今回、Amazonプライムの有料版で鑑賞。
少し前まで無料作品だったと思ったけど、違ったかな(笑)。
本作の日本での公開は一昨年。
その年のキネマ旬報ベストテンにもランキングされていた。
気になっていた作品だが、観ようと思ったきっかけは「それでも映画は「格差」を描く」。
本書はストーリーを完全にネタバレさせ、著者の見解で格差を語る。
映画を観ていない者には酷な書籍だが、その視点は面白かった。
一般的に本作はミステリー作品。
観ながらどんどん迷宮に入っていく。
主人公であるジョンスに感情移入し、
それに絡むヘミ(ジョンスの幼馴染みで結ばれる相手)、
ベン(ギャッビー的な謎の男)の存在に戸惑っていく。
特にベンはまともなのかそうでないのか全く分からない。
見るからにお金持ちのスマートな若者。
ポルシェを乗り回すが、威張るわけでも偉ぶるわけでもない。
その隣に何故かいるヘミ。
その関係はどうなっているんだ・・・とジョンスのように観る側も感じる。
そんなふうに映画は展開し、衝撃的なラストを迎える。
何の知識も持たずに映画を観たのなら、
現代韓国を描くミステリー作品に留まっていたのかもしれない。
しかし、書籍を読んだことでいろんな背景を考えながら観てしまった。
韓国内での格差が反映されてると。
大学を出ながらフリーターでギリギリの生活をするジョンス、
遊んでいるようにしか思えないが高級マンションに悠々自適に暮らすベン。
そして妄想なのか本能のままなのか分からないヘミ。
そこには「大いなる飢え」があるという。
その「飢え」が衝撃的なラストを生む。
そのラストは納得できない流れではない。
しかし、それが「飢え」からきているかは観ている者は分からない。
その点もミステリアスなのかも・・・。
きっと監督はそこまで計算して本作を制作しているんだろう。
最近の韓国映画はイヤらしいね(笑)。
本作の原作は村上春樹の「納屋を焼く」。
いつ読んだ?
大学時代か?
完全に忘れている。
もう一度、読んでみたくなった。