連日のように中国でのデモ活動の映像がTVのニュースで流れている。その報道を見る度に中国に対し、不快感を覚える日本人も多いだろう。
この場で尖閣諸島の一連の問題に対して発言するつもりはないが、デモの報道については「ナゼだ?」という思いが強いのが正直な気持ちだ。
そんなモヤモヤ感がある中、ロータリークラブの例会に参加した。
本日のゲストは、元留学生で現在は中国の大学で日本語を教えている中国人女性。以前、愛知県の大学に通い、ロータリーのお世話にもなったという。その方が現在の中国での日本語教育の状況を解説されると共に、先述の反日デモについての意見を述べられた。
日本で学んだという親日的な要素を除いたとしても、現在の報道は偏っており、決して日本に対して敵視している若者が多いわけではないという。
特に大学生においては、今の日本の実力を正当に受け止めており、敵視というよりは友好的な見方が多いらしい。
今ニュースに出ているような若者は大学生ではなく、内陸部の職に就くこともできず、生活も厳しい貧困層が中心のこと。最近の中国は自殺率も高く、就職難や一人っ子政策でワガママに育ち社会に適応できないことも背景として考えられる。
貧富の差も想像以上に激しく、食べる物すらない現実があるようだ。電化製品でも富裕層は日本製品の技術の高さを評価しており、そんな富裕層に対する反発や自国への怒りが、日本製品不買行動や店舗を攻撃する行為を生み出している。
そんなことはネットで調べれば当たり前だと言われるかもしれないが、実際の中国の方から目の前で話を伺うとその現実についてギャップを覚えることになる。
「街場のメディア論」(内田樹 著)はじめ、メディアに対して懐疑的な見方を表現する書籍も多くなっていると思う。
メディアが間違った報道をしているとは思わないが、その報道を一方的に受け入れることにより、自分の解釈が本来あるべき方向からずれてしまう恐れもある。
本日の話を伺って、客観的で冷静な判断のもと、他者に振り回されない明確な自分の考えを持つ必要性を改めて感じた。
2010年11月1日