
予告編を見て鑑賞しようと思い、
レビューを読んで止めようと思い、
やっぱり向き合った方がいいと思い観た作品。
レビューには気分が悪くなるとか胸糞悪いとか書かれている。
確かにその通り。
決して気持ちのいい作品ではない。
描かれるのは1933年のヒトラー首相就任から第二次世界大戦終了の1945年まで。
ヒトラーとその宣伝大臣を務めたゲッベルスの半生を描く。
ドイツがユダヤ人への行為は語るまでもない。
本作は映画として製作された部分と当時の映像が混ざり合い、
事実が時間と共に経過していく。
当時の映像はユダヤ人の虐殺や死体が並ぶシーンも映し出すので観るのが辛くなる。
それがレビューの点数に繋がる要素もあるのだろう。
日本にはヒトラーやゲッペルスのような強烈な指導者はいなかったかもしれない。
しかし、その行動はほぼ同じ。
プロパガンダを仕掛け国民をあらぬ方向に誘導する。
不利な状況であっても認めることはなく扇動し続ける。
当時の日本とまるで同じ。
指導者は自分の権力を保持したいのか、誤った正義を貫きたいのか、突き進むしかない。
そして結果は・・・。
歴史は繰り返すというがこれからも同様なことが起きるのか。
恐ろしい。
ただどうだろう。
世界の指導者が本作を観て自分ごとと捉えれば間違った方向には向かわない。
そんな単純じゃないか(笑)。
作品の出来は個人の感覚なので様々だが、僕はこうした作品が一番勉強になる。
映画の楽しみ方としていいかどうかは別に「映画で歴史を学ぶ」ことができる。
上辺の知識に実際の人間関係や細かな行動をぶっこむと歴史的背景が具体化する。
なぜ、ドイツはあんな行動を起こしたのか?
そんなこともより見えてくる。
日本も同じような事実はある。
しかし、ここまで自らの過ちを忠実に表すことは少ない。
間接的に訴える作品はあってもより直接的な作品は少ない。
あったとしてもヒットしないだろうし。
そんな意味では真摯に向き合い、こんな作品を残すドイツはさすがかと。
目を背きたくなる映像にも正面から捉える。
歴史を描く作品なのでどんでん返しもトリックもない。
結果も分かっていること。
そんな映画を受け止めることも大切なんだろうね。

森達也といえば、僕の中では映画「福田村事件」であり、ドキュメンタリー作品を手掛ける監督。
「放送禁止歌」の著者でもある。
日本の暗部を抉り出す作品が多い。
そんな森監督が映画の評論をしているとは思わなかった。
帯にあるようにある種痛快、そして大胆。
その立場だから言えるのだと思うが、紹介する作品に忖度はない。
映画コラムニストを語る僕は基本的に作品を否定することはない。
駄作と思っても正面切ってそれをいうことはない。
少しでも映画の観客数が増えることを望んでいるし、
いくら駄作でも自分で撮る能力は持ち合わせていないから。
だからだろうか、本書はある意味、憧憬を抱きながら読んでいた。
その能力に対して・・・。
能力の違いは明らかだが、近しい面も多い。
大学時代に映画研究会で8ミリ映画を撮っていたこと。
頻繁に映画館に通っていたこと。
そしてほとんど大学に行っていないこと。
10歳年上なので時代は違うが同じような学生生活を送っていた。
それだけでも身近に感じたり・・・。
本書では「ニューズウィーク日本版」に掲載された90本の映画の批評が並んでいる。
2020年2月からの連載で比較的最近の邦画が中心。
但し紹介される映画は公開時の作品ばかりではなく昔の作品も多く一貫性はない。
最近の作品もメジャー作品よりはマイナー作品が並ぶ。
近年は僕もある程度網羅しているが、初めて耳にする作品も多い。
まだまだ知らない世界があるということ。
一部、アマプラやNetflixでも公開されているので、近いうちに観てみよう。
50年代や60年代の作品も含めて。
親しい監督仲間の作品も紹介しているが容赦ない。
どこがダメかを明確に指摘するので却って清々しい。
本業の方が作品を語ると視点も大きく変わる。
僕らただ観ている人には持ち合わせない感性なので新鮮だったり感心したり。
いい刺激を受けた。
少なからず同じような感想を持った作品もあった。
映画「悪人」に対しての批評は僕とほぼ同じ。
(なんだかエラそうだけど)
少しばかり嬉しかった。
このマニア向け映画批評の連載がいつまで続くかは知らないが、
これからも楽しみにしたい。
それよりも次回作を期待したいけど。
先週の食べ物のはなしは一週間感覚を空けての掲載。
モーレツなブログファンから
「内容はともかく毎週水曜日に掲載されることで一週間の曜日感覚を保っているだぞ!」
とお𠮟りを受けたのでした。
世の中にはそんな人が多いのかもしれません。
食べ物ブログで今日が水曜日であると確認しています。
重要な役割を担っていると認識し、これからは間隔を空けずにアップしたいと思います。
会社から南方面に向かいます。
広小路通、錦通を越え長者町の中ほどにある「すしの銀之丞」さんに行ってきました。

