大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (ソフトバンク新書) (2011/10/17) 沢田 健太 |
就活ノウハウ本よりも本書の方が、よほど就職活動に役立つとは思うが、これを手にする学生は一体どれだけいるだろうか。
ここには正解が書かれていないため(厳密に言えば、内定獲得のテクニック)、学生にとっては魅力的な書籍ではないだろう。読者ターゲットも学生と置いていないだろう。
しかし、今の学生の現状を正確に著している本書こそ、学生が読みべきだと思うのだ。
就職活動をする上で、学生自身が自分を客観視することは少ない。目の前の厳しい現実を狭い視野で受け止めることしかできないのが、正直な姿だと思う。
実際に自分たちの進学率や歩んできたゆとり教育、キャリアセンターの役割を含め、彼らには責任はないのかもしれない。だが、責任逃れしたところで何の解決にも繋がらない。真摯に受け止め、何をすべきかを自分で考えるしかないのだ。
そのサポートをするのが我々の立場なのだが、上辺の行動に留まっていることも否定できない。役割としては十分ではないと自省しながら・・・。
本書を読み終えた後、これは嫁さんに読ませるべきだという思いに至った。
いずれ大学生を持つ親は読んでおくべきだと感じたのだ。ここ数年で大学の置かれる環境は大きく変わるだろうが、根本が変わることはない。
そうだとすれば、子供を持つ親は、何を教え、どう自立させるかが大きな責任となる。
先行きの不安感に対し短絡的に子供の将来を憂うのではなく、どう人生を学んでいくことが、明るい将来に近づけるのか、それを考えさせ、行動させるのが僕たち親の責任なのだ。親である自分たちも自らの行動を客観視し臨まなければならない。
新卒採用事業に関わる者としてよりも、一人の親としてどう子供と関わるべきかを考えながら読んだ一冊だった。