位置とどう振舞うかを知ればいいだけのこと。
ポスターにあるように本作は門脇麦と水原希子がメイン。
一般的には水原希子の方がお嬢様役に相応しいと思うのではないか。
僕が「麒麟がくる」や「止められるか、俺たちを」から門脇麦を
貧相な役柄が似合うと思っているだけかもしれないが・・・。
実際は門脇麦が見事にお嬢様を演じている。
素晴らしい。揺れ動く心模様も・・・。
それだけでも本作を観る価値はある。
世界平和を問うわけでも日本の未来を案ずるわけでもない小さな関係性。
たまにはそこにどっぷり浸かる映画もいいかもしれない。