アメリカの懐の深さを感じた作品。
実在の人物を描く場合、本人が亡くなった後に作られるケースが多い。
それはその人物に対する遠慮もあるだろうし、誤解も生む。
しかし、本作はそんなことにお構いなし。
ここに登場する人物のほとんどはまだ健在。
最近だと映画「ソーシャルネットワーク」でマーク・ザッカーバーグ氏を
面白おかしく描いていたが、本作の舞台は政治。
政治家を否定するのは簡単ではないと思うのが一般的。
だが、そんなことは関係ないようだ。
自由の国アメリカを象徴し、あ、映画もね、表現の自由も当然にように許されている。
同様の映画を日本国内で制作するのは難しいだろう。
どこかから圧力も掛かりそうなものだ。
僕はアメリカの政治には疎い。
(日本の政治にも疎いけど・・・。)
その点では大いに勉強になるし、最近のアメリカを知るにはうってつけ。
それでもブッシュ元大統領やパウエル氏はリアルタイムで見ているので、
その描き方には唸らされてしまう。
同時に笑わせてくれる。
僕がブッシュ氏だったら、絶対にクレームをつけ公開中止にするだろう。
それだけでもこの作品は観る価値がある。なかなか衝撃的。
ジャンルでいえば社会派ドラマ。
昨年公開された「ペンタゴン・ペーパーズ」の部類だが、それとは180度異なる。
ウイットに富み、コメディーの要素もある。
そして、なんといっても実在の人物を演じる役者のソックリ度。
ブッシュ氏やパウエル氏の役にも感動するが、
当時の副大統領ディック・チェイニー役を演じたクリスチャン・ベールはさらに感動もの。
とてもバットマンとは思えない。
年齢の積み重ね方も含め、役者魂を感じざるを得ない。
お見事!
実はこの作品、50歳を過ぎたオジサン3人が映画館で仲良く並んで鑑賞。
男3人で映画を観るなんて、僕の人生で初めてのこと。
映画評論仲間である(いつからそんな仲間が・・・笑)
ヤブさんとコヤマさんと一緒に観たのだ。
わざわざ滋賀と東京から名古屋に駆け付けてもらい、
鑑賞後はお酒を飲みながら映画を語り合うという初めての企画。
これがとても楽しかった。
本作の感想もそうだが、最近観た映画などいろんな映画について語り合った。
他の分野にも話は飛んでいくが、結局は映画に話は戻り花を咲かせる。
ヤブさんもコヤマさんも年間50本は映画を観る。
ちゃんと映画館で・・・。
僕はせいぜい30本。
それだけでも凄いと感じるが、その造詣の深さには素直に尊敬。
映画コラムニストを語る自分が少々恥ずかしい。
ただこのような時間を共有できるのはありがたいこと。
今後も定期的にこんな会を行っていく予定。
映画は作品以外にも多くのことを教えてくれる。
あらためて映画に感謝ですね。