これからも前向きに 名大社会長ブログ

映画「関心領域」

正直、面白いとは言い難い。
映画にハラハラドキドキや痛烈なメッセージを期待する人は止めた方がいい。
今の若者ならオープニングの数分も耐えられないかもしれない。
きっと早送りしたくなる。

逆をいえばそれを気にせず、映画に向き合える方なら楽しめるのかもしれない。
いや、楽しめるという表現は間違っている。
本作を楽しむことはできない。

恐怖を感じることしかできない。
ホラー映画ファンなら恐怖は快感に変わる。
しかし、本作は快感には程遠い。
鈍感で無関心な人が何も感じない程度。

実は何も感じないのが一番恐ろしかったりする。
毎日報道される紛争のニュースも慣れてくると不感症になる。
自分とは関係ない遠い世界の出来事と思えてくる。
常に当事者意識と緊張感を持たないと物事に鈍くなる。

大切なのは半径10メートルの世界。
そこにしか関心が向かなくなる。
それっておかしくない?
ということを本作は何も発せず教えてくれる。

人が殺される残虐なシーンは一切ない。
人を傷つける言葉もない。
静かに平和な暮らしを描いているだけ。
余計な雑音さえ消してしまえばシアワセそのもの。
どアップの無音の映像だけなら気づかないはず。

チャップリンは
「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」
といったが、そうではない。
クローズアップは幸せで、ロングショットは不幸。

遠くを見れば現実が目に入ってくる。
耳を澄ませば本当の音が聞こえてくる。
それを感じさせてくれた辛い作品。

今年は後味の悪い作品を結構観ているが、その中でもバツグンかもしれない。
まあ、これも映画の味わい方ということで・・・。

特に説明する必要もないが本作はカンヌ映画祭グランプリ作品。
アカデミー賞でも国際長編映画賞を受賞。
数々の賞を受賞しているが、面白いとは言い難い。
アメリカ・イギリス・ポーランド合作ではあるが、舞台のドイツは関わっていない。
何か大きな理由でもあるのだろうか。

捉え方は様々だが、観るべき1本であるのは間違いない。

映画「あんのこと」

できれば観たくなかった。
でも、観ようとする自分を抑えきれなかった。
案の定、落ち込んだ。
救いようのない気分になった。

予告編を観た段階で、相当辛い作品であることは理解できた。
観たいけど、観たくない。
そんな気持ちだったが、同時に観なきゃいけないという妙な使命感に駆られた。

本作は実話をベースに制作。
それもコロナ禍を描いた最近の出来事。
コロナは多くの方に被害をもたらし不幸へ陥れていた。

主役杏もその一人。
しかし、ここで描かれるコロナはひとつのキッカケに過ぎない。
コロナが原因とは言い難い。
その背景にある取り巻く環境がすべて。

幸せは連鎖する。
同時に不幸も連鎖する。
ひとつ歯車が狂い始めると全てが狂う。
それに翻弄されるのはいつも弱い者。

河合優実演じる杏は12歳の時から売春をし、16歳から麻薬に手を出す。
無責任にいえばとんでもないヤツとなるが、そうではない。
完全な被害者。
毒親の下、そうせざるを得ない生活。

ほんと毒親だ。
観ている最中も腹が立って仕方なかった。
演じる河井青葉の上手さもあるが、憤りを通り越す。
しかし、冷静に考えるとこの毒親も被害者なのかもしれない。
一見、大人しい年中、服装の変わらない祖母の存在がそうさせているのかもしれない。
あくまでも想像の範囲内。

この類の作品を観るといかに健やかな家庭が大切かを痛感する。
本人には何の責任もない。
だらしのない周りによって別のカタチにさせられてしまう。

本作も救いの手が伸びる。
刑事役の佐藤二朗であり、ジャーナリストの稲垣吾郎であり。
それが上手くかみ合い、少しずつ成長していく姿で終わればハッピーエンド。
杏の未来にエールを送ることができる。

