自分一人の選択であれば、本作を選んだどうかは微妙。
気にはなっているが、モーレツに観たいと思う映画でなかったのは正直なところ。
映画評論仲間のヤブさん、コヤマさんとの課題作品となり鑑賞する機会を得た。

結論からすれば、この作品を評することでお酒を楽しむことができる。
作品の意図について互いの見解を述べたり、
手塚治虫氏の原作を並べながら昭和と現代を比べたりと話題は十分。
いい題材となった。

しかし、これも結論だけいっておこう。
大ヒットはしない。
万民に受ける作品ではない。
R15なので「鬼滅の刃」ファンを巻き込むこともできない。

ただ声を大にしていえば、テレビ小説「エール」のファンは観るべき。
さらにいえば、二階堂ふみファンは絶対に観るべき。
もしかしたら相当のショックを受けるかもしれないが、それを恐れずに観るべきだ。

それにしても彼女の演技はすさまじい。
それは本作に限らず、僕が過去観た作品でも同じ。
比べれば「翔んで埼玉」「SCOOP!」なんてかわいいもの。
流れとしては「この国の空」や「私の男」に近い。

より大胆な演技で、爽やかな朝の国民の顔を見事に裏切っている。
(「エール」は一度も観ていないが・・・)
この高尚な映画ブログでは卑猥なことは書けないが、
そのすべてを葬り去る演技は稲垣吾郎さえもダメ人間に陥れる。

妄想なのか、リアルなのか、文学的なのか、哲学的なのか、
観る者は翻弄され自分の居場所さえ分からなくなる。
そんな雰囲気を持つ映画。
いやはや、これはやはり大ヒットしない。

監督は手塚治虫氏の息子である手塚真氏。
どうだろう。
どれだけの人が知っているだろうか。

僕らの世代の邦画マニアで知らない人はいないが、一般的には認知は低いのでは。
僕が学生の頃、自主映画界ではカリスマ的な存在だった。
当時、話題だった「星くず兄弟の伝説」という訳分からない作品を観た記憶はある。
残念ながら前衛的すぎて理解できなかった。

35年経った今でもある意味、前衛的。
それを創作する者はいつの時代になっても、その感性は持ち続けるものだろう。

それにしても死人であるばるぼらこと二階堂ふみに対して稲垣吾郎ってヤツは・・・。
これはかなり衝撃的。
映画の解釈を含め、そのシーンだけでも観る価値はあるのかも。

やはり映画仲間の存在は大切。
また、鑑賞会をやりましょう。
ありがとうございました。