書籍のタイトルから、てっきりここ数年の事業の変遷が書かれているものと勝手に想像していた。それは単に僕の想像に過ぎず、内容としては松下電器の創業から現在の苦戦の実態までを歴代の経営者に照らし合わせながら描いている。
これが主観的な見解ではなく客観的事実とするならば、歴史は現在を写す鏡となるのだろう。
僕らはパナソニックの現状をリーマンショック以降の景気低迷や円高、サムソン等韓国メーカーの台頭が原因だと思い込んでいる面が多い。
しかし、それは上辺の情報をなぞっているだけで、物事の本質を見抜く力が欠けていただけのようだ。著者が語るには、パナソニックの現状はその歩んできた経営の在り方にこそ大きな問題があると指摘している。
「中村・大坪時代とは、簡単に言えば、目的地(ビジョン)を定めず、海図(事業戦略)もコンパス(ロードマップ)も持たずに、荒海(世界市場)へ繰り出した船長(中村・大坪)が大型船(松下電器)を迷路に連れ出し放置した時代に他ならない。」と痛烈に批判している。
以前読んだ「さよなら!僕らのソニー」でも当時の経営者ストリンガー氏を完全否定していたのと同様に、何の遠慮もなくバッサリと切り捨てている。
僕の記憶では、中村邦夫氏は「聖域なき構造改革」の先駆者として注目を集めた経営者であったように思う。しかし、実態は自分の意に沿わない社員は排除して、周りはイエスマンばかりとなり、その事業戦略にブレーキをかけるものが者がいなかったため、今日の凋落を招いたようだ。恐ろしい話だ。
僕は大して実力もなくワンマンになるほどのカリスマ性を持たないので、そんな心配はする必要はないのかもしれないが、とんだ勘違いをしないとも限らない(笑)。人間なんて愚かな動物だろうから、見誤ることもあるだろうし・・・。常に自分を客観視することは重要。
企業の規模に限らず経営者というのは自分の功績を残したいと思うのものだ。それは過去から培ってきた理念や文化、教えを時には否定してでも、その足跡に自らを落とし込んでしまう。短期的なビジョンの中でベストな判断だと思い込みながら・・・。
注意しなければならない。本書を読み終え、反面教師として捉える重要性を感じた。
本書のカバーを外すと創業者 松下幸之助が睨みを利かす。
常に見られていることを意識せねばならない。
パナソニックの経営者であっても、僕であっても・・・。
昨日は久しぶりにJCDAの地区大会に参加。CDA(キャリアカウンセラー)の資格を取得した当初以来だろうから7年以上の月日が経っているかと思う。
たまには参加しないとどんどん知識は退化してしまう。これ以上退化しようがないという話もあるけど・・・(笑)。
第一部ではワークショップ、第二部では会員による講演が行われた。
第一部のワークショップでは「希望中心のキャリア開発」と称し、3名でチームを作り、参加者一人ひとりの全体像を掴むための議論。
これまでの人生を振り返り、「とてもうまくいった出来事」を共有しながら、話し手は自己の強みを語り、聞き手は話し手の強みを引き出すという作業。いかにもキャリアカウンセリングの世界で使われそうな題材を自らの経験をアウトプットしながら、全体で共有していったのだ。
今の立場になって、自分の強みを語るのはかなり恥ずかしい行為であるが、普段ではやろうとしないためいい経験でもある。
僕は「とてもうまくいった出来事」として30代の時に手掛けた新規事業立ち上げの話をしたのだが、聞き手の受け止め方は様々。
発表後、フィードバックをしてもらったわけだが、聞き手は話し手の強みを用紙に記入する。基本的に相手の事を褒め合う行為だが、自分の気づかない強みを表現してくれて、新たな気づきと共にうれしさが沸いてきたり・・・。
昨日ご一緒したCDAの方も何ともうれしいことを書いてくれた。感心しながらも、こっぱ恥ずかしい(笑)。
第二部は名大社のイベントでも頻繁にご協力を頂く臼井氏の講演。「中小企業志向~貧乏くじ世代と呼ばれて」というタイトルで、中小企業の魅力について講演された。
