本書を購入したのは10年前。
社長就任間もない頃に読んだはず。
しかし、僕の脳ミソの容量が小さいせいか、内容についてはほとんど覚えていない。
会社の本棚に眠っていたが、もう一度読もうと思って持ち帰った。

それがGW前。
GW中に読む予定が課題図書やオススメ図書が押し寄せ余裕なく、
読み終えたのがつい最近。
自分の本を読むスピードの遅さにほとほと呆れてしまう。
僕の書斎にはどんどん積読されていくばかりだし。
大学の授業で積極的に読書を勧めても、あまり説得力がないかも・・・。

著者は渋沢栄一氏。
最近になってグーンと知名度が上がった。
やはり一万円札の顔になるのは大きい。
20年振りの紙幣刷新。

なぜか僕の一万円札のイメージは未だに聖徳太子。
それだけインパクトが強かったのか、ほとんど手にしない一万円札を大切に持っていたからか・・・。
いまでもさほど変わらないけどね(笑)。

本書が書かれたのが大正5年。
今から105年も前。
第一次世界大戦の最中。

しかし、読んでみても全く時代を感じない。
もちろん少し前の明治に触れたり、時代的な価値の違いはあるが、
物事の本質は何ら変わらない。

それは元となるのが「論語」だから当然だが、経営哲学はこの2000年代でも変わることはない。
長い歴史をみれば、今のこの瞬間の状況が異常なのかも。
歴史的事実を学ぶことも重要だが、
その時々に何を語られていたのかを知るのはもっと重要なのかもしれない。

渋沢氏は「現代の青年が、今、もっとも切実に必要としているのは人格を磨くことだ」
と本書で語っている。
最近も同じようなタイトルの書籍があった。
100年以上、時代時代の狭間で言われることなのか、100年間ずっと言われることなのか。
いずれにせよ人格が未熟なのは間違いがなさそうだ。

多分、100年後も違う哲学者が同じことを話すのだろう。
歴史は繰り返す、失敗も繰り返す。
どれだけ技術が進歩しても、サービスが向上しても人の本質は変わらないわけね。

算盤の在り方も極端すぎてはダメ。
私心を捨て、いかに臨むか。
求められることは変わらない。
新刊本を読むのもいいが、たまには本質を突く名著も読まねばなりませんね。

また、10年後かな・・・。