いねむり先生 (2011/04/05) 伊集院 静 |
1年ぶりに読んだ小説。
以前は伊集院氏の小説も好んで読んでいた事はあったが、30代に入ることから、ほとんど小説自体を読まなくなってしまった。読まなくなってしまったというよりは、読む余裕がなくなったというか、もっとゴールに直結するものを求めていたのが本当のところだろう。
ビジネス書や自己啓発本やノンフィクションの類がそれである。必要な事を多く学んだのは事実だし、今の生活においても、そこが中心なのは変わらない。しかし、それだけではつまらない人間であると、読みとおして感じてしまった。
この本書を読んだ前後に、伊集院氏を取材した「情熱大陸」をYouTubeで観た。
小説というものが、どんな存在であるかを語っていた。人の人生を変えることはできないが、人の悲しみに寄り添う事ができる、それが小説であるということ。彼の使命感を思い知った。オトコだ。
この「いねむり先生」も私小説ながら、その想いが十分伝わる作品。
本書や先日ブログにも書いた「大人の流儀」を読み、「情熱大陸」を観ると、伊集院氏の男としての潔い生き方を感じると共に、弱さや純粋さ、豪快さもビシビシとこっちにやってくる。
と同時に、自分とは正反対な生き方に憧憬を覚える。男の理想の生き方をしているのかもしれない。常に財布の中身を気にしている自分とは大きく異なる。(ああ~情けない・・・)
だから、ファンも多いのだろう。
結局、人は一人では生きられない。誰かに頼る事もあるし、頼られる事もある。助けを求めなくても手を差し出されることもある。その逆も・・・。
その中で生きていくことで、大切なものを理解し行動していく。言葉だけではなく、何気ない態度も含めて。
人との触れ合いの大切さを感じた小説だった。
やっぱり、たまには小説も読まないと・・・。