なぜ、そうしない。
なぜ、そこで映画を終わらせない。
それでいいじゃないかと思ってしまう。

現実は悲しい。
それが実話であるともっと悲しい。
実話をベースにした作品は一方で感動を呼び込むが、一方で僕を奈落の底に落とす。

とても辛い作品だった。
ただ目を背けず、多くの方に観てほしいとも思う。
この感情を大切にし、自分の周りだけでも不幸を出さない行動に繋げたい。

主役杏は「不適切にもほどがある!」で話題となった河合優実。
「サマーフィルムにのって」「由宇子の天秤」も好演したが、そこまでの印象ではなかった。
本作はヤバい。
恐ろしいほど感情を持っていかれる。
今年の主演女優賞は杉咲花か石原さとみかと言っていたが、彼女がくるかも・・・。

重い作品を避けたいなら、彼女の演技だけを目的に観るのもいい。
ついでに重さを味わえばいい。

実話ではなくフィクションであって欲しいと痛切に願う作品だった。

映画「ミッシング」

吉田恵輔監督は時代に翻弄される人を上手く描く監督。
それも今この時代を鋭く切り取る。
「空白」ではマスコミの偏った報道で勘違いされる人を、
「神は見返りを求める」ではSNSに極度にハマっていく人を描いた。

本作はその両方。
よほどマスコミに恨みを持ち、SNSを懐疑的な存在と認識しているのではないか。
過去、酷い目に合っているのかな(笑)。

しかし、ここはリアル。
中身はともかく実際に被害に遭っている人は多い。
正義感を振りかざす無責任な存在が人を陥れていく。
その餌食になった人が壊れていく。

石原さとみ演じる沙織里は娘が失踪したばかりの時はまっとうだったはず。
感情的だが、当初は青木崇高演じる夫・豊よりも冷静だったかもしれない。
豊は時間と共に冷静さを取り戻したように思えるが、沙織里はエスカレートしていく。

本作はそんなところから始める。
それはあくまでも僕の想像。
マスコミとSNSの反応で徐々に感情むき出しになり、もう誰にも止められない。
傍からみれば異常と受け取れる。

実際、自分や身内が同じ立場になったらどうか。
冷静のままでいられるか。
SNSの書き込みなんて見なきゃいいというのも正論で僕も同じことを言う。
しかし、本当にそれを我慢できるか。
多くの人は弱く、他人の言動が気になり、それにより精神がやられていく。

映画では過激な沙織里が加害者に見える時もあるが、一番弱い被害者ということ。
真摯に向き合う豊の存在がなければ、人が壊れるだけでなく家族も崩壊した。
きっと知らないだけで現実問題として起きているのではないか。
そんな意味でも現代社会を失踪事件に絡め上手く表している。

吉田監督はこれからの作品も期待したい。
今までは暗い作品が多かった。
先に紹介した2作もそうだし、
(「神は見返りを求める」はコメディ要素はあるが)
好きな「BLUE/ブルー」も暗い。
次回は明るく前向きな世界を描いて欲しい。

それにしても本作は石原さとみに尽きるかな。
あんな美しくない彼女も初めて。
街ですれ違っても振り返ることはない。

女優魂も立派と感じた作品だった。

新しいワーケーションのカタチ

先週水曜、木曜は長野県へ出向いた。
5月下旬はベトナム、長野と慌ただしい。
遊びではなく仕事。

どんなことでも仕事にしてしまうが、これは本当のこと。
信州高山村観光協会で講演をさせて頂いた。
これが証拠ね。

「地方に求められる持続可能な就業環境について」
というタイトルで40名の方に70分程、話をさせてもらった。

数多く講演の機会を頂いているが長野県では初めて。
キッカケも普通では考えられない。
会員制の居酒屋で飲んでいた時に偶然訪れた。

たまたま隣の席で飲んでいたお客さんがこの観光協会の涌井会長。
高山村山田温泉で老舗旅館「梅の屋リゾート 松川館」を経営されている。
意気投合し話をしているうちに講演依頼を頂いた。
偶然の出会いに感謝!

