白石監督は現在最も注目している監督。
ここ数年は精力的な活動で年2~3本の作品を撮っている。
この時代にこれだけの作品を創れるのは売れっ子の証拠。
それに釣られて最近の作品はほぼ観ているといっていい。
いや、大袈裟すぎた。
春に公開された「麻雀放浪記2020」はあまり評判が良くなかったので観ていないし、
昨年の「止められるか、俺たちを」はタイミングを逃した。
「止められるか~」は近々、Amazonプライムあたりで観ることにしたい。
作風も特徴的。
明らかに病んだ作品が多い。
「孤狼の血」も「日本で一番悪い奴ら」も病んでいた。
権力を敵に回す作品も多いが、監督にとってはあまり関係ないようだ(笑)。
そして本作。一言でいえば、
ろくでなしがろくでもない生活を繰り広げ、世間に迷惑を掛けた映画
こんな一言では観るに値しない作品と思われるかもしれない。
公開ギリギリで観たし、今日時点では既に公開終了が多いので、仮に観たくても観れない(笑)。
まあ、いいんじゃないの・・・。
ただ僕はなぜか感動した。
映画に吸い寄せられ集中力を切らすことなく見終えてしまった。
寒々しい石巻の風景とそこに絡んでくる登場人物が上手くシンクロし、
ただならぬ雰囲気を醸し出していた。
ずっと息苦しさがつきまとっていた。
しかし、そこが本作の最大の魅力ではないか。
世の中にこんなろくでないしが本当にいるのかと思うが、間違いなく存在しているだろう。
それは僕の周りにいないだけで、あちらこちらにいるのだろう。
最近起こる悲劇な事件の周辺にそんな臭いもするんじゃないだろうか。
とにかくろくでなしなのだ。
まるで他人事だが、僕もどこかで間違えればとことん堕ちていくかもしれない。
主役となるシンゴちゃんもこれまでのイメージを大きく打ち破る作品になったのではないか。
大河ドラマ「いだてん」では珍しくまともな役のリリーフランキーもやっぱこんな感じなんだ・・・。
僕が知る限り白石作品は救いようのない終わり方の映画ばかり。
絶望的な気持ちになることが多い。
そんな点では本作は期待を裏切る。
未来があるのだ。
本当に「再生」できるかどうかは分からない。
ただ信じてみようと思えるのが、この作品の救いなのかもしれない。