冒頭の漁のシーン。
どこの海だろう?と考えながら映画は始まった。
しばらくして主役古田新太が運転する車は豊橋ナンバー。
そこが蒲郡であるのが後で分かった。
娘が通学で歩いていたのも三河湾。
注目していた映画だが、全編蒲郡ロケとは知らなかった。
実在するスーパーは浜松みたいだけど・・・。
最近、蒲郡ロケの映画って多いよね。
あんなふうに漁港が取り上げられるのもいい。
いいぞ、愛知県!
と気軽なノリでスタートしたブログだが、
映画はとことん重い。そして辛い。
ここに悪人は誰も登場しないが、全員が悪人にも思える。
誰にも希望が見えない。
どうしよもなく救いようがない気持ちになるが、そこは吉田監督の人間性か。
園子温監督とは違う。
いい意味で裏切られるんじゃないかな。
ここ最近、観た映画やドラマは全て正しさがつきまとう。
今秋は「正しさ強化月間」でも敷いているのだろうか。
そんなふうに思ってしまう。
「しんがり」も「由宇子の天秤」も「MINAMATA」も正しさとは何かを求めていた。
そして、本作も見せ方は違うにせよ、正しさとは何かを求めている。
実に面倒な時代だと感じると共に、
目の前で起き得る可能性の中でどう判断するか?を突きつけられる。
どんな状況であれ、逃げられない状況に追い込まれて。
自分が原因ではない。
巻き込まれている人物に過ぎない。
被害者といっても間違いではない。
しかし、加害者として捉えるのが一般的な見方。
どちらの立場に立っても自分を維持することができるか。
自分の中の正しさを貫くことができるか。
吉田監督は観る者に答えを委ねる。
決して楽しい映画ではないが、どんどん深みにはまる。
目を背くことなく観なきゃいけない。
そんな作品なんだろうね。
いかん、こんなブログではお客さんを増やせないな・・・。
それにしてもマスコミの描き方は酷い。
少なからず事実を含んでいると思うが、これが本当だとすればマスゴミだ。
無責任な人間が一番強いというのはやはりおかしい。
吉田監督はマスコミに恨みがあるのかもしれないけど。
本作は役者陣も光る。
モンスター親父の古田新太はそのまんまだが、スーパー店長松坂桃李もはまり役。
「孤狼の血LEVEL2」と比較すると彼の今後はより楽しみ。
寺島しのぶの嫌みな正義感も良かった。
あとは個人的には野村麻純の動揺と懸命さ。
彼女は可哀そうだった。
あんなふうにしちゃダメだね。
と、またまた映画を理解できないブログになってしまった。
こちらもこの秋、観るべき一本。
そろそろ「正しさ強化月間」は終わりにしたいけど。