これからも前向きに 名大社会長ブログ

映画「アウシュヴィッツの生還者」

本作を観る前に監督を調べてみたらバリー・レヴィンソン。
「まだ、映画を撮っていたんだ・・・」と少し驚いた。
すっかり過去の人だと思っていた。

1980年代に活躍していた監督で学生時代に観た作品はどれも好きだった。
「ナチュラル」「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」
「グッドモーニング、 ベトナム」 「レインマン」 「わが心のボルチモア」。
心温まる映画が多かった。

90年代以降、名前を聞かなくなったので、どうしたかと思っていたが、ちょくちょくは撮っていたよう。
しかし、ほとんど話題になることもなかったんじゃないかな。
そんな状態なので本作に出会った時はちょっとした驚き。
また、予告編はかなり残酷なアウシュビッツを描いていたので、これまでとは異なるイメージ。
それも驚きの一つだった。

結果的にいえば、その驚きは杞憂。
残酷な世界は描いていたが、監督らしい心温まる作品だった。
僕のイメージするバリー・レヴィンソンと変わらない。

アウシュビッツを題材にした作品はヨーロッパで制作されることが多いと思う。
先日観た「シモーヌ」はフランスだし、
そこで紹介したアウシュビッツ関連もスロバキア、ドイツやポーランド作品。
アメリカ作品は珍しいのではないか。
そのあたりが残酷な世界だけではないテイストになっているのかもしれない。

本作はアウシュビッツから生還した主人公がボクシングを通し、自らと向き合う姿を描く実話。
主役はベン・フォスター。
彼が凄まじい。

映画の舞台は第二次世界大戦が終了した1949年が中心。
主人公ハリーが過去を振り返るシーンでアウシュビッツが度々登場する。
食事もロクに与えられていない環境なので痩せ細った姿。

そのために28キロ減量したという。
映画では家庭を持った中年のハリーも描かれるが、その姿はよくある小太りの親父。
3世代を同じ役者が演じるが、とても同じとは思えない。

苦しそうな姿を観るだけで戦争の過酷さがひしひしと伝わってくる。
一般的なアウシュビッツ作品であれば、そこがメインとなるだろう。
しかし、本作は周辺環境を忠実に描きながら、周りとの人間愛が中心。
ハリーを支える心温かな人たちが人生の立ち直りのきっかけを作っていく。

どことはいわないが、思わずホロッとしてしまうシーンがいくつか。
戦時中はモノクロ、1949年はセピアカラー等と時代で色使いを変え、
違いを明確にするのは分かりやすくていい。
それがより人との関係性をクローズアップしている。
それも監督らしさか・・・。

ポスターを見るととても辛そうな映画に思える。
でも実際は温かい気持ちにもなれる。
バリー・レヴィンソン監督にはこれからも映画を撮ってもらいたい。

続・夏の京都を愉しむ

京都にはこの8月にもお邪魔した。
それは16日、17日の夏季休暇期間。
目的は息子の下宿先から「五山送り火」を眺めること。

息子の京都の生活もあと半年。
大学1.2年次はコロナのため送り火も中止。
昨年は予定があり行けず。
今年が最後のチャンスのため、随分前から予定を組んた。

今年のお盆は台風7号が日本を襲い、大きな被害をもたらした。
15日には東海道新幹線も運休。
他の交通機関もほぼ運休状態。
送り火と重ならないことに安堵しながら、当日を迎えた。

とりあえず朝は何も問題なし。
自宅を出る頃、新幹線の大幅遅延のニュースを知る。
何とかなるだろうと名古屋駅に出向くも事態は悪化。

運休になり、名古屋駅は人がごった返していた。
矢場とんでみそカツとビールで作戦会議。

新幹線は諦め、在来線に切り替えた。
運よく特急しらさぎの運行時間のため飛び乗り、乗り継いで京都に入った。

計画は大きく狂ったが、無事に辿り着けただけでも大の字。
夕食まではプリンセスラインに乗って、京都国立博物館へ。

茶の湯の道具はじめ縄文時代から鎌倉・室町時代の展示物を鑑賞。
撮影はNGでお伝えできないがかなりの見応え。

夕食は息子が予約してくれた三条商店街の人気店。

こちらは食べ物ブログで紹介しよう。
その前に立ち寄った神泉苑も風情があった。

そして目的の「五山送り火」。
無事に開催された。
息子の下宿先からもバッチリ観ることができた。

これだけで当日のドタバタの苦労が解消。
同じようにマンションのベランダから眺める人が多かった。
いい思い出ができたし、高い家賃を負担してきた甲斐もあった(笑)。

近くのホテルに宿泊し、17日を迎えた。
ホテルのオーナー(?)によると、深夜2時にチェックインされたお客さんもみえた。
京都に深夜1時過ぎに到着し、観光も行けず送り火も見れなかったとのこと。
僕らは運が良かったと思うしかない。

