これも日経新聞の書評欄に紹介されており、つい手にした一冊。
普段読まない書籍を読む8月。
ウディ・アレンの作品はもう何十年と観ていない。
学生時代、粋がって、また知ったかぶりをして観ていた記憶はある。
「カイロの紫のバラ」「ハンナとその姉妹」「ラジオデイズ」。
ちょうど80年代、最も輝いていた時代。
ちょっと洒落ていて通好みの映画が多かったので、
感化されやすい青二才はいかにもそれっぽい感想を周りと喋っていたと思う。
何を喋ったかもどんな映画だったかも全く記憶がない。
所詮、そんなもの。
今はブログというツールがあり、記憶から消えても記録として残るからいいね。
それでもどの作品もミア・ファローが主役であったのは記憶にある。
当時、この2人の関係は知らなかったと思うが、
ウディ・アレンは今、思えば公私混同甚だしい監督。
それも超絶甚だしい。
作品のほとんどは自らの脚本で監督。
ある意味、思いのまま。
出演者も自分で決める。
女性への口説き文句にもなっているし、伴侶がいても簡単に恋に落ちる。
その時点で「ウディ・アレン追放」と思うが、そのあたりの事実は前座にすぎない。
言い方は失礼だが、背も低いし二枚目でもないのに、なぜこんなにモテるのか不思議。
やはり才能豊かな男はモテるということか。
それは実績が物語っている。
未だにほぼ毎年作品を撮り続けている。
入れ替わりの激しい世界でここまで続けられるのも豊かな才能があるからだろう。
脚本一本書くのも七転八倒な作家がほとんどだと思うし。
さて、本題。
本書はウディ・アレンとミア・ファローのゴタゴタを描いている。
ミア・ファローの養女への性的虐待が本書の中心。
読み進めるうちにイヤな気分にもなってくるが、そこに目を背けない。
人の愚かさや自分勝手な自己防衛を知るにはワイドショー的にも面白い。
僕はこの手のスキャンダラスに興味はないが、
世界的巨匠がどんな振る舞いをするかは興味が湧く。
裁判でもどう立ち回るかも・・・。
僕が当事者になることはあり得ないが、参考にはなった。
本書は翻訳された書籍ではなく、日本の映画ジャーナリストが書き上げた。
僕と同い年の女性映画ライター。
なぜウディ・アレンなの?と単純な疑問が沸いたが、そのあたりはあとがきに触れている。
それにしても不思議。
アメリカならともかく日本では売れようがないと思うんだけど・・・。
僕が知る以上にウディ・アレンファンが多いのか。
それともスキャンダルに関心が高いのか。
日本の俳優の不倫はネタとして小さすぎるかもね。
そんなワイドショー的な情報を著者は伝えたいわけではない。
あくまでも客観的事実。
捉え方は読者次第。
これがアメリカの実態かと・・・。
求められるのはどこまでいっても倫理観。
僕は追放されないですよ。