しばらくこの分野をしっかりと学びたいと思う。
「名古屋ファミリービジネス研究会」を主催して、
多くの同族経営の経営者と懇意にさせてもらっている。
また、経営者仲間もそのほとんどが同族企業の二代目、三代目。
有難いことにみなさん優秀で人間性も優れた方ばかり。
いわゆるボンクラ息子と呼ばれる人は皆無。
それなりの方が集まる場しか参加していないので、当たり前かもしれない。
一方で僕が知らない正体とやらを持っているのかもしれない。
本音と建て前を上手く切り分けているのかもしれない。
実態は不明だが、少なくともそれを感じることはない。
そんな中で僕は異色の存在。
創業家でもなければ親戚筋でもない。
起業家でもない。
大企業のサラリーマン社長ならありふれた存在だが、中小企業の生え抜き社長は少ない。
雇われ社長でもない。
オーナーの意向にビビることもない。
だからこそと自分自身で思うのかもしれない。
創業家やその企業の辿った道のりを学びたいと・・・。
まあ、僕も由緒正しき山田家の長男なんだけど。
ちょっと違うか(笑)。
本書は日本を代表する企業を中心に44社の後継の流れが描かれている。
必ず家系図も掲載されているので、
じっと眺めながら企業の歴史を確認するとより興味深くなる。
大塚家具のようにワイドニュースにもなるような骨肉の争いもあるが、
ほとんど表面化しない創業家と経営陣との争いや家族間の揉め事も垣間見える。
それだと野次馬的な要素になってしまうが、僕が知りたいのはそんなことではない。
その経営者がどんな気持ちで後継者を選び、周りとの関係性を保ちながら譲っていくかということ。
きっと身近にも多いだろうから、今後はそのあたりも直接話を聞く場を作りたい。
本書に登場する立派な企業も必ずし順調ばかりではない。
必ずといっていいほどクーデターや更迭、解任、
突然の死などがあり、その都度、解決に向け奔走する。
また、カリスマ経営者であるばあるほどその後継者の立場は難しい。
名経営者のご子息が優秀とは言い切れない。
いくら帝王学を小さい頃から学ばせても期待通りに育たない。
経営者なら一度は読むであろう小倉昌男氏の「経営学」。
小倉氏の息子は結果的に追放されている。
その哲学は理解していても実践できるかは別。
これからでいえば本書の表紙の真ん中に載る経営者。
モノクロの写真ではない。
65歳で社長引退を公言し、それを撤回し、70歳で会長就任も流れたという。
いつまで経っても経営者が一番優秀なのは実は困ったことなのかも。
その最たる例がこの会社になってしまうのかな・・・。
順風満帆な経営者でも悩みは尽きることはない。
順調でなければよりそうだろう。
ここに描かれる背景もいい学び。
できれば晩節を汚すことだけはしたくない。
そんなことを考えながら読み終えることとなった。