京都新聞の一面には前日の出来事が・・・。

ホッとしながら読んでいたが、それでは終わらなかった。
新幹線の遅れは翌日も続いた。
時間変更を行おうとするも、なかなかアクセスできない。
(最初は20分待ち)

午後3時からのオンライン会議はお詫びして欠席。スミマセン・・・。
清明神社や白峯神宮を散歩しながら対策を練る。

京都駅で待機するか、別の方法をとるか。
9時過ぎの段階で運行状態は分からない。
じっとしていても仕方ないので、近鉄で帰ることを決めた。

大和八木駅まで出て、そこからアーバンライナーで名古屋に戻ることに。
そうなるとそのまま帰るのも勿体ない。
遅延も前向きに捉える。

せっかくなので橿原神宮に参拝に出掛けた。
初代天皇である神武天皇が祀られ、ここから日本が始まったという。

厳かな雰囲気に圧倒された。
奈良県に訪れる機会はそうそうない。
これもいい機会。

こうして2日目を終えた。
新幹線に振り回されたが、いかに普段便利な生活を送っているかを改めて理解。
1000年前でも100年前でも名古屋から京都まで2時間じゃ着けない。
歴史はすぐ目の前に存在するし。

少々疲れたが、有意義な時間を過ごさせてもらった。
夏の京都。
来年も愉しめるといいね。

食べ物のはなし 伏見シリーズ その260

夏季休暇も終わり、日常が戻ってきました。
まだまだ暑い日が続きますが、夏バテはありません。
昼になるとグ~ッと腹が鳴ります。

いつものようにあれこれイメージし住吉方面に向かいます。
最初の目的地は中華料理。
圧倒的なボリュームで有名なお店。

以前、この食べ物ブログでも紹介しています。
ご飯もお替り自由なので、大食い選手が跋扈しています。
しかし、今回、そのお店はゲキ混み。
対応もイマイチだったので、待つことなく次のお店へ。

偶然通りかかった「BACARO MASCARON」さんに入ることにしました。

お店の存在は知っていましたが、イタリアンに一人に入ることはほぼありません。
ランチメニューを眺めると「お~っ、そうくるか・・・」と感心してしまいました。

こちらはパスタがメイン。
この日はアサリと小松菜のトマトソース、
ツナとしめじのペペロンチーノ、
自家製リコッタチーズと夏野菜の冷たいパスタの3種類。

季節的には冷たいパスタを選ぶべきですが、勇気が出ません。
まだまだ勝負ができない人気ブロガーです。

感心したのには大きな理由があります。
770円と990円とランチがお値打ちなのです。
それもパスタは大盛無料です。

パスタランチ 770円
サラダとパン

ちょっと遅れてて出できたスープ
写真を撮る前に飲んでしまいました。

ツナとしめじのペペロンチーノ

大盛を舐めてました。
この手のお店の大盛は楽勝と思っていましたが、そうではありません。
ガッツリとした大盛。
結構なボリュームです。

トマトソースのパスタなら最後までたどり着けなかったかもしれません。
まだ、ペペロンチーノなので食べきることができました。
具材とパスタが上手く絡み美味しく頂くことができました。

同じカウンターには若いお兄ちゃんがビールを飲みながら食事をしています。
なぜかそんな姿が気になり、気づかれないように睨みつけます。
その姿に何か感じたのでしょうか。
スタッフのお姉さんがアイスコーヒーを運んでくれました。

サラダやドリンクがついてこの料金というのはかなりお値打ち。
お店の努力に頭が下がるばかりです。
次回は何を頂きましょうか。

ごちそうさまでした。

夏の京都を愉しむ

夏季休暇中も息子のいる京都にお邪魔したが、
改めてブログで紹介することにして今回はその前のこと。

7月某日、那古野塾(経営者向け勉強会)の企画として京都研修ツアーに参加。
前回、僕は参加したのが5年前。
「たまにはサービスもしないとね」というブログにも少し触れている。