以前はコロワイドグループのお店。
こちらも系列店かと思いましたが違いました。
この界隈で積極的に店舗展開をしているオーエムフードサービスさんでした。
まだまだ知らない外食チェーンは多いですね。

外のメニューを眺め、「なるほど!」と頷き店内に入ります。
大衆寿司居酒屋というのでしょうか。
カウンター席とテーブル席が並びます。
当然のようにカウンター席に案内してもらいました。
見上げるとこのような感じ。

お寿司屋さんっぽいですね・・・。
メニューを選ぶ際大切なのは映えること。
そうなるとこちらでしょう。
ばらちらし 1000円

彩りに心がワクワクしてきます。
アップにすると更に躍動的になるのでしょうか。

丼の上にはマグロ、サーモン、鯛、とびこ、玉子、キュウリが踊っています。
ここは豪快にいかねばなりません。
醤油にわさびを溶かし、グルっと丼にかけます。
箸を思い切り丼に入れ、すし飯と共にグワシグワシと口の中に放り込みます。
なんと気分のいいことでしょう。
上品に頂く必要はありません。
味わいながらも一気にかき込む姿勢が大切なのです。
すし飯はボリュームもあり、ネタもバランスよく散りばめられているので満足度は高くなります。
食べ終わると「ふ~っ」とひと息つくことができました。
こんな感じでお昼を過ごすのも悪くはありません。
ランチメニューの隣にある「得ちょい飲みセット」の存在も見落としていません。
次回は早い時間にこのセットでスタートさせたいですね。
ごちそうさまでした。

スパイ映画はほとんど観ていない。
特に理由はないが、「007」シリーズも、
「ミッション:インポッシブル」シリーズもほぼ観ていない。
いずれ観ようとは思うが、優先順位が後回しになってしまって。
興味がないわけじゃないのに・・・。
本作はスパイ映画ファンにとっては物足りないのかもしれない。
派手なアクションも壮絶な闘いもない。
先日観た「アンジェントルメン」の方が派手にやり合うので、
シンプルな見方なら断然面白い。
それはそうだが、個人的には非力な主人公が
頭脳を駆使して相手を陥れる方が好きだし面白い。
強靭な肉体で相手をバッタバッタ倒すのも悪くはないが、
僕は弱いヤツの方が共感できる。
だからだろうか。
ラミ・マレックが演じる主役チャーリーに惹かれる。
闘いも弱いし銃を相手に向ける勇気もないが、
それなりに強がりだし、相手に立ち向かおうとする姿勢はいい。
何より国とか組織のためでなく、奥さんの仇をとるための小さな動機がいい。
予告編では屋上プールが破壊されるシーンが流れていたが、まさにあの感じ。
得意の頭脳戦に上手く誘導し目的を果たす。
あんな罠をわずかな時間で仕掛けられるのは信じがたいが天才オタクゆえにできる技。
おかげで次にどんな作戦が組まれるのか予測できない。
アクション中心の映画よりもハラハラさせられる。
展開が早いので一気に観れるが、不思議に思った点がいくつか。
危険な状態に追い込まれ、間一髪で逃げる時もパソコンは持ち出せるのか。
いろんな通貨の国を渡り歩くが、すべてカード決済なのか。
あんなに人を殺しても最終的に逮捕されないのか。
あっ、ネタバレか(汗)。
そんな見方をしているのがアマチュアだったりして。
本物のアマチュアはそんなことは気にしない。
目的達成のためにひたすら頭を使い続け、大きな組織さえも巧みに欺く。
それでいいんだ。
本作は予告編を何度も観て観ようと思った。
内容は裏切られることはなかった。
映画的には人をバンバン裏切るんだけどね。

