タイトルだけではどんな映画が判断できない。
意味不明な邦題のようにも思える。
原題は「Dylda」。
これもよく分からない。
ロシア語なのかウクライナ語なのかもよく分からない。
ロシアとウクライナの問題が日々報道されていても結局のところ、
僕らは何も知らない。
だから映画をストレートに伝える意味においては邦題は正解なのかも・・・。
事前情報も少なく、公開前の観たいリストにも入っていなかった。
たまたま上映時間があったに過ぎないが、これも何かの偶然。
今の時期に観ること自体に大きな意味があったのかも。
ロシア映画を観る機会は少ない。
2022年の今、ロシアでは映画は製作されているのだろうか。
ウクライナでは映画館は営業しているのだろうか。
そんな疑問も沸くが本作は2019年の作品。
第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門で監督賞と国際批評家連盟賞を受賞している。
直接的なシーンはないものの戦争批判であるのは間違いない。
舞台は第二次世界大戦後のソ連。
女性兵の出兵の事実も知らなかったが、その女性の戦争後の葛藤を描いている。
戦争によって精神的、肉体的な苦痛を味わったことは容易に想像できる。
それが人を不幸にしてしまう病に罹り、自らを責め続ける。
信頼できるのは共に戦った同性の兵士。
同性愛に近い愛情が生まれ、それが更に不幸を招く。
理解できるようで理解できないシーンが続く。
冷静に判断すれば、どうしてそんな危うい行動に出てしまうの?
と首をかしげたくもなる。
しかし、悩むが故にその行動の正当性を僕らは受け入れる。
なんとも切なく辛いシーンの連続だが、かすかな幸せを感じることもある。
本作の終わり方はハッピーエンドなんだろうか・・・。
観る人によって捉え方は異なる。
この先に穏やかな生活が訪れる期待感もあるが、
最悪の事態を招くとも限らない。
ロシア映画って、難しいね・・・。
プーチン大統領はこの映画を観たのだろうか。
観たとしたら、何を感じたのだろうか。
そんなことも考えてしまう。
いえるのは戦争は勝った国も負けた国も人を不幸にする。
それは映画が教えてくれる。
政府の偉い方なのかな?
クセニヤ・クテポワの美しさばかりが目立つ。
それも何かのメッセージ。
唸りたくなるような映画だった。