ヤバい、ヤバい映画。
一言で語れば、そんな作品。
それは最上級の誉め言葉といっていい。
138分の上映時間を通し、1ミリも緊張感が途絶えず楽しむことができた。
原田監督は時代劇を描くよりもこっちの世界の方が得意なんじゃないか。
遠慮がなくていいし、振り切って演出を楽しんでいるように感じる。
2022年は日本映画が低調に思えたが、後半に入りグイグイ攻め込んでくる作品が増えた。
これなら韓国映画とも対等に勝負できるんじゃないか。
アクションに関してはそんなふうに思えてきた。
シンプルにいえば、元警官の主人公がヤクザの一人としてヤクザ一門に潜入し、
そこから重要ファイルを奪ってくるというストーリー。
非現実的な世界であるのは間違いない。
登場するヤクザも昔ながらの雰囲気を持つ者からイマドキのインテリチックで冷徹な者まで。
本当の世界は知る由もないし、ヤクザ映画を好んでみるわけでもない。
せいぜい北野武作品か昨年の「ヤクザと家族」くらい。
人間ドラマは好きだが、無駄な争いごとは避けて通りたい。
あまりドンパチやるのも好きではない。
しかし、本作は違う。
完全なるアクション映画。
特に主役岡田准一がここまで上手いとは思わなかった。
原田作品で観た「燃えよ剣」や「関ケ原」での殺陣にも感心したが、
こんなアクションが様になる役者とは・・・。
もうそっちの道を極めてもいいと思うが、事務所もファンも許さないだろう。
本作の魅力はスリリングな展開とアクション、
それぞれの人間模様にあるが、俳優陣のハマり具合も大きな魅力。
これだけ役者がマッチしている映画も少ないんじゃないか。
岡田准一は当然だが、相棒役の坂口健太郎も良かった。
好青年しか演じられない役者かと思っていたが、あんなサイコパスな演技ができるとは・・・。
北村一輝のヤクザは堂々たるものだし、組織のトップMIYAVIもカッコいい。
TVで見なくなった(お笑い辞めたの?)金田哲もいい感じ。
「燃えよ剣」といい原田監督に好かれているのかな。
松岡茉優も大竹しのぶも酒向芳も渋い。
それにしても岡田准一の圧倒的な強さには唸る。
瞬間的な身のこなしに魅了されてしまう。
やっぱこっちの世界に行けばいいのにね。
彼が日本映画を牽引する大きな役割も担うんだろう。
残酷なシーンが苦手な人も感動するはず、と思う。