今回は午後から夜遅くまでのツアー。
栄に集合し、バスを貸し切って出向く。

当たり前のようにビールを振舞われ、体を慣らす。
向かったのは下鴨神社。

厄年ではないが、まずはお祓いから。
家内安全でありますように・・・。

ちょうどみたらし祭の時期。
5年ぶりに御手洗池に足を運ぶ。
ひんやりと冷たい。

以前より水の量が減ったのは猛暑のせいかと思ったが、そうではなく事故を防ぐため。
これでけがれも祓ったので、健全に日々が送れるだろう。

この時期の京都といえば川床。
鴨川沿いの佐々木さんにお世話になった。

当日は天候が不安定だったため、川床での食事は限られていた。
京都もかなり暑いので、それで十分。
機会があれば貴船にも行きたい。

美味しい料理とお酒を頂きながら、先輩経営者と語り合う。

青竹の徳利で飲む日本酒も美味しい。

最近、年齢がずっと上の方とのお付き合いも減っているので、
このような場で経験を伺うのもありがたい。

そして恒例のお座敷遊び。

舞妓さんなのでまだまだ修行中の身だと思うが、僕にとっては新鮮。
この手の遊びが板につくのはいつだろう。

多分、永遠にやってこないな・・・。

調子よく飲んでしまい記念撮影も。

あまり外にはアップできないね。
気がつくと日も暮れていた。
楽しい宴はあっという間に終了。

あとは名古屋に帰るのみ。
高速道路が事故渋滞だったため、戻ったのは23時過ぎ。
ほぼ一日の研修ツアーになった。

研修といってもほぼ遊びなので、ここはお土産でご機嫌を取っておきたい。
祇園新地いづうの鯖寿司を持参。

それなりの値段はするが、名物だけのことはあるね。

とりとめのないブログになってしまったが、夏の京都も風情があって愉しめる。
次回の川床はいつかな?
楽しみにしておきたい。

そして、次回は夏季休暇の京都ブログへ。

映画「リボルバー・リリー」

珍しく公開初日に鑑賞。
それは僕が隠れ綾瀬ファンだから・・・。

隠れファンであるのは事実だが、公開初日はたまたまのタイミング。
事前情報が何もなかったのは、むしろ外野からの声が入らず良かったかも。

僕は綾瀬はるかの天然な愛らしいキャラも好きだが、
彼女のアクションの立ち振る舞いが好きだ。
過去の作品を観てもアクションシーンはサマになっている。

当然、冷徹非情な美しき諜報員という役柄に大きな期待を抱いた。
何度か観た予告編も実にカッコよかった。
その点は期待を裏切らず。

アクションだけできる女優はいるし、
美しいだけの女優も山ほどいる。
両方兼ね備えたとなると数は減る。
というよりも日本映画界では誰が演じることができるだろうか。
先日、観た「キングダム」の清野菜名も上手いが華やかさではまだ叶わない。

そんな綾瀬はるかを観るだけでも本作の価値はある。
これで映画コラムニストの仕事を終えたいが、そうはいかない。
ネタバレしないまでも映画を伝えるのが役目。

舞台は関東大震災後の大正末期。
その後、日本が危うい世界に向かう時期。
その危険性や暴力性は映画の中でもプンプンと臭う。
愚弄な陸軍の描き方が正しいかどうか疑問だが、大きな権力を持っていた。
海軍との対立も容易に想像できる。

それにしてもあんな陸軍じゃダメじゃねえ?
戦争したところで勝てるわけないよね?
と変な見方をしてしまった。

いくら綾瀬はるか演じる小曽根百合が有能だとしても、
あれだけの人数で向かって倒せないと強国に太刀打ちできるわけない。
そんな視点はないと思うが、行定監督は陸軍の愚かさを訴えたかったのかな・・・。

ヒーローが勝つのが映画の世界だが、あんなダメダメな陸軍はちょっとね。
不死身の小曽根百合はとても人間とは思えないけど。
それはあくまでも僕の解釈なので、ぜひ、確かめてもらいたい。

