場所はあえて書かないが信兵衛という居酒屋がある。
時々、無性に行きたくなる居酒屋で、店を知ってかれこれ25年くらいになる。昨日は、その信兵衛に大学の先輩と顔を出した。その先輩とも25年以上の付き合いで、学生の時から多くのことを教えて頂いた大好きな方である。
これまで東京で仕事をされていたこともあり、名古屋で飲むのは実に久しぶり。懐かしさもあって、何年か振りに信兵衛に行くことにしたのだ。
ここは昔ながらの居酒屋で、寡黙なオヤジとテキパキと働く女将の夫婦で切り盛りしている。コの字型のカウンターだけの客席は、常連と思われるお客で埋められ、いつもいっぱいだ。(昨日は意外に空いていたが・・・)
何故かBGMにはジャズが流れることが多く、そのミスマッチが心地よかったりする。
そして、この店には生ビールがない。サッポロ黒ラベル大瓶だ。
(最近、大瓶を出す店が少ないと感じるのは僕だけだろうか?)
生ビールも美味いが、瓶ビールも美味い。缶ビールより、断然瓶ビールがいいのだ。いくらでも飲めてしまう。
大皿料理はその日によって変わるが、定番メニューは25年前と全く変わらない。必ず注文してしまうのは、どじょうのから揚げ、いもバター、ネギま。どこにでもあるメニューだが、他の店ではあまり頼むことはない。しかし、ここでは必ず注文してしまうのだ。何かが違う。どんな食べ物でも美味いと感じる味音痴の僕であるが、ここのは何かが違うのだ。
味に対してのボキャブラリーが乏しいので、上手く表現はできないが、どうしても食べたくなるのだ。
先輩との会話は、過去・現在・未来とタイムスリップさせた取り留めのない内容だが、それでもおおいに盛り上がり、気づけばビール6本、冷酒3本を空けていた。
次の店に向かうために、ここで会計をしてもらうのだが、いまでもここは女将がソロバンで計算する。レジも計算機も必要ない。見事な手さばきで計算するのだ。不効率と言ってしまえばそれまでだが、そんなシチュエーションもこの店が愛される理由だろう。
(こう書くと自分が支払ったようだが、先輩にご馳走になってしまいました。スイマセン・・・)
すっかりいい気持ちになり、店を出た後、先輩と一緒にぶらり周辺を散歩する。僕はあまり感じなかったが、先輩曰く周囲の環境が様変わりしたとのこと。度々訪れる僕の立場と10年ぶりに訪れる先輩の立場では、目に映る環境は大きく違うようだ。日中の暑さを引きずる生暖かい風であったが、悪い気分でもなかった。
二軒目は伏見まで戻って、先輩の行きつけのBarへ。Barといえば、バーボンのロック。20代の頃は、それが当たり前だった。そんな昔を思い出し、翌日、しんどくなるのはわかっているものの、ついついロックで飲んでしまった。でも、それも楽しいひと時。
昨日は名古屋も35度を超える暑い日だった。おかげで美味しい酒を飲むことができた。
(あまり関係ないか・・・)
先輩、ありがとうございました。
2011年8月11日