昨年観た「コヴェナント 約束の救出」もガイ・リッチー監督作品。
これはアフガニスタン紛争を題材にした作品。
本作は第二次世界大戦中の英国とナチス軍の争いを描く。
コヴェナントは社会派ドラマ的な要素もあるアクション映画だったが、本作も同じ。
ガイ・リッチー監督はこの類の作品を得意としているのか。
本作は実話がベースという。
それもチャーチル首相の下で非公式に結成された特殊部隊の戦いと解説されている。
加えて主役ガス・マーチは007ジェームズ・ボンドのモデルらしい。
あまり話題にはなっていないが、それだけで期待感が増すし映画通の興味もそそる。
そして、期待は裏切らない。
実話がベースと何度も頭に中で唱えなければ、
ハチャメチャな連中のやりたい放題の攻撃は単なるアクション映画。
もちろん過度な演出だろうし、あの人数であれだけのナチス軍に立ち向かうのは不可能。
フィクションの世界だから考えられる。
しかし、それがほぼ実話なら、とんでもない事実が隠されていたということ。
作品だけ捉えると英国が正義とは言い難い。
チャーチル首相は非難を浴びてもおかしくない作戦は無謀。
ナチス軍があんなにバッタバッタとやられると却って同情したくもなる。
ドイツ人が観たら、いくらなんでもやりすぎだと憤慨するかもしれない。
反対側の立場なら痛快で気持ちがいいだろう。
戦争映画は戦争の無意味さを訴えるのが理想だがそうならない。
ということは社会派ドラマと一切言わずアクション映画として観た方がいい。
まあ、007感覚で・・・。
本作の俳優陣は各々がエッジが立っていた。
そこも面白さの要因。
中でも輝いていたのが、マージョリーを演じたエイザ・ゴンザレス。
ナチス軍のルアー大佐をたぶらかす役だが、彼女がカッコよく魅力的。
その行動にはハラハラさせられるが、頭脳明晰で銃の扱いも見事。
ボンドガールに相応しいんじゃないの?
と思ってしまう。
いかん、最近の007は全く観ていない。
これを機会に観てみるか・・・。
ガイ・リッチー監督はテロップも音楽も独特。
まるで西部劇を観ているような感覚に陥る。
これも作戦だったりして。

情報誌VISAが送付されるようになって13~14年。
欠かさず読んでいるのは沢木耕太郎氏の「feel感じる写真館」。
いわゆるフォトエッセイ。
最新号を確認するとすでに196回連載されている。
年6回の発行なので30年程になるのか。
昔は毎月発行の可能性もあるが20年以上は間違いない。
その中の81篇が本書に掲載。
沢木氏の作品はほぼ読んでいる。
重いノンフィクションも好きだが、こうした日常を取り上げたライトな作品も好きだ。
本書は旅の途中で撮影した1枚の写真に500字ほどの文章が添えられている。
言い方は失礼になるが、隠し撮りの写真は多い。
大半は被写体に許可を取っているが、そうじゃないケースもかなりの数。
(と推測)
そんな写真から妄想した内容がエッセイとなる。

沢木氏だから許されるし認められる。
僕だってそれくらいできなくはない。
適当に写真を撮って適当に文章を書く。
それでお金がもらえるなら、こんな嬉しいことはない。
そんなことをいえば「失礼なことを言うんじゃない!」
と本人や周りから叱責を受けるだろう。
ここまで生きてきた背景が違うのだ。
沢木氏のそれは圧倒的な実績と妄想力の豊かで人を惹きつける。
当然といえば当然。
捉え方を誤ってはいけない。
81点並べられた写真はほぼ海外。
アジアやヨーロッパ周辺が多い。
名著「深夜特急」で辿った道のりを何度も何度も行き来しているように感じる。
昔の感覚と今の感覚、時代の流れを肌で感じながら写真に収め想いをまとめる。
大きな事件を思い起こさせる写真はない。
ほぼ日常。
はにかむ子供。
老人の居眠り。
食事をするカップル。
本を読む若い女性。
夕日や夜景の風景も多い。
通り過ぎてもおかしくはない。
ごくありふれた場所。
海外だから特別に映るわけではない。
しかし、そのありふれた場所にちょっとした物語を載せると特別な場所になる。
本書はその連続に思えるから不思議だ。
1枚の写真から国の文化や環境を創造する。
それが「心の窓」ということか。
沢木氏はいつまで旅を続けるか。
いつまでも見ていたいけど。
毎週水曜の食べ物ブログも毎週ではなくなりました。
できるだけ継続はしていきますが、
周辺情報をリサーチする時間が思いのほか掛かります。
ファンの皆さまの期待を裏切らないためにも丁寧なリサーチを心掛けますので、
ご容赦ください。
今回向かったのは会社から名古屋方面。
名古屋観光ホテルの西側に店を構える「炭火焼肉寅二郎」さんにお邪魔してきました。