正直なところ、あまり合わない役者もいたが、
僕が主役以外に惹かれたのが、シシド・カフカ。
百合の相棒的な役柄だが、その姿はカッコよく見事だった。

全然、知らない方だったので、
(名前は聞いたことありました)
これからも注目していきたい。

本編の流れからすると続編も制作されるのか?
それには本作がヒットすることが重要。
綾瀬はるかの魅力だけで引っ張れればいいけどね。

食べ物のはなし 番外編 町中華

先週は中華料理でした。
店の佇まいとか接客からして町中華と呼ぶには遠い存在。
イマドキを意識したお店でした。

時々行きたくなるのがザ・町中華と呼べそうなお店。
基本的に夫婦で切り盛りし、バイトのお兄ちゃんやお姉ちゃんがちょこまか動く。
頑固一徹なオヤジさんがフライパンを回し、
おかみさんが店内を仕切る。
そんなお店が理想です。

休日に家人とスパイシーカレーを目的に津島市に出掛けた時でした。
あいにくそのお店は臨時休業。
以前から前を通り、気になっていた「中華料理 春帆亭」さんに行ってきました。

ヨシズヤ津島本店から少し北に入った狭い路地に隣接しています。
店内は家族連れや夫婦で賑わっています。

メニューを眺めるといかにも町中華という感じです。

裏面が一品ものですね。
ラーメンが550円という価格はこのご時勢で嬉しいですし、
他のラーメンが全て750円というのも潔く好感度が上がります。

年季の入った中華鍋を70歳を超えただろうオヤジさんがリズム感良く振り回しています。
おかみさんはテキパキと動きながらオーダーを揃え、
若いバイトくんは指示に従い小気味よく動き回ります。

隣のカウンターでは中高年の夫婦が餃子をツマミに美味しそうにビールを飲んでいます。
それも酢に胡椒をたっぷりと絡めながら・・・。
「あ~、飲みたい・・・」
心の中で呟きますが、車なのでここは我慢です。
このあたりがザ・町中華ではないでしょうか。

一通りメニューを眺めランチらしい注文をします。
カレーチャーハン 700円

最初は定番のチャーハンを注文しましたが、
口の中がカレーに染まっていたので変更してもらいました。

餃子 550円

ちょっと値段高めがと思いましたが、一人前でも結構なボリューム。

スタミナラーメン 750円

こういったお店に入るとなぜかスタミナ系を頼んでしまう人気ブロガー。
ちょっと外した注文をしたがります。
ちなみに家人は五目焼きそば。
ラーメンが食べたいと言いながら、圧倒的な割合で五目焼きそばを注文します。

どれも美味しい。
それも町中華らしい美味しさ。
カレーチャーハンにしっかりと焼豚が入っているのもいいし、
スタミナラーメンのほんのりとした辛さもバッチリです。
こんなお店が近くにあれば通ってしまうでしょう。
牛肉ケチャップごはんや小海老うまにラーメンも気になります。

心配なのは後継者問題。
このご夫婦の後を継がれる方はいるのでしょうか。
店内を見る限りその気配はありません。
こういったお店はいつまでも続いてほしいですね。

少しお盆らしいまとめかたになりました。
ごちそうさまでした。

あっ、ラーメンは月末に紹介するルールですが、今回は番外編なので・・・。
ご理解ください(笑)。

夏も日本酒でいこうじゃないか その2

前回の息子からもらった日本酒を飲んだのはGW明け。
全然夏じゃないじゃないか。
まあ、その2が夏に近づくということでお許しいただきたい。
特に許しを請うこともないけど(笑)。

