就職関連本は毎年当たり前のように発行されているが、
このような就職戦線の歴史を時系列にまとめた書籍は初めてではないだろうか。
職業柄、この類の書籍は読むようにしているが、
本書は自分自身の知識をつける意味においても価値があった。
すぐに忘れないようにしなければなりませんね。
えっ、ムリって?。頑張ります・・・(笑)。
僕の就職活動時期も含め、この「就活」に携わって27年。
当時はバブル絶頂期。僕は能力的にその恩恵を受けたわけでもないが(笑)、
友人の中には就職活動を通して、結構おいしい思いをした連中もいた。
映画「就職戦線異常なし」ほど過激ではないものの、それなりの厚遇を受けていた。
名大社に入社し、新卒採用の支援をするようになったため、
それ以降の就職戦線は手に取るように分かる。
バブル崩壊後の氷河期、ITバブル、そして崩壊。
愛知万博時期における東海地区の盛り上がり、今から思い出してもゾッとするリーマンショック。
その年々をリアルに生きていたので、主観的な見方で言えば著者よりも詳しく語れるかもしれない。
新卒採用の事業は僕が最も好きな仕事だった。
成績も抜群だった(笑)。
客観的な分析ができていないので、実際は簡単に語れないのは承知しているが・・・。
そんな点からすれば、バブル以前の就職戦線は読んでいて参考になり、新鮮に感じた面が多かった。
昨今の就職戦線を悲観的に捉えるニュースが多かったりするが、
本書を読む限り、就職戦線はどんな時代でも問題を抱え悲観的だ。
もちろん好景気で楽勝の時代もあるだろうが、それは瞬間的なことだったりする。
大卒が希少価値だった頃は、営業という仕事は新卒者が就くべき職種ではなかった。
今からでは考えられない。
採用の現場についても今からは考えられないことは多い。
昭和29年当時の日経連の調査では
「各会社が採用に当たり重点を置くのは、①人物②健康③思想、信念、学識、職見④性格、素質
⑤学業成績⑥身元、家庭⑦言語態度などが、大体の順位になっている」という。
今の時代であれば完全にアウトの項目も多い。
それが当たり前の時代。
単純に比較をするわけにはいかないが、今の時代の方がよほどいいのかもしれない。
どんな時代でも企業と学生では、企業が強く学生が弱い立場にある。
(ほんの一部はそうでもないが・・)
それは縁故、コネが強かった時代から変わることはない。
新卒一括採用の是非が問われることもあるが、現実の日本社会でなくなることは考えにくい。
新卒採用の事業を今後も継続するとすれば、時代に適した場を自分たちで作っていくしかない。
どんな環境となろうとも・・・。
この分野の歴史も知っておかねばならない。
勉強になった1冊だった。