「ネット興亡期」トークLIVEを視聴した後、すぐ本書を手に取った。
本書の主役である宇野康秀氏は僕が憧れる経営者の一人。
尊敬するというより憧れるという言葉の方が適切だろう。
僕が30歳を過ぎたころ、業界内でインテリジェンスという会社が評判になっていた。
東京の方はもう少し早いだろうね(笑)。
当時、経済誌や業界紙を漁りながら、この会社のことを探っていた。
経営者である宇野氏は頻繁に登場し、その取り組みを語っていた。
颯爽とスーツを着こなし、見ての通りのイケメン。
名古屋の平凡な営業マンとの差を感じながら、大きな刺激を受けていた。
それでも僕は会社ではデキる営業で、生意気にも会社のスピードの遅さに不満を感じていた。
真剣にインテリジェンスに転職しようとも考えていた。
当時、副社長だった鎌田さんから結局、合否の返事はもらっていないんだけど(笑)。
その後、いろんな展開があり、ネット事業の責任者を任されたり、
あらゆる事業に絡まされ、紆余曲折を経て今の立場になったわけだが、
僕にとってはカッコいいと思う経営者だった。
ただ最近はあまり気にすることなく、今に至り、この番組で久しぶりに拝見することになった。
活躍は間接的に知っているものの、どん底から抜け出し、現在に至る背景は知らない。
そのあたりの壮絶さを理解したいと思い、本書を読んだ。
どんな優秀な人でも、悩み苦しみ、絶望を味わい、抜け殻のようになり、
酒で誤魔化す日を送る。
最終的にそこから抜け出す力があるかどうかで、
そのマイナス面はすべて過去の話で落ち着くわけだが、その過程は想像を超える。
1億、2億で悩む僕なんて人間が小さすぎると思わざるを得ない。
最後に見せる涙は嬉し涙か、悔し涙か。
その涙で、その人の価値が理解できたり・・・。
果たして僕はどっちの涙を流すのだろう。
一見クールそうに見える宇野氏だが、実際はかなり人間っぽいところがあるようだ。
本書の中で、サイバーエージェントの藤田社長は宇野氏をこんな風に評している。
「生半可でない粘り強さ、持続的な構想力、冷めない情熱。
起業家の総合力をチャートにするとすべてがマックス。
弱点は優しすぎるところ」
本書で初めて知ったが、宇野氏の実兄も優しすぎる性格ゆえ、最後は自ら命を絶った。
人にとって優しさは重要だが、最後の最後には斬り捨てるべきものなのかもしれない。
本書の主旨とは異なるが、そんなことも感じた。
宇野氏の生き方はハードワークそのもの。
寝る時間を惜しみ仕事をした若い時代が今を支えている面もあるだろう。
多分、今もその気持ちはきっとどこかにあるのだろうが、
それを言い切れない点は辛いところかな(笑)。
欲を言えば、本書ではもっと宇野氏を掘り下げて欲しかった。
そこまで自己開示を許さなかったのかもしれないが、
ここ最近の活躍ももっと知りたかった。
一度でいいから直接お会いする機会があると嬉しい。
僕のかすかな記憶では大学時代にお会いしてるのかもしれないけど・・・。
西川りゅうじんさんだったかもしれないな(笑)。
改めて背負うことの重圧に涙しそうになった。
もっと多くの経営者の経験を学ぶべきだね。