本書を読んで思い出したのが、
キャリア理論家クランボルツ氏の「プランドハプンスタンスセオリー」。
7月まで大学の授業でその理論を教材として使っていたので思い出した。
本書はその理論の経営者向けとも言えるような内容。

クランボルツ氏の計画的偶発性理論は
「キャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」と説いている。
そのためには5つの習慣が必要。
好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心がその習慣だという。

本書もそれに近いのかもしれない。
「優れた経営者は、例外なく、運が強い」
「優れた経営者は、例外なく、運気を引き寄せる力がある」
と田坂氏は語り、そのための行動を促している。

それが七つの心得になる。
全部を紹介してしまうと著者に叱られるので止めておくが、
見方を変えれば近いことを言っているのではないか。

「絶対肯定の想念」は楽観性、
「不思議な偶然に注意を向ける」は好奇心、
「無意識に伝わることを覚悟する」は柔軟性などなど。
無理矢理当てはめている点はなくはないが、そんなことも言えるのではないか。

クランボルツ氏は偶然の出会いを増やせと悟り、田坂氏は不思議な偶然により運気を引き寄せろと悟る。
結局は「運」が左右するわけだが、その「運」は勝手に訪れるものではなく自分で導くもの。
きっとそれは世代を選ばす、立場を選ばず、全てのものにいえること。
そうだとして、果たして自分はそんな行動や思考ができているだろうか。

残念ながらできていない。
特にこの1年以上はコロナ禍において行動も制限され、思考もネガティブ方面に向かっている。
まずはそこを取っ払わねばならない。

本書に書かれているように、
本来、我々の人生においては、「不運な出来事」も「不運な出会い」も無い、
全ては「深い意味」があって与えられた「有り難い出来事」であり、「有り難い出会い」
であるという「全肯定の思想」、「絶対肯定の思想」だからである。

それを持たねばならない。

緊急事態宣言が再び発令されたことに一喜一憂しているようでは本物のリーダーではない。
頭では理解しているつもりだが、現実は不運な出来事と感じてしまう。
まだまだだ。

絶対肯定の思想に辿りつくのは相当長い道のり。
果たして辿り着けるか不明だが、少しでも近づけるよう何度も何度も自身に唱えなきゃならない。
そして、気づいた時にはそうなっていることを期待したい。

大丈夫かな(笑)。