エンディングロールが流れてきた時に原作が佐藤正午氏であるのを知った。
なぜか懐かしさを感じた。
僕が知るのは「永遠の1/2」や「リボルバー」。
両作とも映画化されたが、それは学生時代。
30年以上前のこと。

今でも活躍しているのかというのが正直な気持ち。
このジャンルの小説を読まなくなって、
同じくらいの時間が経過しているし。

いい意味で現実の厳しい世界に向き合っているが、
悪い意味で純粋な男女の恋愛に遠ざかっている。
果たしてどちらがいいのだろうか。
年を取ったせいもあるが、
人としてピュアな面が失っていると最近、つくづく感じる。
あっ、映画ではなく僕のことね・・・。

本作でいえば大学生を演じる三角哲彦は甘ったるくて仕方ない。
ネタバレしない程度にいえば、
彼が年上の瑠璃に惹かれる時がそう感じさせる。

瑠璃は有村架純が演じる謎めいた女性。
僕が学生時代に本作を観たのなら、
きっとクラクラと恋焦がれてしまうしまう。
大いに三角に共感したと思う。

まあ、時代の流れ。
そのあたりが僕の記憶的に佐藤正午。
ちょっと謎めいた恋愛作品。

しかし、それが本来の映画の姿ではない。
肝心な要素ではあるが、あくまでも映画を盛り上げるための要素。

それに乗っかってくるのが主役の大泉洋。
予告編を観た限り作品をさっぱり理解できなかったが、
それをやむを得ない。
あり得ない世界を描いているのだから・・・。

その中で現実に向き合う大泉洋の表情はよかった。
彼のコメディのセンスは抜群だが、喜怒哀楽を表現する力もさすが。
より感動を呼び寄せる。

それを後押しするのが奥さん役の柴咲コウ。
最高に可愛らしい。
これだけ愛らしい役は僕は初めてのような気がする。
グッときてしまった。

ここまで書いたところで映画の内容はさっぱりわからないと思う。
それでいい。
このような行った来たりの作品を説明してしまうと価値が薄れる。
why?why?why?と観た方がいい。

少し映画に注文するとすれば子役の存在。
責めるつもりはない。
7歳の役を上手く演じることのできる子供は少ないと思う。
3人とも重要な役だし・・・。
そこがクリアされたらもっと感動を生んだかも。

それにしても今年、廣木隆一監督はフル回転。
2022年、僕が観ただけでも「夕方のおともだち」「母性」の3本。
それ以外にも「ノイズ」や「あちらにいる鬼」が公開された。

それだけ信頼のおける監督の証か。
ヒマな監督からすると羨ましくて仕方ないだろうね。