刺激的なタイトルと刺激的な帯に惑わされ購入してしまった(笑)。
日本のGDPの伸び率の低さはあちらこちらで目にする。
生産性が低いということも耳が痛いほど聞く。

実際、日本人は労働時間が長い割に収益性が低いとも・・・。
懸命に働く身としては納得しがたい面もあったが、
本書を読んでようやく納得することができた。

そこにも大きな要因があったかと・・・。
帯にも書いてあるように、ディズニーもダイソーも世界で最安値水準。
ダイソーは何となく理解できるにしても、
ディズニーランドは高いと思っている人は多いんじゃないだろうか。

ただそれは日本人の感覚。
日本の8200円に対し、フロリダ州では約14500円だし、パリでは約18000円。
他国のディズニーランドと比較すると格安。

僕が初めて行った大学時代はいくらだっただろうか。
確か5000円弱だったような。
今から35年前。
そう思うとそれほど変わらない。

僕が働き始めた頃と多くを比較するともっと変わらないことが言える。
当時ランチは700円程。
今とほとんど変わらない。

スーツは6~7万だった。
バブル期だったとはいえ、新人でその値段のスーツは今よりも遥かに高い。
適正な価格をみても3~4万。
むしろ今の方が安いのではないか。

回転寿司はあったが、100円のクオリティはなかった。
そんな例だけ見ても日本はこの30年ずっとデフレ。
平均世帯年収が変わらないのも当然といえよう。

そこには行き過ぎた価格競争がある。
今でも価格競争は続いているが、そろそろそれもお終いにした方がいいと
本書を読みながら、つくづく感じた。

それが幸せだと感じる人も多いし、物価が安い方が生活はしやすい。
だとしたら給与が上がらないことに対しても文句をいっちゃいけない。
そんなふうにも思う。

海外の方がモノが安いなんて幻想で、それは内側しか見ていない証。
自戒を含め、現状認識が必要。
日本人が裕福だと思うのも過去の話なわけね。
もちろんバイアスが掛かっている面はあるだろうが・・・。

商売柄気になったのが、海外人材の報酬や転職者の賃金。
ここで完全な差がつく。
最近日本でも優秀な人材であれば新卒でも1000万を提示する企業があるが、海外では当たり前。

自社ができない力不足は棚に上げて、その賃金の上がり方の差は理解しておく必要がある。
一時期、積極的に展開していたベトナム辺りからの高度人材も
日本には魅力を感じなくなってしまうかもしれないし。

国内の競合だけ考えれば給与差はあまり競う材料にならない。
せいぜい数百万の世界。
それが海外企業だと2~3倍となるから勝負にならない。

優秀な人材は持っていかれる。
もちろんロイヤリティがあるので、すべてにはならないが、
いずれロイヤリティでは戦えなくなる。

他人事では済まされない。
そう、すべてにおいて自分事と捉えないといけない。

京都あたりのホテルに安く泊まることばかり考えてちゃいけない。
思考停止と同じ。
簡単に抜け出せることではないけれど(汗)。