原作漫画もアニメも一切見たことはない。
「あきらめたらそこで試合終了だよ」
という名言はあちこちで耳にしているが、
誰が発した言葉かも知らない。

その程度の知識しか持ち合わせていないので、本作を観る予定はなかった。
しかし、あちこちで絶賛の声を耳にする。
元々のファンだけでなく、僕と同じようなタイプも高い評価をしている。
中には観ないヤツはろくでなしのような扱いをする者も・・・。

それは言い過ぎだが、もう25年以上前に連載が終了した作品を推す声が圧倒的。
息子の眼差しも冷たかった。
これは映画コラムニストとして外すわけにはいかない。
流行を追うわけではないが、
時代を代表する作品を見逃すわけにはいかない。

2023年の初鑑賞映画が本作となった。
アニメ映画には間違いないが、上手くCGを融合させている。
時折、実写を観ているような錯覚にも陥る。
ドリブルやパス、ゴール、選手がぶつかり合う音が
効果的に反映され臨場感が伝わってくる。

実際、原作は様々な人間模様を描いているんだろうが、
本作では湘北高校と山王工業高校との試合を中心にそれぞれの置かれた環境を描く。
僕はそこから一人ひとりの想いを想像するしかない。

詳しく描けば描くほど、試合の緊張感はなくなるだろう。
かといって試合だけを描くのであれば、バスケに向かう背景が分からない。
ファンはどんな捉え方をするか分からないが、
僕なんかはそれだけでも十分楽しめた。

ただ楓と花道の過去はほとんど描かれていないため、彼らのワケは掴むことができず。
これは映画の責任にしてはいけないのかもね。

映画を観た後に原作漫画を読む。
それもこれからの楽しみ方かもしれない。
一般的にチームスポーツを描くドラマは男同士の友情が勝利へと結びつくケースが多いと思う。
しかし、映画を観る限り、このメンバーは仲が悪い。
それぞれが自己中心的に動き回る。

そんなチームは勝てずに終わる・・・。
となるはずが、そんな点に頼らないのがいい。
仲が悪いが故にお互いの強みを冷静に判断する。
そのあたりが湿っぽくなくていい。
お涙頂戴に持っていかないところが、むしろ爽やかな感動を生む。

漫画が流行っていた頃、すでに大人の50代後半のオジサンも十分楽しめることができた。
描く世界は世代を選ばないんだろうね。

そして、何より完成度の高さ。
日本がどんな世界で勝負をしていくか、
また、強さを発揮できるか、改めて認識することができた。

こんな作品なら海外と戦えるんだろうね。