著者の浜田氏は「サンデーモーニング」のコメンテーターとして知る存在。
プロフィールを確認すると1989年に朝日新聞社に入社しているので、
僕と同い年、もしくは同世代。
AERAの編集長を経て、現在はフリーのジャーナリストとして活躍。
それも子育てを行いながらのキャリアなので、相当ハードな道を歩んできた。
高いハードルを乗り越えてきた女性が自身のキャリアを中心に表現すれば、
本書の内容は大きく異なっていただろう。
浜田氏はむしろ自身のキャリアをある意味、自省しながら著している。
ひと昔であれば憧れの活躍する女性像になりうるはず。
しかし、それは遠い過去の話。
今の社会にあてはまれば、その成功体験が生きづらさを描くことになってしまうのだ。
著者は平然とその事実に触れているが、そこに至るまでには大きな葛藤があったのではないか。
本書の内容は僕自身もよく理解できる。
これからはそうならなければとも思っている。
現に名大社もこの12~13年で大きく変化した。
意図的な政策はないが女性社員の割合が増え、幹部も増えた。
もはや半々。
産休育休も当たり前になった。
そんなことを言うこと自体ナンセンスかもしれないが、それが実態。
誤解を恐れずにいえば僕の前の社長であればあり得なかったと思う。
それは過去の経営者の価値観が古く、僕が新しいというのではない。
まだまだ僕も自分が育ってきた環境に引っ張られているのも事実。
頭で理解を示しながらも、どこかで昔の価値観が顔を出す。
それはある意味、強制力を発揮し閉じなければならない。
一定数は僕のような揺らぐ世代があり、その後、スムーズに移行するであろう。
それを頑固なままで拘るのか、いとも簡単に切り替えるのかは人次第。
昭和の香りが残る世代はあとちょっとだ。
あと1年もすれば結婚して30年になる。
僕が30年若かったらどうだろう?
仕事を早く終えて帰宅しただろうか。
奥さん任せにしていた家事や育児も協力しただろうか。
育休も取得しただろうか。
古い価値観を非難しただろうか。
その結果、カミさんは凄いキャリアを築いたかも・・・。
それは正直分からない。
多分、その環境で物事を考えていたら当たり前のように行動するだろう。
そう考えると僕はカミさんの可能性を潰してしまったのかもしれない。
客観的に企業目線で男性中心企業の終焉を語っても意味はなく、
当事者としてどこまで責任を感じるかの掛かっているのかな。
反省を促される一冊でした。