結局、昨日はタイトルにある「新卒一括採用について」は一切触れる事がなかった。
本日のブログで、この件に関して簡単にまとめていきたい。
新卒一括採用の議論内容は主に3つ。
・日本貿易協会、経団連か発表した就職活動時期の見直し
・日本の雇用慣行、アメリカの雇用慣行
・大学卒業後3年を新卒扱いとする
この3つの議論は、それぞれを分けて考えるよりもトータルで考えた方が、現状の問題点を正確に伝える事できるのではないだろうか。
それは全てが繋がっており、大局的に捉えていかないと根本的に問題解決に結びつかないと思うからだ。
しかし、そんなことをこの小さな組織で議論して最適な方向へ持っていたとしても、解決する事はできない。我々の範疇を超えているのは誰もが理解しているところ。
ただ、あるべき姿を全体で議論し、お互いの考えをぶつけ合うのは、決して無駄ではないと思う。この議論も十分意味のあることなのだ。
例えば、新卒採用時期を遅らせた場合、学生は学業に専念でき、就職活動期間も短縮する事ができるメリットはある。だが、それはあくまでも全業界がルールを遵守し、スタート時期を一緒にした場合にのみ言えることであり、現実問題を考えれば、全業界にそれを規制するのは無理な話だろう。
言い方は良くないが、これ幸いに早期に動き出す企業は出てくる。
また、企業の採用活動時期が短期間に集中し、学生の選択の幅がより限定される可能性が高い。その場合、今以上に大手企業に学生が集中して、そこから溢れる学生が増え、その後の受け皿となる企業との接触時間が減少し、内定率が下がる恐れもある。
それぞれの団体の言い分もよく理解できるが、中小企業まで含めた全体のことを考えているかどうかは難しい判断となる。
卒業後3年を新卒扱いにする件は、個人的には決して悪くない政策だとも考える。機会が増えることにより、目的意識の高い学生のチャンスが広がるという点においては、メリットがある。それを受け入れる企業も社内的な調整は必要だろうが、より求める人材を確保することが可能になる。
しかし、これはあくまでも目的意識が高く、自分の将来に何らかのビジョンを持っている学生に限られるのではないだろうか。果たしてその学生の割合はどれくらいいるだろうと考えてしまう事もある。
日本の新卒一括採用は、世界から見れば特殊であるという事実は間違いないが、今の日本の雇用システム(年功序列、終身雇用を基本)を中心に考えれば、当然ともいえる。
(日本型雇用システムは既に崩壊しているとも言えなくもないが・・・)
若者の就職率が悪いといっても、アメリカやヨーロッパ諸国、中国あたりと比較すると格段にいいのもデータ上の事実である。そのデータを基準に考えれば、新卒一括採用も日本にあったいいシステムと判断できる。だから、一括採用は間違っていないという意見にもうなずける。
そのような議論をキャリアカウンセラーの有志で短い時間の中で行ったのだ。
メンバーの中には博識者も多く、フィンランドの政策を例に挙げながら、これからの中高年と若手の雇用システムの構築を提案する場面もあった。お互いの意見を尊重しながらも、論理的思考も感情的思考も含め、熱い議論がギリギリまで続いた。
勉強会終了後も、懇親会の席で、酒を酌み交わしながら、話題は尽きることはなかった。
僕自身もここに書いたような普段思っていることを話し、全体でお互いの考えを共有した。
結果として、これが正解という案がでたわけではない。
(それは現実、不可能だ。)
根本の問題はもっと深いものであると考える。しかし、そこには我々大人の責任も含まれているのだ。今後も自己の責任と捉え、相手任せにするだけでなく、考えていく必要性があるだろう。
2011年2月20日