人を束ねる (幻冬舎新書) 人を束ねる (幻冬舎新書)
(2012/03/30)
久米 一正

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サッカー関連の書籍はかなりの量を読んできたつもり。
「オシムの言葉」や「中田英寿 鼓動」は今でも名著だと思うし、仕事のモチベーションに繋がった書籍は多かった。選手側や監督側の立場で書かれたのがほとんどであったが、本書はGM(ゼネラルマネジャー)側。初めてのケースではないだろうか・・・。
僕は自称グランパスファン。
ユニフォームの袖のスポンサーになることが壮大な、かつ個人的な夢である。(社員は反対するだろうなあ~)。しかし、著者である名古屋グランパスGMの久米一正氏のことはほとんど存じ上げなかった。これでファンの程度がばれてしまうが・・・。
GMという言葉は、プロ野球であれ、他のプロスポーツであれ、耳にはしていた。しかし、どんな役割をこなし、チームに対しどんな貢献をしているかは、映画「マネーボール」で観た程度で、具体的なイメージはあまり持っていなかった。
本書を読んで、選手との距離感やチームの方向性、最大のテーマである勝つチームにするために何をすべきかが、おぼろげながら理解できた。一般企業でいう組織を束ねる責任者のポジションと同じだが、構成されるメンバーが一匹狼ばかりになるだろうから、精神的な苦労は多いはず。
対外的に目立つ存在ではないが、フロント、監督、コーチ、選手を繋げ、上手く紐を引いたり、緩めたりしなきゃいけない立場。組織の肝でありながら、いつクビになるかわからない存在。この職種もれっきとしたプロと言えるだろう。
敬愛するピクシーとの関係も興味深い。
お互いの信頼関係があって、はじめてあのような行為となるのだろう。
本作品が出版されたのが、今年の3月末。グランパスが今のように低迷している時期ではなかった。万が一、グランパスの成績が今のままの状態でリーグが終了すれば、本書の価値は奈落の底に落ちるだろうし、サブタイトルにある「名古屋グランパスの常勝マネジメント」も戯言にしか聞こえない。
それが理由ではないが、早々に浮上してもらいたい。いや、浮上してもらわないと困る。ここ1~2年の感動を引き続き与えて欲しい。
「人を束ねる」。サポーターも束ねて、歓喜の渦に巻き込んで欲しい。