臼井氏は地元屈指の繊維商社からキャリアをスタートされ、アウトソーシング会社で勤務された後、現在は従業員10名程度の雑貨貿易会社で活躍されている。これまでのご自身の経験を通して、中小企業のメリット・デメリットについて分かりやすく語って頂いた。
メリットとしては、若い年齢で責任あるポジションに就くことができることや、一人が何役もこなし成長スピードが速いことを述べられた。
デメリットととして社員の育つ環境の提供ができていないことや経営者(オーナー)の意向が全てにおいては反映されることの怖さを述べられた。
中小企業の経営者(特に2代目、3代目)は自社以外での就業や一兵卒としての勤務経験がないことも大きな影響も与える。その経営者との相性によって働く環境が大きく変わることも強いという。
全て自分の体験を基に話されてることもあり説得力のある内容。僕らが知っている以上にリアルな中小企業の実態を明かされたのだ。
僕なんかは同族の2代目、3代目でもなければ、オーナー色が強い会社でもない。かといって、1社経験しかないため他の組織を知らない。
同じ中小企業でも世間一般と状況は全然異なる。かなりレアなケースといっても言い過ぎではない。代表的中小企業であるにも関わらず、主観的に代表的なことは語ることができない。今回の講演を拝聴しながら、ふとそんなことも考えた。
会社の経営環境や自分が行ってきた戦略や実務を振り返ることはあっても、個人の上手く行ったことや好きなことを振り返ることはない。厳密に言えば、上手く行ったことなどないのかもしれない。
しかし、時には一人の人間として好きなことをやっているのか、一番うまく行ったことは何かを振り返る必要はあるかもしれない。
と、昨日の地区大会で感じたのだった。
今回のNumberを書店で見つけた時に、一瞬バックナンバーを発売しているのかと勘違いしてしまった。10年以上前の雑誌が並ぶわけもなく、すぐに特別号と理解したのだが、全く同じ表紙というのは紛らわしいが、僕にとっては実に嬉しいこと。日本サッカーにおいて一番喜ばしい時の発行だったし・・・。
せっかく目に留まったので、重要な箇所だけ立ち読みで済ませようとしたのだが、そうはいかなかった。
(かなりせこいですね。)
ゴン語録を読んでいるうちに買わないのが失礼だと思ってしまったのだ。
1999 また飛び込みますよ。正直、怖いけど、怖がって躊躇していたら僕がいる意味がない。
2001 すべてのプレーを偶然ではなく必然にしたい。
2012 下手だったから、もっと上、もっと上と頑張ることができた。
他にも名言が多数。
何となくオチャラケな発言がイメージされるが、奥深い発言の方が実は多い。泥臭く、がむしゃらなプレーが印象的だが、一緒にプレーした選手や監督は「頭がいい選手」と評することが多い。
にわかサッカーファンの僕としては、細かな面まではわからないが、今回の特別号を読んでも随所にそれを感じさせる。
この特別号では過去の記事も掲載されているのだが、そこも興味深い。
30歳を越えた中山に、当時、若手で活躍している選手との熾烈なレギュラー争いに関するインタビューがあった。その当時、若手と言われた選手は、中山よりも先に引退している。それも少数ではない。その大半が既に現役を退いているのだ。
その比較をするだけでも中山という稀有なプレーヤーを語るに価値があるのかもしれない。
やはり同世代の誇りだ。自分がたるいと感じた時なんかには、この雑誌はいいクスリになるであろう。
今回の特集は現役時代に一緒にプレーした選手のインタビューも掲載されている。ヒデであったり高原であったり・・・。
その一人にジュビロ磐田時代にプレーしたスキラッチの存在も。でも、これが不思議。どうしてキザで舌を巻くような口調になってしまうのだろうか。
「オレはもうアイツに惚れちまったんだよ!」
そんなイタリア語の表現あるのかな・・・(笑)。
今週からスタートした年度末の個人面談。
