今や岐阜県を代表する企業の一つとなった森松工業。最近、メディアへの露出も多く、その技術力や経営方針も注目を集めている。
こちらの人事担当者には、以前より大変お世話になっていたこともあり、何度も会社をお邪魔し、多くの情報交換をさせて頂いており、現状についても多く教えて頂いた。
岐阜の片田舎にある企業のトップが、先進的な考えで世界を相手に経営を推進していく姿は、尊敬もするし、同じ岐阜県人として誇りでもある。
その社長が、明快なタイトルで、独自の経営論を語った著書である。
出社は月に3日でいい (2010/07/09) 松久 信夫 |
この松久社長は、月に2~3日しか出社しないし、これだけの規模の企業になりながら社長室もない。自分のような駆け出し経営者には、もちろん社長室なんて身分不相応だとしても、必要以上に豪華で広大な装いは、本当に必要なのかと疑問に思うこともある。
社員の目標の頂点のあるべき姿が、そこにあるのかもしれないが、どうしても自己顕示欲の表れにようにも思える。誰もいない場所で孤独に考えることの必要性も十分認識しているので、個室を否定しているわけではない。
喫茶店での仕事は、メディアに対するパフォーマンスかとも思っていたが、実際、この著書に書かれている内容から察するに、かなり本人にとって仕事をするべきいい居場所になるのだろう。
効率重視で一切に無駄を省いた経営ともとれるが、著者の松久社長の本音は違う。
「リスクテイクこそが、企業成長のエンジン」であり、
「会社を倒産させないためにするのが設備投資」と、
積極的に攻めることを強調している。
18歳で会社を引継ぎ、苦労を重ねどん底からはい上がってきた姿や一日4時間の睡眠で十分という精神構造は、業界トップまで押し上げたパワーの分かりやすい表し方にすぎない。
一日6時間は睡眠をとり、会社を引継ぎ3ヶ月間でもあちこちと頭を巡らせている自分なんかは、松久社長からすれば、ヒヨコにもならないのかもしれない。