せっかなので家人と共に旅館に宿泊させてもらうことに。
松川館は天空のサウナとしてサウナーでは有名な場所。
なんと娘も知っていた。

無事に講演が終わり旅館へ。
(一応、好評でした。イエス)

夕食はクラフトビールとワイン。

信州高山ワイナリーの「Naćho(なっちょ)」を頂く。

シアワセなひと時。
そして、温泉に入った後は貸切サウナへ。

社長兼支配人の涌井さんの指南を受けながら、サウナのご作法を学ぶ。

2種類のサウナ(85度と110度)に入り汗を出した後、水風呂へ。
これが冷たい。
そこに20秒。
これまで水風呂は5秒と持たなかったが、なぜか20秒間、耐えることができた。

名古屋の水風呂より間違いなく冷たい。
不思議な感覚。

そして、薪で熾した火と美しい星空を眺めながら、ボーっとする時間。
気持ちいい。
多くのサウナーが虜になるのも分かる気がした。
それを繰り返す。
外の空気を感じるだけでもいい季節。

こんな贅沢な時間はない。
それが仕事でお邪魔できるなんて・・・。
ありがたい時間を過ごすことができた。

まだ一日は終わらない。
涌井さんと2人で内緒のBARへ。
隠れ家のように存在するBARで一般の人は入ることがきない。
ここではマジメにビジネスを語りながらクラフトビールを飲む。
これが美味い。

右側のゲベルツトラミナルは何とかという賞も受賞されている。
ビールではなくスパークリングエール(高級発泡酒)と呼ぶんだね。
ほとんど流通していない。
お土産で購入できたが貴重な体験。

翌日は近くの雷滝を見学。

滝の裏側を見ることができ、サザエさんのオープニングにも登場している。

こうして信州高山村の時間を過ごしたが、まさにワークとバケーション。
新しいワーケーションとカタチといえるんじゃないかな。

これからも率先して取り組めたらいい。
全国どこでも伺いますよ。
そんな都合のいいことはないだろうけど(笑)。

今回はとてもいい経験をさせてもらいました。
ありがとうございました。

食べ物のはなし 特別編 ソースかつ丼

今回も伏見を離れます。
一昨日のブログからベトナムを期待した読者も多いでしょうが、残念。
ベトナムもいろんな食事をしましたが、メニューが覚えられず断念しました。
いつまで経ってもフォーしか覚えられません(汗)。

今回向かったのは長野県。
観光でも家族サービスでもなく仕事です。
詳しくは明日のブログで紹介しますが、4時間以上車を運転し仕事に行ってきました。
美味しい食事も頂きましたが、今回は移動中に立ち寄ったところ。

たまには高速道路のサービスエリアもいいでしょう。
昼休憩も兼ねて立ち寄ったのが駒ヶ岳SA(上り)。

天候もよく、車から降りると爽やかな風が吹いてきます。
新緑も目に眩しく体が癒されます。
サクッとフードコートで食事を済ますのも悪くはないですが、
ここは余裕を見せなければなりません。

サービスエリア内にあるレストラン「岳楽彩」さんです。

駒ヶ根の名物といえばソースかつ丼。
昨年、福井で頂いたのはソースカツ丼
ひらがなとカタカナで何が違うのかと思いますが、
そこには大きなこだわりがあるのでしょう。

こちらのソースかつ丼は2種類。
一番人気のの三元豚ソースカツ丼と数量限定の特まるちゃんポークソースかつ丼。
値段的には三元豚に惹かれますが、せっかくの遠征です。

贅沢に攻めましょう。
まるちゃんポークは南信州産銘柄豚肉になります。
地元貢献なのです。

ソースかつ丼 2200円

溢れんばかりのとんかつが丼の上に乗っかります。
少し角度を変えてアップします。

その迫力に圧倒されます。
思わずのけぞってしまいました。
福井で頂いたソースカツは薄いのが特徴でしたが、こちらはかなりの厚さ。

歯ごたえもありズッシリと豚肉の重さを感じます。
ソースは意外とあっさりでくどさはありません。
ご飯とも合うので瞬く間に米と肉が消費されます。
かなりのボリュームでしたが、気がつくと丼の中は空。

午後の仕事が上手くいったのはいうまでもありません。
普段、馴染みのない場所で美味しい食事が頂けるのもシアワセなこと。

ごちそうさまでした。

目標よりも大切なこと ランニング日記2405

ランニングに5月はいい季節。
朝は暑くもなく寒くもなく爽やかに走ることができる。
日も長くなるので、朝5時台に走り出しても問題はない。
むしろその方が気持ちよかったり・・。

