親は知らない就活の鉄則 (朝日新書) (2012/01/13) 常見陽平 |
ここ最近、常見陽平氏の著書が多数出版されている。
facebookでの投稿を見る限り、講演、講義や取材以外の時間は、ほとんどが執筆にあてているのではと思うくらい。生き急いでいる感はなくはないが(失礼しました)、その精力的な活動には感服する。
普段の言動や著書は、結構辛口で表現されるケースが多いと思うが、本書に関しては客観情勢を冷静にまとめ、比較的やさしい切り口で書かれているように感じた。
ここ数年の就職活動を間近に見てきて、僕が強く思うのも親の影響力の強さである。
3年程前のキャリアカウンセラー向けに行った講演でも「親離れ、子離れ」について話をさせてもらったことがあった。その時も参加者からは共感の声があった反面、現実の認識ギャップへの驚きの声も多く聞かれた。既にそこから3年経過しているのだが、その関係性においては更に加速しているといっても間違いはないだろう。
20年以上のこの業界に身を置く僕自身でも、全ての業界について熟知するのは難しい。
200万社ある企業のうち、知っている会社なんて1%もないだろう。地域性だけを見つめれば、その割合はアップするのだろうが、それでもたかが知れているのは事実。
企業情報を発信する側の人間でも個々の詳細を把握するのは相当難しい話である。それを正面から捉えただけでも、親が発する情報の偏りは自ずと理解できるはずだ。
その事実も含め、著者の言う「親がやるべきはまず『知る』こと」は、納得できる。そして、親がどこまでも応援団であるべきという意見にも大いに共感する。応援団はあくまでも声援するのであって、ひとつひとつのプレーには口出しをしない。ここを間違えてはいけないのだ。
比較的近い時期に同じ出版社から発行された海老原嗣生氏の「就職に強い大学・学部」。併せて読むと今の大学生の実態がより鮮明になってくるだろう。
頭では理解していても、実際の行動となると自分の子供は特別扱いしてしまうのが、多くの親。仕事柄、現状を理解していても僕自身が本書に書かれているように動けるかは何とも言えない。親のエゴが出てしまう可能性はゼロではない。
しかし、そんな時こそ自分自身に言い聞かせなきゃいけないだろう。「それは子供のためにならない」と・・・。
僕のようなバブル世代の子供が就職活動を始める頃は更にその傾向は強くなると考えられるし・・・。
ほんの小さな活動として、自分や妻の同級生に対して、今から話をしておくべきだな。この本書に書かれていることを・・・。