昨年は部長以下のメンバーだったが、今年は思い切って全員。一人1時間程度の時間で、この一年を振り返り、何ができて、何ができなかったかを話し合う。
僕が話すこともあるが、基本的には聞く側に回り、本人がどんな考えを持ってこの一年間を過ごしてきたかを語ってもらう。漠然とした話だけでもお互いのプラスにはならないので、営業についてはどれだけの営業利益を会社に残し貢献しているのかも明確にする。
自分で売上を管理し前年との伸び率を把握していても、全体の中でのポジションは曖昧だったりする。そこを数字で明確にすることで、自分の立ち位置が確認でき、現在の収入が妥当なのかどうかも目の当たりにできる。
メンバーによっては危機感が芽生えたり、ホッとしたり、笑顔が見られたり感じ方は様々だが、そこも含め全員で一つの会社なんだと実感する。うちのようなサイズの会社では全員が重要な戦力であり、全員が会社の代表という意識も持たねばならない。
まだ足りないと思えば、力をつけるだけだし、結構やってると思えば、更に上を目指すだけのことだ。そんな前向きな姿勢を続け、最終的に会社が良くなればいい。本当の意味で一人ひとりが主役になるとも思う。
普段コミュニケーションを取っているつもりでも、サシ飲み以外でじっくりと1時間話をする機会は多くない。僕自身が伝えたつもりでも不十分だったり、逆に僕の受け止め方が弱いこともある。嫌な話もいい話も真摯に話すのが僕の最大の役割なんだろう。
そして、その話した内容は記録に取っておかなければならない。翌年に改めて振り返る際に必要にもなるわけだし・・・。
そんなやりとりをしているとあっという間に一日が過ぎて終わってしまう。終日、会社で過ごすのも結構疲れるものだ(笑)。心地よい疲れだけど。
もうちょっとの日数だな・・・。
面談の最後に「社長にモノ申すことがあれば言ってくれ」と促す。多少の遠慮はあると思うが、嬉しい意見も手厳しい意見もあり、それも刺激。
だが、圧倒的に多いのは「飲み過ぎに注意してください。体に気をつけてください。」ということ。
やっぱ、そんな風に思われてるんだな・・・(笑)
いろんな場で紹介されているので、つい手に取った本書。
経営者の書籍はスムーズに体に入り込んでいく。経営全般の書籍も比較的、体に染み込みやすい。
しかし、経営学となると話は別。この一冊を読み終えるのに随分と時間を費やしてしまった。「経営学」とか「経営学者」と言った途端に体に入り込むスピードは落ち、なおかつ、思うように吸収することができない。
それだけ自分の勉強嫌いや学習能力の低さが表れてしまったようだ。本棚の飾りになりそうな気配満々なのだが、時には読み返す必要はあるだろう。
赤線を引っ張った箇所を抜き出ししても
「ハイパー・コンペティション下では、理論的には、より積極的な競争行動をとる企業のほうが高い業績を実現できる。」
「一時的な競争優位を連鎖するように獲得していくことが、現代に求められることなのです。」
「競争優位を実現できる企業はもはや全体の2~5%しかないのです。」
と別々の箇所をつなげるだけでも、先端の競争戦略を理解することは可能。
また、こんなことも書かれていたり・・・。
「不確定の時代に計画主義は通用しない、と唱えるのが「学習主義」を支持する学者たちです。」
「「考える前に、まずやってみるべき」というのが学習派の主張です。行動していくうちに市場の状況や顧客の好みなどを学習し、徐々に自らの事業計画もはっきりわかっていくだろう、不確実性が高いときにはむしろそのほうが効果的だ、というわけです。」
まさに、Webサービスを中心に考える戦略ならば、ぴったりと当てはまるといえるだろう。
と、書籍から抜粋して、ブログの書評をごまかしているわけだが(笑)、全てを読み通して理解するのは一度読んだだけでは難しいだろう。
そもそも学習することは、一度で習得できないわけだし・・・。
一昨日、昨日と開催した転職フェア。
年度末の慌ただしい時期にも関わらず、1,500名以上の方にお越しいただいた。少しでも何らかのキッカケになればと思う。ありがとうございました!
