本作に出演している俳優はほとんど知らない。
友情出演の成田凌と大河「鎌倉殿の13人」で殺された新垣結衣の旦那くらい。
彼の名前は出てこないけど、結構いい役だった。
せつないね・・・。

それはさておき、メインとなる俳優陣は活躍しているだろうが、僕は知らない。
ファンからすれば叱られるかもしれないが、
どこにでもいそうな若者としか思えない。

映画の作り方がそうさせるのか、みんな自然。
ごく普通に演じているように感じる。
もしかしたらそれがイマドキなのかもしれない。

上昇志向があるわけでもない。
カッコつけて振舞うわけでもない。
無理に気取る必要もない。
大きな夢だとか野望を抱くことなく、淡々と日常が過ぎていく。

それも半径5kmの世界。
下北沢という街が妙にしっくりくる。
そんな生活で満足なんだろう。
少しの刺激があれば十分生きていける。

僕らのような昭和な世代は、
「もっとガツガツいけよ!」とか
「女の子に家に泊ったんだったら・・・」
と思ってしまうが、大きなお世話。

リア充って、こんなことなのかなと思ってしまう。
こんなことを書くと作品への不満だったり、
若者への批判と捉えられてしまうが、決してそうではない。

なんだか居心地がいい。
そのふんわりした世界観も悪くないなと思ってしまう。
ムリしない生き方が楽でいい。
下北沢に住み、その界隈で飲みたくなる。
そんな生き方にも憧れたり・・・。

どうしてこんなに自然体に感じるのか。
固定でカメラを据えた長回しの撮影がそう思わせる。
見方を変えればNHKの若者を追いかけたドキュメンタリー番組のようだ。
セリフは日常会話だし。

いろんなスタイルが生まれる中でこんな作品が新しいのかもしれない。
そして、これが時代の象徴にもなる。
オタクっぽく思える今泉監督は時代に敏感なのか。

70年代を描く貧乏で時代を否定する若者。
80年代のバブリーでノーテンキな若者。
90年代の未来にもがくリアリスティックな若者。

常に映画は時代の若者を描く。
2020年代、これが象徴なのか。

そんなふうに映画を楽しむのもいい。