以前は焼鳥屋さんだったと思いますが勘違いでしょうか。

ランチメニューを眺め、「よしっ!」と頷きながら店内に入ります。
こちらは個室焼肉を謳っています。

こんな感じなので他人に気を遣うことなく楽しめることができそうです。
一人客用のカウンターもしっかりと仕切りがありました。
店内に通され、
「いらっしゃませ。日替わりランチは終了しています。」
こちらが声を発する前に先を越されました。
「あっ、そうですか・・・。え~っと、じゃあこれで!」
動揺を悟られないようにメニューを指します。
「ご飯の量はどうしましょうか?」
「普通でお願いします!」
少し時間が経過してからモーレツにお腹が空いていることに気がつきました。
やはり動揺していたのでしょうか。
黒毛和牛鉄板肉野菜定食 1000円

肉だくは+500円ですが普通で十分です。
鉄板の上で和牛と野菜が踊っています。
アップにしてみましょう。

踊っているのが分かるでしょうか?
写真だと分かりませんね・・・。
こういった焼肉店はみそ汁ではなくわかめスープが多いように感じます。
大きな理由でもあるのでしょうか?
誰かに教えて頂きたいですね。
鉄板の上の肉と野菜をかき混ぜ口の中に放り込みます。
じわ~ッと程よく味付けされた肉と野菜が広がり、自然と体が白米を求めます。
「お~、いいぞ、いいぞ」
と心の中で呟きながら、肉、野菜、ご飯の順に食べ進めます。
時々、わかめスープで体も休めながら。
「これだったら大盛ご飯でも楽勝だったナ」
と余裕のあるお腹をさすってみます。
気がつくとすべてがキレイになくなっていました。
日替わりランチの詳細も気になりますが、
他のメニューも試してみたい気持ちになりました。
ごちそうさまでした。
今年は新たに大学の授業を受け持つこととなった。
非常勤講師の身ではあるが2つの大学で学生に教えることに。
昨年までは南山大学で第2Q、第3Qの2クラス。
その他は単発でいろんな大学も講師を務めた。

この4月からは母校である愛知大学での授業。
前期の15コマを担当し、先週からスタートした。
キャリアデザイン特殊講義という授業だが、
僕のような落ちこぼれがまさか母校の先生になるとは・・・。
世の中、不思議なものである。
自慢するわけではないが学生時代、授業はほぼ出ていない。
3年ですべての単位を取得とはいえ、最低の成績で卒業。
そんな人物でも先生になれるのだから、母校は懐が深いということか。
後輩に大きな勇気を与えることができた(笑)。
とはいえ僕一人ではおぼつかないので、いつものように名大社のニシダと一緒。
テツ&チカのコンビで行うことに。
先週8日が初日。
新学期のスタートが7日なので2日目。
大学は溢れるばかりの学生で新鮮な香り。
受講する学生は学部も学年も問わないのでなんと300名を超えた。
自分が受け持つ過去最高の受講者数。
新一年生も100名ほど。
当初は150名を予定していたが受講生は倍以上。
そのため授業前日に大きな教室に変更。
そんな中、授業がスタートしたので少々混乱気味。
教室を間違えた学生も多く、また、大学のWebシステムに慣れていない一年生も多い。
僕らもだけど・・・。
まあ、初回なのでお互い大目に見ようじゃないか。
1回目はガイダンスなので授業の目的と僕らの自己紹介。
いつものように僕とニシダのキャリアの違いから正解がないことを伝える。

大教室なので緊張感を保つのは難しいが、多くの学生が真剣に聞いてくれた。
リアクションペーパーもぎっしり書いてある学生も多かった。
手応えも十分に感じた。
ただ熱くなり僕が喋りすぎて、ニシダの紹介時間が短くなった。
いつものように迷惑を掛けた。
まあ、初回だから(笑)。
社会人のイメージを「絵」にしようというムチャなテーマも出したが、
それぞれ個性のある「絵」が提出された。
社会人って、ペコペコするとか、叱られてばっかりとか、
満員電車に揺られて大変というイメージがあるようだ。
学生が思う正直なイメージ。
否定はしないが、そうじゃない面もきっちりと伝えていくのが僕らの役割。
さて、今日は2回目。
少し慣れてどんな感じで展開するのか。
ムチャ振りしてみようか。
お互いにとって有意義な前期になればいいけどね。

