ボクシングが人気が高いスポーツかといえば必ずしもそうではない。
他に人気の高いスポーツは多い。
しかし、なぜかボクシングを題材とした映画は多い。

代表作「あしたのジョー」は除くが、
(山Pじゃなくてね)
日本映画でも「どついたるねん」「ウェルター」「キッズリターン」「百円の恋」あゝ、荒野」、
最近でいえば「アンダードック」と優秀作が並ぶ。
「アンダードック」はまだ観ていないけど・・・。
どれも暗くてちょっと重い。

「ロッキー」のようなアメリカンドリームを描くサクセスストーリーは皆無。
それはハングリーさを追求するボクシングを象徴しているし、
プロでも食べていけない世界では耐える生活もクローズアップされる。

僕はそれが嫌いではない。
ボクシングは話題の世界戦くらいしか見ないが、映画はなぜか惹かれる。
主人公はほとんどやつれているが、それが人間らしくて惹かれるのかもしれない。

本作もそう。
必ずしもハッピーな世界ではなく、ひねくれた面も多い。
その方がリアル・・・。

松山ケンイチ演じる瓜田は全然勝てないボクサー。
誰よりも練習熱心で分析力もあり、ボクシング愛もある。
しかし、弱い。
生意気な若手の後輩に罵られても飄々とした態度で接する。
自然体にも思えるし、思い切り感情を押し殺しているとも受け取れる。
それは相手に対しての態度というより、努力が報われない自分自身に向く。

ボクシングに限らず、他のスポーツでも仕事でも勉強でも同じではないか。
努力を積み重ねても一つの才能には木っ端微塵。
池江璃花子は「努力は裏切らない」と言ったが、
残念ながら裏切る努力もある。
とても儚い。
だが、とても愛おしい。

松山ケンイチに自分をダブらせる人は多いんじゃないのかな。
僕もどちらかといえば松山ケンイチ同様、青コーナーに属する。
このあたりが映画のタイトルになっているわけね。

好きになるもならないもふとしたキッカケから。
それはキャリアの世界も同じ。
忘れてしまうようなキッカケであっても本人にとってはかけがえのない存在になる。

辞めようと思っても、捨てようと思ってもできない。
何がそうさせるのだろう。
ラストシーンから人間の愚かさとひたむきさに喜びを感じた。

前に進むことも止めてはいけない。
これも大切な道なんだ。

ボクシング映画は面白い。
早く「アンダードッグ」も観たい。