今回のイベントでは新しい試みを行った。それが大げさなブログタイトルにつながる。実際はそれほど大層な話ではないのだけれど・・・。
これまで自社のイベントでは、来場者に対して受付でアンケート用紙を配布し、出口で回収するというオーソドックスで何十年と変わらないスタイルを実施。多分、同じ形式で実施している企業はまだまだ多いだろう。
この形式は後処理が結構大変。アンケート用紙を全て入力しデータとしてまとめる。度々、チェックも必要なことから時間も経費も思った以上にかかる。営業サイドとしては素早くクライアントにアンケート結果を伝えたいのだが、都合よくはいかないのだ。
そこで今回から思い切って、アンケートをWeb上から行ってもらうことにした。時流に乗り、iPadminiをいくつか並べて回答してもらうことにしたのだ。
出口での入力は面倒な作業なので、ノベルティとしてオシャレボールペンを用意した。(本当は通販で大量購入したごくごく普通の2色ボールペン・・・笑)
そしたらどうだろう。
そのボールペン目当ての方は全くといっていいほどいないが、ほとんどの方が抵抗なく協力してくれた。来場者にとっても今やタブレットは当たり前のツールのようだ。シュッシュッといとも簡単に操作される。こちらが危惧する必要はなかった。
イマドキ感もいいのだが、何よりこちらとして有難いのは後処理。一日終えた時点でアンケート結果をチェックすると、CSV状態にきれいに処理されている。これまで苦労していた入力作業が完全に不要に・・・。これは便利と、その業務に関わらない僕でも単純に理解することができる。
数年前であれば、この作業にかかる開発や構築にかかるコストは相当だったろうが、今はそうではない。イニシャルにかかる費用も驚くほど少ない。とても便利な時代。
この手のツールの出現で、別の業界が淘汰の危機にさらされるわけだが、それを憂いても仕方がない。どんどん時代は変化し続けるのだ。
今回の転職フェアは第126回。既に23年の歴史になる。イベントそのものは同じでも中味は時代と共に変化していく。
こんな小さな業務の改善からそんなことを感じた。
先週からスタートした春のインターンシップは本日で終了。
親しい大学から依頼を受けて、3名の大学2年生にこの2週間の間、就業体験をしてもらった。夏のインターンシップはどこの大学でも当たり前のように実施しているが、春の実施は少ない。受け入れ先の企業も少ないため、学生に容赦なく働かせる我が社でも希望者は多いようだ(笑)。
大学2年生段階では就職の意識より、むしろ世の中の仕組みを知りたいという気持ちが強く働くようだ。まだあどけなさが残る学生が(失礼かな・・・)、そんな想いで参加してくれた。
体験することは夏のインターンシップとほとんど変わらない。座学、営業同行、電話対応、原稿作成、イベント運営と一通りの業務を行う。僕は毎年座学を担当し、いくつかのテーマに沿って、学びの場を提供する。
僕としてはできるだけリラックスさせ話しやすい雰囲気を作っているつもりだが、受ける本人はそんなことは全くないようだ。緊張しまくって、お腹を壊してしまうこともあったり・・・。
こんな人間でも立派そうな大人に見えるのかな(笑)。営業同行ではお客様に注意されたこともあったようだが、それも学生にとってはいい経験。
一つ一つの経験が自覚を芽生えさせ、成長に近づいていく。社会を知るには実体験が一番なのだ。
インターンシップの最後となるイベント運営の仕事では、このように自然な笑顔も見せてくれるようになった。(といっても、まだ硬いかな・・・笑)
昨日も一生懸命、イベント会場で来場者に声を掛け、与えられた仕事を爽やかにこなしていた。
学生にとって、春休みは最も気持ちがラクで、何のプレッシャーもない一番過ごしやすい期間だろう。アルバイトで多く稼ぐこともできるわけだし、旅行するにも値打ちな金額で楽しむことができるだろう。
一銭の収入にもならず、楽しいというよりは大変な事ばかりのインターンシップ。友達と遊ぶ時間も限られ、学生によっては何の価値もないものかもしれない。
でも、僕は思う。
この過ごした時間はお金を稼ぐよりも大切で、友達と遊ぶよりも重要だと・・・。
そんな風に少しでも思ってくれたら、本当に嬉しいのだけれど、どうかな?