ルーティンのコースの公園もお年寄りが会話を弾ませながら散歩をしている。
6時半になればラジオ体操も始まる。
新緑の季節はどんな行動でも清々しく健やかにみえる。
一年通して一番いいシーズンであるのは間違いない。

そんな5月であれば目標達成は楽勝なはず。
GW休暇もあり、日程的にも調整しやすい。

では、結果はどうだったか。
5月のランニング距離は80km。

まさかの目標未達成。
それも20kmも足りない。
あの雨がなかったらというような言い訳もない。

はい、すみませんでした。
と謝るだけ。
誰に?
特に謝る人はいないけど・・・。

敗因のひとつは休日にも短い距離しか走らなかった。
大会が終了しモチベーションも下がり、休日でも7km程度。
加えて5月最終週は一度も走らなかった。
雨もあったが、疲れも尾を引いていた。
目論見では最終週に20km走って達成するはずだった。
思うようにはいかないもんだね・・・。

まあ、それでもいい。
今年は無理をしないと最初から宣言しているし。
言い訳だけど・・・。

ただ目標よりも大切なことがある。
純粋にランニングを楽しむこと。
普段、走れない土地を走ること。
その方が大切だと思う。

その点でいえば5月はまあまあな月。
5月中旬は皇居をRUN。

走りやすい季節の影響もあると思うが、6時台でもランナーは多かった。

そして、ベトナム・ダナン。
6時台は既に暑いがホテル周辺をRUN。

その時間帯でも人は多い。
日中が暑すぎるので、外での活動は朝が多いみたい。
宿泊したホテルからドラゴンブリッジに向かって、川沿いを走った。

先日の信州高山村も走る予定だったが、
スマホを変えたばかりでアップルウォッチが上手く同期せず諦めた。
(関係ないじゃんという冷ややかな声も出そう)
それでも普段走らない土地を走るのは新鮮。
楽しく走ることができる。
それで十分と思ってしまう。

言い訳がましいブログになったが、それが大事。
目標達成は二の次。
そんな感じで終了した5月。

6月はもっとハードルが高くなるが、やれることをやるだけ。
どこか遠征できるか?
そんな想いを抱きながら、チャレンジしていきたい。

再びベトナムで大いに学ぶ

先月23日から26日まではベトナム研修旅行。
僕が幹事長を務める西川塾のメンバーとベトナム・ダナンに向かった。
ちょうど6年前にも同じような旅行を計画し実施。

塾生であるダイキョーオータ株式会社の太田社長が経営するベトナム第二工場の視察が目的。
朝イチにセントレアに集合し、ホーチミン経由でダナンに入った。
到着後はホテルにチェックイン。

今回は海沿いではなく川に浮かぶ「ザ・ブロッサムリゾートアイランド」に宿泊。

太田社長のご厚意で安く泊まらせてもらった。
会長に贅沢は禁物。
しかし、想像以上に立派な部屋。

初日は懇親会で終了し、視察は2日目。
前回訪問時、ベトナム第二工場(ダナン工場)はまだ建設中。
前回ブログはこちら

それが今や150名を超える社員さんが働く工場に。
ホーチミンのベトナム工場と2拠点で帽子やユニフォーム、マスクを製造。
現地法人の牧社長から工場の特徴を解説してもらう。

社員さんは近隣の方で全て正社員。
若い方が多いが親子や夫婦で働く方も多いという。
働きやすい職場を提供されている。

会議室で学んだあとは工場内の見学。

写真をアップしていいか分からないため割愛するが、
誰でも知っている大手飲食店やコンビニの帽子やエプロンを製造。
スピーディーな対応と品質が強み。

工場の入り口で記念撮影。

目的は2日目に達成。
残りの日は塾生同士の絆を深める活動。
数日一緒に過ごすとかなり深い話ができる。
もちろん会社や仕事の話が中心だが、それ以外の話も尽きることはない。

