会社人生は「評判」で決まる (日経プレミアシリーズ) (2012/02/16) 相原 孝夫 |
上司にゴマを擦って評価を高めるか、要領よく仕事を進めて評判を上げるという調子のいい内容ではない。
あくまでも人として、いや企業人として仕事をどう捉えていくか真剣に向き合った作品と言える。
「評判」という言葉は定性的であって、数値化するのは難しい。しかし、人が人を判断する上で、あまり数字をもって判断を下すことはない。大体は感覚的な面が強く、極端に言えば自分が好きか嫌いか、一緒に仕事したいかそうでないかで決めていくケースが多いように思う。
凄く曖昧な見方だが、これは大筋正解で結局のところ、それが「評判」なのである。
この本書を読んで、これまで気にしなかった点を気づかされたことが多い。こんな言い方は後付けのような気もするが、僕が大切にするのもまさにそういったところ。
評判を上げようとして行動しているつもりはない。だが、結果的に見れば、人に対してどう見られるかや客観的な視点として自分の行動が正しいかどうかで判断しているのだ。
本書にも書かれているように「評判が評価をつくる」のであり、それは「萌芽→強化→拡散」のプロセスを辿るのだ。
身近に面白い例もある。今春、息子がクラスの学級委員に選ばれた。6人の候補者の中から選出されたわけだが、特に優秀と言うわけではない。しかし、3年生から学級委員をやっている実績が安心感や期待感を生み、選ばれたのだ。
表現は異なるかもしれないが、これも「評判」によって得られた結果である。もちろん大きな失態をやらかせばそれも評判に繋がる。小学校時代から、いかにも日本的なのだ。
これは延々と続き、我々のビジネスの世界でも同様と考えられるから面白い。本腹落ちもした。
本書では評判のいい人の代表例として3つ掲げている。
1.他者への十分な配慮ができる人
2.実行力のある人
3.本質的な役割の果たせる人
特別難しいことは書かれていない。しかし、これを瞬間だけでなく、永続的に行えるかは別問題。先述の学級委員の例ではないが、継続性が必要なのだ。
評判のいい人、簡単そうで難しい。