お土産の日本酒が続く。
GWに九州に旅行に出掛けた娘が買ってきてくれた。
智恵美人純米酒。
九州らしい辛さかな。

仙禽はいろんなお酒を出しているんですね。
千禽オーガニックナチュール。

こちらもたまに頂く天美特別純米。
飲みやすい。

これを飲んだのは57歳の誕生日だった。
奥生スパークリング。
夏かすみ純米吟醸生酒。
あっという間に消えた。

こちらも娘のお土産。
ロックで飲むのがいいらしい。
だから、ロックグラスで。
にしのせき。

珍しい赤い日本酒。
天吹。
たまにはいいかも。
好き好きだけど・・・。

はい、定番の風の森ALPHA1。
美味しいですね~。

初めてお邪魔した酒屋で購入。
地元の地酒が豊富だった。
育酛純米真秀。

これも愛知県の蓬莱泉。
ラベルは初めて見たSILVER。

またまた風の森。
夏の限定ですね。
夏の夜空2022。

これでこのシリーズは全部揃った。
千禽かぶとむし。
夏と春の違いは分からないが、美味しい。

今年初めてのふるさと納税返礼品。
九州からスタート。
岩の蔵純米吟醸。
初めて頂きました。

奈良のお酒が好きなのかも・・・。
みむろ杉DioAbita。
これも美味い。

京都に日帰り旅行のついでに購入した城陽エクスレッシブ。
京都駅のお土産屋さんのおススメ。

こちらもふるさと納税返礼品。
ご存じ七田。
ちょっと前までシチデンと呼んでいた(汗)。

娘の青森への旅行のお土産。
大吟醸青天の霹靂。
旅行に行く度に買ってきてくれるのは嬉しい。
お金は払ったけどね。

こちらも最近のお気に入りのひとつ。
あべ夏酒。
家人があべ俱楽部に入っているのも購入理由(笑)。

そして、その家人が友達から頂いた久保田千寿。
最近はあまり飲まなくなったよね。

以上が、7月までの飲んだ日本酒。
8月に入ってからも順調に日本酒を頂いている。
お盆休みも同様。
飲み会の予定がないので、せっせと日本酒を頂くのみ。
これも教養を高めるための大切な行動。

自分に都合のいい解釈でこれからもステキな夜を過ごしたい。

映画「キングダム 運命の炎」

昨年の夏に第1作、第2作を一気に観て、その流れで観た第3作。
昨年のブログでも書いたが、このシリーズは夏の定番になるのだろう。
原作は読んでないので、第3作の終了時点がどのあたりか分からないが、
このままでいくと寅さんシリーズに並んじゃったりして・・・。

まあ、それはさすがに無理。
信役の山崎賢人もこのまま10年続けるのは難しいだろうし。
となるとあと3.4年で完結するのか。

それでも確実にヒットする作品を毎年提供できるのは東宝の上手さ。
アニメやヒーローもの以外でヒット作を創るのは久しぶりじゃないか。
いや、これって、ヒーローもの?

どうでもいいことを考えたり・・・。
巧みな戦略であるのは間違いないな。
第3作に関しての主役は山崎賢人でもなく吉沢亮でもなく、
王騎扮する大沢たかおだろう。
その存在感はハンパない。

前回からの流れで彼で存在がより際立ち、確実に映画を牛耳っていた。
紀元前の話とはいえ戦略、戦術は今の時代にも役に立つ。
相手の動きを読み、感情面含めどうマネジメントするか。
間接的にみてもそれは有効的に働く。

有能な馮忌があっさり殺られてしまうのはいかがかと思うが、
(すいません、ネタバレ)
それも人材掌握がもたらした結果。

ストーリーは至ってシンプルだが、十分楽しめる作品。
観客もそれを求めて、毎年夏になると自ずと足を運ぶ。
それにしても本作は豪華俳優陣。
映画でもドラマでも主役級の役者が脇を固める。

それが次回作への期待感を生む。
ここで小栗旬?
ここで吉川晃司?
予告編でもキャスト一覧でも出てこない連中が次回作のキーマン。

これも巧みな戦略。
復活の長澤まさみもね・・・。

そんな中でも僕が一番好きなのが清野菜名。
彼女の存在がいいアクセント。
ストイックな姿と華麗なアクションに惹かれしまうのだ。

夏休み期間は意外と観たい作品が少ない。
大きな理由は子供向けシリーズ作が中心になるため。
その中で本作は大人も楽しめる日本映画のシリーズ。

来年も楽しみにしている。  

映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」

人間の強さとはどこからくるのか。
執拗とも思えるこだわりはどこからくるのか。
まざまざと見せつけられた作品。

実在する人物の生涯が与える影響は大きい。
140分の上映時間の中で僕はどれだけ唸ったことか。
この夏、観るべき一本に出会った。

本作はフランスの政治家シモーヌ・ベイユの人生を描く。
無知な僕は稀有な政治家の存在を映画を観るまで知らなかった。
いかに世界を知らないか。
もっと歴史を学ばなきゃいけない。

そして使命感を持って誠実な仕事をする政治家を尊敬しなきゃいけない。
賄賂だ、炎上だ、不正だとギャーギャー騒ぐ政治家は本作を観て、覚悟を示してほしい。
上から目線で語るつもりはないが、シモーヌ・ベイユの一生から生き方を学ぶべき。
僕自身が自分の度量の小ささを痛切に感じた。

