中谷美紀は美しい。
改めてそう思った。
昨年のNHK大河ドラマ「軍師 官兵衛」での女房役を見る限り、とても美しいとは思えなかった。
かつての美しさはもう見られないのかと残念に感じていた。
しかし、それは思い過ごし。本作での中谷美紀は凛とした美しさを醸し出していた。
その感情をグッと抑えた表情、背筋の伸びた歩き方、お客さんと接する時に見せる笑顔、
どれも魅力的だった。
それがロケ地である神戸の街と上手く重なり、温かさと張りつめた緊張感、
守るべき伝統が混ざり合う映画を構成していた。
普段、僕らは当たり前のように洋服を身にまとい生活している。
それなりに今日は何を着ようかと考えたりもする。
しかし、その程度で、ここに登場する人たちのような深い想いは持っていない。
もしかしたら僕にも大切な一着があるのかもしれない。
だが、まだそれに気づいていないし、ありがたさを理解していない。
この映画を観て、洋服が人生において重要な役割を担っていることを識ると共に、
自分の愛着のなさを反省した。
不思議なことにそんな洋服を眺めながら泣きそうになってしまった。
それは今まで映画を観てきた中でも初めての経験。
そんな経験ができるのもこの映画の魅力。
そして、そろそろオーダーで一生着られるスーツでも作ってみたらどうか
と単純な頭が想いを巡らせていた(笑)。
何を守り、何を変え、自分自身はどこに向かっていくのか。
一番大切なのは何か。
これはどんな人生でも共通のテーマだと思う。
改めて考えるいい機会でもあった。
もし、可能なら(100%ムリです)、中谷美紀と一緒にチーズケーキをホールごと食べてみたい。
会話を盛り上げる自信はありませんが・・・(苦笑)。
そんなことはどうでもいい。
中谷美紀は美しい。
改めてそう思った映画だった。