僕はビールを飲む係だが、
(そんな係はないか・・・)
食事をしながら、ゴルフをしながら、くつろいながらいろんな話をした。

ホテル内での食事もあったが、せっかくなら現地の方が行くお店へ。
2日目は海鮮料理。
現地のお店はビールが冷たくない。
氷を入れて飲むのが基本。

タニシの揚げ物なんて初めて食べた、
氷入りビールとタニシの食べ過ぎでお腹を下した。
正露丸ですぐ復活できたが・・・。

3日目の夜はドラゴンブリッジの近くに停泊するレストランで食事。

動かない船のレストランだが、記念日によく使われる。
僕らのテーブルの両サイドはカップルがプレゼントを渡しケーキを食べていた。
この日はドラゴンブリッジが火を噴く。
橋の周辺は多くの見物客で賑わっていた。

ちょうど火を噴くタイミングでサプライズも・・・。
塾生仲間が誕生日祝いをしてくれた。

今年は会社の新人歓迎会でもお祝いをしてもらい嬉しい年。
58歳という中途半端な年齢だが、いい記念になった。

船の搭乗口でも記念撮影。

いつの間にか最年長だが、こういった仲間の存在は大きい。
僕よりも若い経営者になるが見習う点は多く、大いなる学び。
こんな旅行に改めて感謝。

ベトナム研修旅行ブログは終わりにしたいが、もう1回はアップしようかな。
では・・・。

映画「碁盤斬り」

いい意味で白石監督らしくない作品。
僕は大好きだが白石作品はハードなイメージが付きまとう。
「日本で一番悪い奴ら」にしても「孤狼の血」にしても、
その続編も「凪待ち」「ひとよ」「死刑にいたる病」もそう。

ほぼ作品は観ているが、大体は登場人物が壊れている。
まともな主役は少ない。
それを得意とする監督と期待していたし、そんな作品が好きだった。
そんな作品に惹かれることは全うじゃない(笑)。

しかし、本作の登場人物は壊れていない。
破綻していない主役は初めて。
部分的に切り取れば全うじゃない面はみられるが、あくまでも感情的な一部。
20年ほど前の山田洋次が描く歴史ものに似ている。

それがいい意味で白石監督らしくない。
これが悪い意味でらしくなかったら、厳しい。
平凡な時代劇になってしまった。
白石監督は次のステージに向かっているのかな。

囲碁を中心に殺陣を描く。
静かに打つ碁がアクション映画。

囲碁を知らないのを後悔した。
何度も誘われたが、やらず仕舞い。
少しでも理解していたら、もっと楽しめた。

戦国時代のドラマでは武将が囲碁を打つシーンをよく目にする。
武士が戦略を描く上で重要。
そんな存在と思っていた。

ところが江戸時代はあちこちに囲碁場があり、武士も商人も娯楽として楽しむ。
娯楽のたまり場とは知らなかった。
映画では大きな意味を持つ。
浪人役の草彅剛が囲碁を通して実直な人格をみせ、
また武士としてのプライドを保つ。

囲碁に向き合う緊張感が心地いい。
白石作品であれば血みどろの格闘を期待するが、そんな場面はない。
いくら許せない人物が登場しても不用意に刀を振り回すことはない。

いい意味で裏切る。
白石ファンの評価は分かれるだろう。
物足りなさを感じるかもしれない。
そんな作品だ。

僕はそれでいいと思う。
派手な血闘シーンがなくても十分に映画を楽しむことができた。
草彅剛のちょんまげ姿は徳川慶喜をイメージさせるが悪くはない。
立ち振舞いはストイックに映る。

「青春18×2 君へと続く道」に続く清原果耶も魅力的。
彼女はこんな役が似合うね。
キョンキョンは年齢を重ねたが、いい味を出す。

恐れることなく映画に向き合ってほしい作品ですね。

食べ物のはなし 番外編 支那そば

やってきました大好評、月末のラーメンブログ。
全国のラーメンファンから注目されつつあるという噂があるとか、ないとか。
仮になかったとしても、ごく少数のファンのために懸命に足を運んでいきます。

今回は番外編となります。
伏見シリーズでの提供を考えていましたが、タイミングが合いませんでした。
候補のお店にお邪魔しましたが、たまたま臨時休業。
来月のお楽しみとしてお待ちください。

今回向かったのは東京・九段下。
土地に詳しくはないですが、この辺りはラーメン激戦区でしょう。
駅から目的地に向かう途中でもラーメン店がひしめき合っています。
ありとあらゆるジャンル。
こだわりの専門店からなんでもござれの総合中華料理店まで、値段もバラバラです。