本作は今の季節に相応しい社会派ドラマ。
毎年、夏になると反戦映画が数多く上映される。
昨年の「アウシュヴィッツのチャンピオン」もそうだし、
一昨年の「アウシュヴィッツ・レポート」もそう。
映画から戦争の無意味さや悲惨さを学ぶ。

本作もそのジャンルといえる。
しかし、そこに留まらない。
深刻な世界を見せるだけではない。

その演出はエンターテインメント性も感じ取ることができる。
行ったり来たりと過去や現在をうまくシンクロさせながら、観るの者をその世界に誘う。
1945年だったり、1974年であったり、2001年であったり。

その時々の表情が圧巻。
背負ってきた人生が皴の一本一本に刻まれているように思う。
主役であるシモーヌを若い頃はレベッカ・マルデールが演じ、
中年以降はエルザ・ジルベルスタインが演じる。

当然のように僕は2人の女優を知らない。
だが、この2人が素晴らしい。
本当に素晴らしい。

レベッカ・マルデールの美しさを
エルザ・ジルベルスタインが引き継ぐのは難しいと思ったが、
そんなことはどうでもいい。
エルザ・ジルベルスタインの晩年の姿もお見事。

緩い映画が多いフランス映画が
(すいません、そんな印象)
こんなにも面白いんだと思わせてくれた作品。

なんだか絶賛状態になってしまったが、こんな歴史を僕らはもっと知った方がいい。
もっと海外作品も観ないとね。

ハリウッド映画の終焉

本書の視点で映画を観たことはなかった。
「こんな風にしてハリウッド映画を捉えるんだ・・・」
とかなり新鮮さを感じた。

著者に言わせればハリウッド映画は確実に終焉に向かっているという。
それは映画が衰退するのではなく、
「大衆娯楽の王様」だったハリウッド映画の役割。
カルチャーやアートとしての映画はこれからも続くが、
産業的な意味合いは大きく変わっていくようだ。

確かに僕が観る傾向にも表れているのかもしれない。
今年はすでに50本ほどの作品を映画館で見ているが、
アメリカ映画(ここでハリウッドとは言及しない)は10本。
以前であれば半分くらいはアメリカ映画。

それが今年は1/5。
他の国の魅力的な作品に惹かれているが、ハリウッド映画に惹かれないのも事実。
感覚的に著者の言わんとすることを感じているのか。

本書ではそれを4つの章に分けて表現。
一番最初に紹介されているのが「プロミシング・ヤング・ウーマン」
21年に公開された映画で、僕も高く評価した作品。
僕は単純に面白かったが、実際は複雑なテーマ性が存在する。

本書の内容を基に改めて振り返るとなるほどと感心する。
女性の扱いについて繊細なメッセージが込められている。
「SHE SAID その名を暴け」あたりで#MeTooのことは真摯に向き合っているが、
こんな作品でその実態を間接的に表現しているといえる。
それも終焉に向かう一つの要因。

それ以外にも僕がまったく気づかなかった視点は多い。
スーパーヒーロー映画はこれまでもほとんど見ていないが、最近は何でもありの世界。
確かにスパイダーマンとバットマンと一緒に出させるのはどうかと思う。
ウルトラマンと仮面ライダーが一緒に悪を倒すようなもの。

とっておきの手段かもしれないが、それでは未来がない。
そんなハリウッド映画の状況に一流の監督も危機感を抱くとのこと。
スピルバーグ監督にせよ、自分で撮れる映画は今回は最後という意識で向かっている。
それだけ興行的なシステムも変わってきている。

これまでであれば公開終了しても作品によっては大きく稼げることもできた。
僕も安易に利用しているAmazonプライムやNetflexは
表現を変えると作品の価値を下げているのかもしれない。

「しばらく待てばタダで観れるじゃん」
そんな行動も無視はできないし、映画界にとっていいかは別問題。
映画館で観るとはいえ、各種割引制度を使いまくる僕も責任の一旦はあるのかも・・・。
う~む。

本書はハリウッド映画を描いているが、日本映画にも当てはまる点も。
映画を愛する者として、こういった客観情報にも目を向けた方がいい。
いい勉強になりました。