無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書) (2011/09/05) 吉本 佳生 |
マーケティングでプライシングの基礎を学ぶとスキミング・プライシングとぺネストレーション・プライシングという2つの言葉が必ず出てくる。
簡単にまとめれば、スキミングとは早期に資金回収を目的に製品の販売初期の段階でできるだけ高めの値段設定をすること。
ぺネストレーションとは市場シェアを獲得するために、できるだけ低い価格設定にすること。ザックリ言えばそんな感じだが、昨今のように無料ビジネスが台頭してくるとそのプライシングの概念が変化していくのかもしれない。
または価格戦略とは全く別のカテゴリーで捉えるべきなのだろうか。マーケティングのプロではないので、どんなフレームワークを活用するのがスッキリするかは何とも言えないが、新たな戦略手法として切り離すことはできないだろう。
マクドナルドのコーヒー無料券の配布のケースは、自己の経験からも分かりやすい事例だ。コーヒーお代わり無料のように一定の利益から引き算していくのか、コーヒー無料券配布のように利益ゼロから足し算していくのかでは全く戦略が異なる。
本書はマクドナルドのケースが有効的と判断しているが、確かに納得できる。やはり自分が消費者の立場に立った時にどんな行動を起こすかを考えると無料の価値観も違いが見えてくるのだ。一歩間違えると恐ろしいことになってしまうが・・・。
名大社においても新卒ナビを基本掲載FREEにしたことで無料ビジネスに加担していると受け止められる。本書を読む限り、その戦略は間違っていないと言えると思うのだが・・・。
昨今のトレンドでいけば、無料化の波は止めようがない。
それは特定の業界や商品だけでなく、あらゆるものが対象となる。しかし、そればかり進んでも、その先にある消費を活性化させる仕組みがなければ、いずれ破綻してしまう。
そのための戦略。どんどん難しい時代になってきているな・・・。