向かったのは九段下から飯田橋方面に向かい東京大神宮の近く。
昨年7月にオープンした「支那そば とも」さんに行ってきました。

ブログ読者の中にはラーメンが重すぎるという意見もあります。
だからといってこのシリーズを止めるわけにはいきません。
納得頂けるラーメンの紹介が求められます。

いいじゃないですか、支那そば。
いかにもあっさりとした感じ。
重いという面倒な読者も頷くでしょう。

こちらはほぼ一本勝負。
みそ味もありますが、基本は支那そば。
こだわって作ります。

大将が一人で切り盛りをしているので、お水はセルフサービス。
混雑時は待つことになります。
仕方のないことでしょう。
ここは基本で攻めます。
それだけでは物足りないので煮卵をトッピング。

支那そば 850円+煮卵 100円

どうみても重くはならないでしょう。
サッパリ、スッキリ、あっさり、そんな感じで頂けます。
オーソドックスですが優しい味わいが体を包みます。
口の中でほぐれるチャーシューもいいですね。

伏見周辺にもこの類のラーメン屋さんが出店してくれないでしょうか。
それでは恒例のこの1ヶ月で頂いたラーメンを紹介します。

担々麺

肉そば(しょうゆ)

赤みそラーメン

肉細切もやしラーメン

ラーメン横綱

ワンタン麺

豚骨ラーメン

まあまあいい感じにペースでしょうか。
老舗店にお邪魔することも多かったですね。
スガキヤにワンタン麺があるのが驚きでした。

来月は伏見に戻れるでしょうか。
ごちそうさまでした。

映画「ありふれた教室」

学級崩壊や先生の過酷な労働環境など教育現場が話題になることは多い。
それは日本特有の問題だと思っていた。
実際は日本に限ったことではなく、全世界共通の問題。
本作を観て、そう感じた。

舞台はドイツの中学校。
仕事熱心で正義感の強い若手教師の行動が引き金になり、大きな問題へと発展。
その流れていく状況がとても恐ろしい。
社会派人間ドラマだがサスペンススリラーというジャンルも間違いではない。
むしろそう捉える方が正解なのかもしれない。

原題は「Das Lehrerzimmer」。
大学時代、ドイツ語の授業は受けていたが、「グーテンターク」しか覚えていない。
調べてみると「職員室」という日本語訳。
邦題は「ありふれた教室」。

このかけ離れたタイトルは何なのか。
映画を観ると違和感はなくなる。
いや、若干、違和感は残る。
本当にありふれているのかと・・・。
原題も英語でのタイトルもストレート。

まさにそこで起きた出来事。
何が正しく、何が間違っているのか、考えさせられる。
誰の行動も間違ってはいない。
理屈で考えれば常識的。

しかし、感情が入るとそれは一気に乱れる。
正しさが悪意と受け取られる。
それがとても恐ろしい。

本作を観て、昨年公開された「怪物」を思い出した。
小学校内の事件を取り上げているが、立場により受け止め方は異なる。
それに近い面はあるが、本作の場合、若手教師ばかりが追い込まれる。

いやいや、そもそも校長や先輩教師の対応が悪いでしょ…
と客観的に判断するが、実際はそうではない。
世の中はきっとそう。

教育現場だけでなく、企業でも地域コミュニティでも起きうる話。
日本だろうとドイツだろうと関係ない。

そして、映画は答えを出してくれない。
ラストシーンの受け止め方は人によって大きく変わる。
カギとなるルービックキューブの存在も・・・。

本作でドイツの学校の在り方も理解できたのはよかった。
先生同士の議論に生徒が加わるとか、
あくまでも答えは自分で出させるとか、
多くの人種が通う多様性とか、学ぶ点も多かった。

しかし、どんな国でも学校の先生は大変。
そして真面目すぎる性格は損をする。
ある程度、テキトーな方が問題は起きない。

真面目すぎる性格を直したいと今更ながら思った。
な~んて・・・。

後味はいいとはいえないが、作品は素晴らしい。
落ち込むことを覚悟して、是非、観てほしい。