昨日は「バカの壁」の著者で東京大学名誉教授である養老孟司氏の講演会に参加した。
講演テーマは「本質を見抜く-これからの環境エネルギー問題-」。養老氏の専門分野ではないが、客観的事実を鋭く見抜いた実に示唆深い内容だった。
エネルギーの消費量と経済成長率の関係性に対しての持論は、論理的で思慮深く洞察力があり、納得せざる得なかった。
本日のブログはその講演内容に関することではなく、養老氏の講演者としての立ち振る舞いについてである。
90分間の講演で養老氏はパワーポイントなどのスライドを使うわけでもなく、台本や資料を読んだり見たりするわけでもなく、自らの言葉と時折ホワイトボードを使用するだけであった。
きっちり90分と正確にはいかなかったが、あらかじめ予定された内容が100%盛り込まれた講演だった。どうすればあのように淀みなく話すことができるのだろう?というのが僕の素直な疑問。講演に慣れていらっしゃるとはいえ、できる技ではない。見事だ。
僕の見る観点が人と異なるのかもしれないが、大いに感心してしまった。
僕自身もいろんな場で講演をさせてもらうことはある。その場合、ほとんどはパワーポイントを使用しての講演。30分、60分なら時間通りに話を進行する感覚は持ち合わせているつもり。台本を見ながら話すわけでもない。
しかし、パワーポイントでの講演なんていうのは、正々堂々とカンニングをするようなもので、映し出された文字や画像から、話す内容を引き上げることは可能だ。90分となるとハードルは上がるけど・・・。
それを何もない状態で完結してしまうのは、見事としか言いようがない。それも全くの自然体であるし・・・。努力と準備と場数の組み合わせがそうさせるのか、才能なのかはわからないが、今後の講演やプレゼンにおいて、参考になったのも事実。
たまたまこの日は、経営者や議員などお偉方を対象とした勉強会の講演依頼を受けた。未知なる領域となるため、パワーポイント使用のカンニングは必須だが、養老氏の演台を行き来し、身振り手振りで話された講演のイメージは自分の中にも持つとしよう。大丈夫か不安だが・・・。
勉強となる講演を有難うございました。
2012年2月15日