かなり評価は難しい作品。
老女の人生を通し生きる上で大切なことを語っている気もするし、そうでない気もする。
深く深く考えると深い映画と捉えられるが、
何も考えずに観ると「で、なに?」となってしまう。
作者の意図はどこにあるのだろう。
深読みしたい気持ちもあるが、それだと映画を楽しめない。
所詮、人生はなるようにしかならないが、なるようにもなると・・・。
一歩踏み出す勇気と偶然の出会いを大切にしろとも受け取れる。
過去を振り返るなと言っているようにも思う。
本作は90歳を過ぎても第一線で活躍する草笛光子さんの草笛光子のための映画。
この年齢で主役を張るパワーはもちろんだが、映画を観る限り年齢の衰えは感じない。
普通に動けるしセリフも流暢。
まあ、主役だから当然か。
偶然、訪れた町のいわくつきの廃墟となったBARを復活させ、地域の方々との交流を描く。
ずかずかと遠慮もなく地域の人と繋がっていくが、なぜかみんな協力的。
年寄りだから優しいのか、不思議な魅力が伝わっているかは分からない。
敵に回す人たちもいるが構うことはなく、どんどんと突き進む。
そこは清々しいと感じるくらい。
そんな流れで無事にBARはオープンするが、それだけでは終わらず・・・。
といった流れ。
不思議なファンタジードラマという表現は適切だろう。
しかし、何かが足りない気がする。
最近の映画としては88分という短さで訴えきれなかったのか、
僕が出演者の意味を見いだせなかったのか、ぜひ、観て感想を聞かせて欲しい。
石田ひかりの必要性、ディーンフジオカのあの服装、
一体、どんな意味があるのだろうか。
モヤモヤが残ったのも事実だが、これも計算通りとなれば映画としては成功。
純粋に思ったのはあんな雰囲気の温かいBARに行ってみたい。
あの場所でぽつりと一軒建つBARでのんびりと飲んでみたい。
本作は入場口でこんなステッカーを配っていた。

ありがたく頂戴したが、どう使えばいいいのか。
これも教えて欲しい(笑)。

本作は日本映画とは言い切れない。
正確にはフランス・日本・ベルギー・スペイン合作。
先日の「エミリア・ペレス」同様、フランス映画の幅はどこまで広がるのか。
レアな題材を放置する日本映画への皮肉だったりして。
僕は写真家・深瀬昌久の存在を知らなかった。
僕が無知というよりはそんな日本人は多い。
映画化にはそれがネックとなり海外作品となる。
深瀬氏の生き様は映画化の対象に十分なり得る。
フィクションの要素はあるとはいえほぼ実話。
天才と狂人が紙一重なのは過激な人物像からヒシヒシと伝わる。
天才になるために自ら破滅の道を選んだとも思えるし、
天才がゆえに一般社会での生きづらさを露わにしているとも思える。
弱い人間なのに強がってみせるのも天才の特徴か。
本作は浅野忠信演じる深瀬昌久と被写体である妻・洋子を中心に一つの時代を描く。
洋子を演じるのは瀧内公美。
「敵」のインパクトが強かったのはつい先日のこと。
まだ4月というのに彼女が出演した今年の作品は
「敵」「ゆきてかへらぬ」「奇麗な、悪」(未鑑賞)と本作ですでに4本。
まさに最近稀な映画を中心とした女優。
「映画女優」と呼ぶべきか。
本作もその魅力を思う存分発揮していた。
破天荒な一面と真っすぐな一面を併せ持つ。
実際の洋子もそんな存在だったと想像できる。
そんな役を見事に演じた。
当面、日本映画は瀧内公美を離さないだろう。
大胆な演技もできるし・・・。
個人的には「敵」の役柄の方が泥沼に陥りそうで好きだけど(汗)。
話を戻そう。
一つの時代というのは1960年代から1990年代の写真家・深瀬昌久の活動。
ほぼカメラと煙草と酒の生活。
酔うために酒を飲むのか、酒を飲むから酔うのか。
いくら酒好きの僕でも彼の飲み方には共感できない。
酒に溺れるというより逃げる手段の酒だったようにも思える。
天才の弱さなのか。
天才の弱さと書いたところで尾崎豊を思い出した。
致命的な事故も似ていると思えるし。
本作は実話を忠実に描くのではない。
深瀬氏のもう一人の自分ともいえるのが時々現れるレイブン。
レイブンを訳すとワタリガラス。
あれはワタリガラスだったのか・・・。
映画では重要な役割を示すが、予告編やフォトギャラリーには出てこない。
もしかして僕が見たのは幻想?
ぜひ、確かめてもらいたい。