特に難しいことが書かれているわけではない。
日々、新聞やTVの報道で観る中身。
それが具体例を持ち、また変な感情論を省いて書かれている。

この第三者的な立場の冷酷さが今の日本の現状であり、
更に近い将来予測されることとなるのだろう。

コロナによる打撃は名大社の事業においてもかつてない大きさ。
リーマンショック時も酷かったが、今回も負けず劣らず。
そんなことを威張っても悲しいだけだが、それが現実。

違いといえばリーマン時は仕掛けることができたがコロナ禍ではそれができない。
制約の中で事業を行わなければならない辛さがあった。
新たな事業を生み出せばいいのだが、それが簡単にできれば苦労はない。
指をくわえて見ているわけではないが、
部外者からすればそう捉えられるのかもしれない。

新年度に入り、少しずつだが回復傾向があるのは救い。
ひとりひとりの地道な努力が実を結んでいることが大きい。
それには感謝せねばならない。

本書には「コロナ関連倒産」の定義からその傾向が書かれている。
アパレル、娯楽、観光、飲食、製造業、その他の業界の実態を描いている。
確かにその通り。

今日現在の飲食業のように手の施しようのない業界もある。
我慢に我慢を重ねる。
僕の知り合いにも悲痛の叫びをぐっと堪えて耐える方もいる。
他人に気を配る余裕はないが、その影響度は自分たちの比ではない。

一方で本書で取り上げられる多くの企業はコロナは結果でしかない。
コロナが決定打にはなったが、原因とは言い難い。
コロナ前からの事業低迷、長年にわたる不正、隠蔽、社内での不祥事。

それがコロナにより露わとなり、救いの手を閉ざられたといっていい。
本書を読んで改めて思ったことは普段が大事。
景気のいい時も驕らず、私利私欲にまみれず、
信頼できる関係性を維持し続けることが重要。

経営戦略以前の話で会社は揺れ動く。
実際はそんなバカげたケースばかりではないが、いかにそれが多いか、
結果的に誰も助けてくれない状況に陥るのか、そんなことがいえる。

読んでいて楽しくもないし、大した勉強にもならないが、
反面教師的に捉えるために時々この類を読む必要はある。

巻末に老舗企業の強さについて書かれている。
現在、業歴が100年をこえる老舗企業は全国に約34,000社。
そのうち約8割が年商10億未満の企業。

そんな企業は「戦争」さえも乗り越えている。
どう乗り越えてきたか。
いくつかの理由はあるが、結局のところ「変化」。
そして「信頼の維持・向上」。

どんな時代でも肝心なところは変わらない。
そこだけは見誤らないようにしないとね。